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サイケおやじの生活と音楽

明日への祈り

2011-03-21 15:44:10 | 歌謡曲

明日を祈る c/w なんでこんなに / 堺正章 (Fhilips)

未曾有の大災害から逃れて来た友人が、無事だった家族と一緒に某所へ身を寄せているというので、昨日は会いにいってきましたが、もちろん旧交を温めるなんて事はあるはずもなく、今後の事も含めて様々な対処や相談が山の様でした。

そこには決して報道されていない現地の悲惨な状況、また政府や各方面から発表されている事象が如何に一方的な情報操作(?)であるか、疑わざるをえないものが多々ありましたですねぇ……。

例えば件の友人は頭から顔にかけて火傷しているんですが、現地では応急処置の塗り薬程度の医療しか受けられず、また骨折していたとしても、とりあえず動ける者は簡易ギプスでもしてもらえれば良い方だというのですから、どうしようもありません。

食料や水の不足は言わずもがな、衛生状態も最悪であり、加えてストレスや不安から喧嘩沙汰は日常茶飯事という雰囲気も、充分に予測しつつ、納得するしかありませんでした。

その上、被災地や避難して空き家になったところから略奪や空き巣を働くという大馬鹿野郎が大勢出没しているというのですから、穏やかではありません。もう、これはとても日本人とは思えぬ所業で、呆れるというよりも、嘆かわしいですよっ!

そんなこんなは、まだまだどっさり聞かされましたが、とてもここには書くことの出来ない話が多く、当然ながらマスコミで取り上げることも憚られるものが……。

しかし、そういう状況の中でも復興の歩みは遅々としていながらも着実に進んでいるようですし、漁業を営んでいた友人にしても、何時の日か再び海へ出るという気力を失っていなかったのは明るい希望でしょうか。

さて、そこで本日ご紹介は、既に芸能界の大御所となった堺正章がスパイダース解散直前の昭和45(1970)年4月に発売したソロ名義のシングル盤で、一応はジャケットに「ザ・スパイダース」と表記もありますが、おそらく演奏パートはスタジオミュージャンを動員して作られたものと推察しています。

ですからAB両面ともに作詞:サトウハチロー、作曲:中村八大という当時のヒットメーカーによって書かれた楽曲の仕上がりが、如何にもポップス路線の歌謡曲という当時の流行最先端を演じたものになったのも自然の成り行きだと思います。

特にA面「明日を祈る」は失われた希望を再び求め、何かを探して旅立つ心境をじっくりと歌いあげる堺正章の地味ながらハートウォームなボーカルが心に染み入りますよ。もちろんスローな曲メロには日本人好みの「泣き」が滲み、人生の新しい船出を綴った懐の深い歌詞と川口真の密やかにソウルフルなアレンジも良い感じ♪♪~♪

またB面「なんでこんなに」が、これまた素敵なソフトロックの隠れ名曲として近年は評価も高い仕上がりなんですが、実はこれ以上ないほど不条理な歌詞がアップテンポの明るいムードで歌われるという、実に「逆もまた真なり」現象が強烈な印象を残します。

ちなみにこちらは中村八大のアレンジということで、そのジャズっぽいお洒落なフィーリングが当時リアルタイムで流行していたA&M系のサウンドに近くなっているのは、流石に先見の明というところでしょうか。

言うまでもなく、本日のサイケおやじは、このシングル盤を被災した友人のために取り上げた次第です。

今は友人のご一家も避難所生活ですから、音楽なんて聴く余裕もないと思いますが、次に訪ねる時には iPod にでも入れて、この2曲を持参しようと思っています。

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