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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

DC5の不思議な映画と素晴らしい歌

2011-03-20 16:31:49 | Rock

若さをつかもう / The Dave Clark Five (EMI / 東芝オデオン)

アメリカではビートルズと並んで人気の高かったイギリスのバンドがデイヴ・クラーク・ファイヴ=DC5だったと言えば、お若い皆様はちょいと驚かれるかもしれませんね。

それは発売する楽曲の良さに加え、グループが基本的に持っているコンサパティヴな雰囲気がその理由だったと思われます。

そして実際、所謂芸能界ノリをイヤミ無くやっていた事から、1965年には主演映画までも作られ、それが本日ご紹介のシングル曲を使った「五人の週末 / Having a Wild Weekend(ジョン・ブアマン監督)」でした。

こうした事情は我国でも同様で、当時のラジオからはDC5の曲がかなり流れていて、この「若さをつかもう / Catch Us If You Can」も大ヒット洋楽のひとつになっていたほどです。

ところが前述した映画そのものが、所謂大コケ……。

それを境にしたかのように、DC5の人気が下降線となったように感じるのはサイケおやじだけではないでしょう。

物語は平凡な日常に倦怠したデイヴ・クラークと芸能界が嫌になった人気モデルのバーバラ・フェリスが、ひたすらに逃避行を演じるだけという展開で、DC5の他のメンバーが友人として2人を助けるという演出はあるものの、期待していた演奏シーンがひとつも無いという、全く???の仕上がりでした。

しかも当時の事ですから、モノクロで撮影された画面は当然だとしても、アイドル映画とは決して呼べない暗いムードや歪んだ感じがあるんですねぇ……。

正直、これを比較的リアルタイムで観たサイケおやじは、少年であった事を差し引いても、決して納得しない不可解な気分にさせられた記憶が今も鮮明です。

極言すれば、同じモノクロ作品でも痛快至極だったビートルズの「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ! / A Hard Day's Night」とは雲泥の差だよなぁ~~、と嘆いたほどなんですよっ!

しかし、この「若さをつかもう」の楽曲の素晴らしさ、そして歌と演奏の充実度は最高なんですから、これはロック史の七不思議のひとつじゃないでしょうか。

曲調は所謂青春ポップスでありながら、隠すことの出来ない黒っぽさが立派に新しいロックを創造していると感じますし、こうしたフィーリングが後に我国のGSを最初にブレイクさせたスタアグループのスパイダースやブルー・コメッツに受け継がれた事は否定出来ません。特に後者はバンドイメージそのものが、DC5と重なったりしますよねぇ~♪

また山下達郎の某曲に似ているような気もしております。

さて、ところが近年、この駄作と思われた映画「五人の週末」が海外でDVD化された事により、友人からそれを借りて鑑賞したサイケおやじは、かなり驚かされました!

それはリアルタイムでは「暗い」とか「地味」としか思えなかった画面演出が、実は今日の感覚では妙にシュールであり、モノクロ撮影ならではの端正な美しさが随所に焼きつけられているんですねぇ~♪

そう思って鑑賞すると、様々に使われているDC5の楽曲が逆に浮いているという、本当にミョウチキリンな結果しか残らないのです。

う~ん、これは早すぎたサイケデリックフィルムなんでしょうか?

ちなみに主人公が何物かに狙われ、ひたすらに逃避行なんていうのは、日本でも数多く作られたGS映画でも定番的な設定でしたが、ここまでディープな思惑が滲む作品は流石に後年の怪作「未来惑星ザルドス」を撮ったジョン・ブアマン監督ならではっ!

そしてDC5の明快なロックフィーリングこそが、それに相応しかったと思うのでした。

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