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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

老いて、ますます!

2006-04-29 17:56:52 | Weblog

昨日の花見は、久々にハメを外したというか、けっこう暴走しましたですね♪

いや、お前はいつもだろう、という声もはっきり聞こえてまいりますが……。とにかく今日まで疲れが残るというのは、私も年齢を感じさせられました。

ところがジャズメンは凄いですねぇ。全く疲れ知らずに若手を煽る偉人がいました。それがアート・ブレイキーという黒人ドラマーで、本日はこれを聴いて、またまた絶句です――

Round About Midnight / Art Blakey & Jazz Messingers (TKO)

ジャズの歴史を作った名門バンドのジャズ・メッセンジャーズは、もちろん浮沈みがあり、一番苦しかったのは1970年代中頃のフュージョン・ブームの頃だったと思われます。

なにしろレコーディングそのものが、あまり残されていませんし、バンド・メンバーも悪くは無いのですが、やはり時代の要求に応えられなかったというか、バンド・リーダーのアート・ブレイキーが徹底してハードバップに拘り抜いた姿勢が時代錯誤だったのでしょう。

しかしそれは、今となっては貴重なものでした。その拘りがあったからこそ、有能な若手本格派の系譜が途切れることがなかったのですし、実際、メジャーにはなれなかった者も含めて、幾人もの実力派新人がジャズ・メッセンジャーズから登場しています。

その最たる者が、現代ジャズ・トランペッターの最高峰であるウィントン・マルサリスでしょう。この人の登場によってフュージョン・ブームが去り、4ビート・ジャズが復活したと言っても過言ではありません。

このアルバムは、そのジャズの救世主となったウィントン・マルサリスがジャズ・メッセンジャーズの一員として本格的にレコーディングした最初期の音源を集めています。

録音は1980年10月11日、場所はフロリダにあるライブハウスでのライブ音源で、メンバーはウィントン・マルサリス(tp)、ボビー・ワトソン(as)、ビル・ピアース(ts)、ジェームス・ウィリアムス(p)、チャールズ・ファンプロウ(b)、そして御大アート・ブレイキー(ds) という、所謂3管編成です。

ちなみにこの音源は初リリース時からして、様々なレーベルのアルバムに散逸して発売されていました。それは当時、完全に落目になっていたジャズ・メッセンジャーズの哀しい実状の証でもありますが、直後からウィントン・マルサリスがメキメキと注目され、ついにはウィントン・マルサリス名義の作品として発売されるという異常事態まで招いています。

それが今日、どうにか2枚のCDに纏められていますので、今回のご紹介はそれを元にしています。また演奏にはウィントン・マルサリスの父親であるピアニストのエリス・マルサリスが加わっている曲もありますが、確定的なものだけ、曲紹介で触れようと思います――

01 Moanin'
 ジャズ・メッセンジャーズの看板として説明不要のヒット曲を、ここでも律儀に演奏しています。1958年のオリジナル・バージョンよりもテンポアップしていますが、アート・ブレイキーが煽るがゆえのゴスペル・フィーリングは健在で、アドリブ先発は、もちろんウィントン・マルサリスです。しかし残念ながらリー・モーガン(tp) ほどの鮮烈さはありません。
 ビル・ピアースのテナーサックスも凡庸ですが、続くボビー・ワトソンのアルトサックスは鋭く、熱血ぶりを発揮していますし、ジェームス・ウィリアムスのピアノもスマートな過激さがあり、なによりもバンド全体に勢いが感じられます。

02 Angel Eyes
 いきなりウィントン・マルサリスが無伴奏でトランペット・ソロを披露して、その卓抜なテクニックと表現力を認知させてくれます。
 曲はモダンジャズでは定番の人気演目ですから、そのメロディ・フェイクにゴマカシは許されません。それをジェームス・ウィリアムスとデュオというスタイルで真っ向勝負に聴かせるのですから、やはりウィントン・マルサリスは只者ではありません。後の演奏に比べれば、まだまだ稚拙な部分もありますが、これはこれで名演だと思います。
 それを支えているジェームス・ウィリアムスのセンスの良いピアノにもご注目下さい。
 演奏は途中からアート・ブレイキーが乱入してテンポアップ! ウィントン・マルサリスは待ってました! とばかりに突進していくのでした。もちろん最後はスローに戻って、再び、ウィントン・マルサリスが一人舞台の名演♪

