今日もこれから宴会です。芸もやらなければならないので、マンネリ承知の独りジミヘンで顰蹙をかう覚悟ですが、今回は「紫の炎」のリフを練習したので、ウケを狙っていきます♪
ということで、本日の1枚はこれ――
■Made In Europe / Deep Purple (Warner Bros.)
またまたディープ・パープルで申しわけありませんが、好きなんだから、ご容赦願います。
で、このアルバムは一時解散後の1976年に出されたライブ盤で、内容はまだリッチー・ブラックモアが在籍していた1975年春の欧州巡業の音源を集めています。つまり来日しなかった第3期のメンバー、デイヴッド・カヴァーデイル(vo)、リッチー・ブラックモア(g)、ジョン・ロード(key)、グレン・ヒューズ(b,vo)、そしてイアン・ペイス(ds) による演奏というのがウリでした。
ただしアナログ盤1枚の発売だったことから、当時の演目が全て収められていないところが、ファンの欲望を満たしていませんでした。しかし、それ故に選び抜かれたテイクが使われたはずという解釈も出来るのですが、その内容は――
A-1 Burn / 紫の炎
第3期といえば、これっ! ここではバンド全員による音出しから思わせぶりなリッチー・ブラックモアの緩~いギター、そして誰かの、ロックンロ~ルという当たり前すぎる呟きがあって、あの高揚感たっぷりのリフが始まります。
そしてこの瞬間からバンドは大爆走! イアン・ペイスのドラムスはスタジオ盤以上に凄まじく、デイヴッド・カヴァーデイルとグレン・ヒューズのツイン・ボーカル体制もヤケクソ寸前のキレっぷりです。もちろん例のクラシカルなキメもワイルドに炸裂していますし、途中にわざわざ作られたブレイクではリッチー・ブラックモアがファンキーな刻みまで聞かせてくれるのですから、たまりません♪
A-2 Mistreated
ディープ・パープル流のブルースロックという演奏になっています。ただしリッチー・ブラックモアのギターからはブルースという香りがしません。しかしその他の4人がソウルフルに迫っていますので、完全に浮いているのが不思議な魅力というか、逆にリッチー・ブラックモアという天才ギタリストの真髄を味わえるという皮肉な出来になっています。それはクラシックやジプシー・スイング、またサンタナ風ラテン歌謡みたいなフレーズまで披露していますので、憎めません。そしてバンドは激情溢れるクライマックスに突入し、オマケに黒人ブルース・スタンダードである「Rock Me Baby」まで演じて楽しませてくれるのでした。
A-3 Lady Double Dealer / 嵐の女
これぞハードロックという演奏ですが、あまりにも当たり前過ぎて???です。つまりこれなんか別にディープ・パープルでなくてもいいという曲なんですね。しかしこのノリが他のバンドに出来るかといえば、否! ここでのジョン・ロードはディープ・パープルの化身という存在感です。
B-1 You Fool No One
冒頭はジョン・ロードの一人舞台で、好きなようにキーボードでお遊びを披露していますが、観客は大喜びという優しさが微笑ましいです。そしてあの強烈なラテン・フュージョン系のドラムスが炸裂し、バンドの激走がスタートします。グレン・ヒューズのベースもファンキーのツボを掴んで健闘していますし、リッチー・ブラックモアのギター・リフもコード弾き主体でワイルドに迫っているという、当にライブ・バージョンの迫力が堪能出来ます。
ツイン・ボーカル体制によるハモリの歌も纏まっていますが、さて問題はやはりリッチー・ブラックモアのギターソロです。例のキメのリフの後から白熱の神業が聞かれると思いきや、なんと自分だけテンポを半分に落としてしまうという、逃げの展開になっています。スタジオ盤でのファンキーなソロが大好きだった私には完全に肩透かしの演奏で、これは許すまじ!
しかも途中では無伴奏で独りジミヘンみたいな宴会芸もどきを披露し、さらにスローブルース風な部分までやってしまいます。それはもちろん、それなりに凄いのでしょうが、私は納得しません。
ただし他のメンバーが、その隙間を埋めるかのようにファンキー大会をやっているので、そこばかり聴いている私です。それにしてもイアン・ペイスのドラムスは凄い! おぉ、嵐を呼ぶ男!
そして大ブルース大会の大団円となるのですが……。
B-2 Stormbringer / 嵐の使者
ハードロック様式美の典型という演奏で、それゆえに型にハマってしまった物足りなさが残ります。ちなみにリッチー・ブラックモアはこの巡業後にバンドから脱退してしまうのですが、何となくそれが分かるような気がします。つまりハードロックを完成させてしまった後の煮詰まりが、ここではモロに出ているのですから……。
ということで、当時、このアルバムはリッチー・ブラックモア最後のパープル伝説として存在価値がありました。そしてこれを聴くと、リッチー・ブラックモアというギタリストはやはりロカビリーやクラシックのフレーズを活かしたフレーズを弾きたかったわけで、ファンキーやソウルフルなんてものは無理矢理やらされていたのかなぁ? 等と不遜なことを思ってしまいます。実際、天才とか神様と言われているギタリストの中で、これほどブルースが上手くない人も珍しいと感嘆するのみです。
しかしバンド全体、そしてアルバムそのものの出来は、如何にもハードロックというエネルギーに満ちていて、やはり魅力的な作品!
ちなみに現在、紙ジャケ仕様のCDも出ています♪