黒鉄重工

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北米project 4 ~Is the order a warbird? その13【2016/03/04~10】

2017-05-13 22:45:05 | 海外旅行記

いつ終わるんだと思うUSSアイオワ編。アイオワの艦橋を出て、上部構造を歩いていきます。
SRBOCチャフ散布装置。SRBOCというのはSuper Rapid Bloom Offboard Countermeasuresの頭文字で、日本語だと超高速展開艦上対抗装置・・・かな?
前回出てきた電子戦装備のAN/SLQ-32(V)3による妨害が失敗してしまった時に使う最終防御手段です。これを使うような事態ということはほぼほぼこの艦はもうおしまい。
レーダーを狂わせるチャフ、赤外線探知をあべこべにするフレア弾など、比較的原始的なものがこの筒の中に詰まっています。
AN/SLQ-32(V)3の管制下に置かれている・・・というのも前回書きましたが、これはどうも、AN/SLQ-32(V)3が妨害に失敗しちゃったよテヘペロとなった時に自動的にこのSRBOCを展開させるというプログラムになっているんだそうで。



前回も見たMk.37射撃指揮装置。これは4つあるうちの左舷側に配置されているものです。
ちなみに射撃指揮装置が開発され始めた時はレーダーはまだ形もなかったんですが、そのうち実用化されるやろと見越して箱の上面はレーダーが載せやすいように平面にしてあるとのこと。先見の明あるなぁ。



第2煙突。後ろ側にある方です。第1煙突はレーダー塔の後ろにあって、近代化改修の際にレーダーを載せた櫓の下に半ば隠れてしまっています。



対地ミサイル「トマホーク」を収めた箱・・・のはずなんですが、なんだかチャチだな。たぶんハリボテでしょう、これ。
なのでここは軽くスルー。



第1煙突。上記の通り、近代化改修で追加されたレーダー櫓と半ば一体化してしまっています。さすがにレーダーの置き場所に困ったと思える。



御存知ファランクスCIWS。CIWSはClose In Weapon Systemの頭文字で、近接兵装装置、ですかねぇ?なおアメリカ人は形が似ているからとR2-D2と読んでいる模様。スターウォーズ党および無党派層の人たちはそれでいいんでしょうけど、スタートレック党の皆さんもそう呼んでいるんでしょうかね?
20mmガトリング砲を装備した対空兵装で、こっちにやってくる対艦ミサイルを撃ち落とすためのもの。射程距離は400~1700mほどで、超高速で殺しにかかってくる対艦ミサイルを撃ち落とすには迎撃可能時間が結構シビア。それを確実に仕留めなければならないので、こいつの白い筒にはコンピューターやらレーダー(警戒用と射撃管制用の2種類載っているのがミソ)が載っていて、それで自律攻撃してしまう素敵兵器です。

なおCIWSは、これも最後の防御手段となりますので、より遠い距離でミサイルを仕留めるのが良いのですが、1700mよりも遠い距離を撃てる兵装というと5inch砲くらいしか無く・・・(直接的に打撃しないならSLQ-32がありますが
しかし5inch砲は人力で、射撃指揮装置は朝鮮戦争から進歩していないとなると、ミサイルを相手にするのは無謀と思われ。
アイオワさん、実は対空防御力は低い相当んじゃないか・・・と思います。USSアイオワの周囲に展開する護衛の駆逐艦がいないとまともに行動できなかったんじゃないかな。



この4本の筒は対艦ミサイル「ハープーン」。敵艦絶対殺すマン。
これを片舷に8発、計16発と贅を尽くした搭載量となっています。これが実装されて以降、対艦戦闘の兵装はこれになりましたから、主砲なんてものは対地攻撃で使う程度のただの飾りになりました。残当。
ハープーンそのものは入っていなくて、ミサイルを収めておく筒だけ。しかも、これもハリボテなのでじっくり見ることもないです。雰囲気作りとして大事なのは分かるんですけれども。ただし、筒を固定する土台は本物のようでした。



再びトマホークの箱が。これは本物ですね!
某菊池が放ったことで知られるサジタリウスの矢こと32 BGM-109「トマホーク」は対地ミサイルとして使われます。元々は核ミサイルだったんやで・・・。
この箱型のランチャー(ABL; Armored Box Launcher・・・装甲箱型発射装置)には1つにつき4発のトマホークを装填でき、ランチャーは片舷4基あります。つまり全部で32発のトマホークを搭載しているわけです。これが晩年のアイオワ級の最大の売りでした。
トマホークは1984年の近代化改修で実装されたものです。実装後の対地攻撃はこれが主兵装となり、ハープーンと同じくやはり主砲はただのお飾りに。主砲の存在意義なんて最早海軍の象徴でしかなかったのかもしれません・・・。

発射時にはこの箱が上にせり上がって斜め上を向いた状態から発射されるようになっています。



ミサイルは入っていませんが、どう入っているのかはわかりますね。



前回説明しなかった、Mk.38射撃指揮装置、測距儀、Mk.13レーダー。これは主砲の射撃管制を行うもので、艦の前後に1基ずつ、計2基あります。
ここからの向きだと後ろを写している恰好なのですが、前からは撮れなかったのです。



横に伸びている四角い棒状のものが測距儀です。左右の覗き穴を覗いて目標までの距離を測るためのものです。三角関数の知識が必要になってくるので無学な筆者には分からないのですが、測距儀左右の覗き穴の距離が長いほど精度が高いのです。大和型戦艦なんてのはカンザシみたいな15mもの特注の超巨大測距儀を搭載していました。
一方、USSアイオワのこれは10mくらいがせいぜいで、既に何度か言っていますが測距儀で射撃管制するつもり無かったでしょうと思います。

じゃあ何でやっていたかというと、その上にあるゴマ粒みたいな断面をしているMk.13射撃管制レーダーです。元々アイオワ級では輪投げの的のオバケみたいな形をしたMk.8射撃管制レーダーを使っていましたが、使い勝手が悪かったので堅実で使いやすいこのMk.13に換装したという経緯があります。それが1945年です。
レーダーだと測距儀で見るより正確な敵の位置がわかるわけですが、当時はまだレーダーのノイズがひどかったらしく、超便利な兵器というわけでもなかったのが実情のようです。

Mk.13の下、測距儀に串刺しにされている円筒状のものがMk.38射撃指揮装置です。Mk.37射撃指揮装置と同じく艦内にあるMk.1アナログコンピューターと連動していて、射撃指揮装置の要員が割り出した諸元をコンピューター付きの要員が計算して、各主砲に伝達、主砲の要員はコンピューターの指示により主砲を操作、最後に戦闘指揮所の指揮官が引き金を引くみたいな流れです。

で、驚くべきはこの一連の装置、第二次世界大戦からほとんど全く進化していないまま最後まで運用されていたと思われます。湾岸戦争で主砲を発射したアイオワ級の写真は有名ですが、あれの主砲が向いている方向と同じ向きにこの射撃指揮装置も向いているのです。
本当、よくもまあと思います。海軍もどこまで本気でアイオワで戦闘する気だったのか分かりませんね。やっぱり象徴でしかなかったのかなぁ。



5inch連装砲。やっぱり連装砲ちゃんに見える。
副砲にも星印のフタがされているのですね。



トマホークランチャーとレーダー塔。



上部構造から一気に主甲板まで降りてきたところで今日はここまで。
アイオワ編もあと数回で終われそうです。


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