03 Round About Midnight
 モダンジャズの大名曲をジャズ・メッセンジャーズ流儀で解釈した熱演になっています。もちろん主役はウィントン・マルサリスですが、要所に仕掛けられたアレンジを巧みに利用しながら展開していくアドリブは、すでにして流石だと思います。もちろん後年の演奏からすれば、若干、荒っぽいところがあって、しかしそれが逆に魅力にもなっています。
 後を引き継ぐボビー・ワトソンとビル・ピアースも熱演♪ アート・ブレイキーの煽りも強烈です。

04 Bitter Dose
 この当時のバンドで音楽監督を務めていたボビー・ワトソンのオリジナルで、勢いのあるファンキー・ハードバップです。あぁ、この熱気と勢いは、当にジャズ・メッセンジャーズだけの魅力です。
 そして先発のアドリブはウィントン・マルサリスが傍若無人の暴れを聴かせ、バックのリフも最高のカッコ良さです。またビル・ピアースがテナーサックスで因数分解フレーズを連発して新しさを強調すれば、ボビー・ワトソンは熱血の泣き♪
 あぁ、これがジャズの醍醐味です! リズム隊も一丸となって大波を作り出しています。

05 Gypsy Folk Tale
 1970年代からの定番演目で、変則モードのハードバップ曲です。ここではいきなりボビー・ワトソンが猛スピードで突進するので、興奮させられます。
 もちろん続くウィントン・マルサリスも本領発揮のバカテク・ラッパで果敢に応戦! あぁ、こんなに吹けるジャズ・トランペッターって、いるのかっ! というのが、リアルタイムで聴いたときの素直な感想でした♪
 それとアート・ブレイキー! もう高齢者っていう存在でしたけど、よく疲れないなぁ~。若手もこれじゃ気が抜けないわけですねっ♪

06 Jody
 どうもこの曲だけ、ピアノがエリス・マルサリスに交代しているようです。もちろん、この人はウィントン・マルサリスの父親で、ニューオリンズのローカル・ミュージシャンですが、なかなかの実力者で、この当時も現役でした。そのスタイルはウィントン・ケリーの影響が強いようです。
 肝心の演奏はミディアム・テンポのモード系、ウィントン・マルサリスは「間」と「スピード」を活かしたアドリブで流石のテクニックを披露しています。そして後半ではスローな展開で親子の競演♪ ここで「My Funny Valentine」に曲を変化させています。

07 My Funny Valentine
 そして、それならばと、ついに本物が演奏されます。
 まずウィントン・マルサリスとジェームス・ウイリアムスの至高のデュオがムードを設定しますが、メロディ・フェイクの妙は天才の証明でしょうか、丁寧に荒っぽく、分かり易くて奥が深いという素晴らしさで、ついつい聴き入ってしまいます。
 もちろん演奏は中盤からジャズ・メッセンジャーズ十八番のリズム強化で、ハードバップに展開されていきますが、ウィントン・マルサリスの繊細と豪胆のバランスは崩れていません。

ということで、この後、ウィントン・マルサリスは大手のCBSコロムビアと契約し、大ブレイクするわけですが、この音源も実はメジャーな宣伝があってから流通し始めたという側面があります。

もちろんライブの場ではウィントン・マルサリスの天才性は評判になっていたのでしょうが、レコードという媒体中心にジャズを聴くファンにとっては、当にコレクターズ・アイテムでした。

実際、ここで聴かれる当時のジャズ・メッセンジャーズの凄さは本物でしたし、ウィントン・マルサリスだけでなく、リズム隊の充実は歴代でも上位でしょう。それがあるからこそ、フロントのホーン陣も遺憾なく本領を発揮出来たわけですし、アート・ブレイキーのジャズ魂は、本当に不滅だと思います。そしてこれをきっかけに、ジャズ・メッセンジャーズは息を吹き返し、マスコミによって新伝承派と命名された4ビートを演奏する若手の温床として、再評価されるのです。

ちなみにこの音源は全部で15曲が公になっており、ここに聴かれるのはその半分、残りは同レーベルからのCD「Vol.2」に収録されています。

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