もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

7 010 津野田興一「やりなおし高校世界史―考えるための入試問題8問」(ちくま新書:2013)感想4

2017年10月25日 20時39分41秒 | 一日一冊読書開始
10月25日(水):  

267ページ     所要時間1:40     アマゾン323円(66+257)

著者48歳(1965生まれ)。東京都立大学人文学部史学専攻卒業、同大大学院人文科学研究科史学専攻修了。専門は中国近現代史・世界史教育。現在、東京都立駒場高等学校で世界史を教える

感想は1ページ15秒の印象である。じっくり読めば、4+以上になったと思う。入試問題を題材にしたこの手の類書は他にも多くあるが、本書はかなり上質な部類に入ると思う。読み物として十分に成立している。またの機会に、もう少しゆっくり味わいたい本だと思った。

俺は毎年、新聞でその年のセンター試験の日本史と世界史の問題を解いている。日本史は、ほぼ100点、世界史も95点前後をこの5年程撮り続けている。日本史は本気、世界史は遊びだ。それでも遊びで95点前後取れる世界史のセンター試験の問題の出し方には、ずっと違和感を覚えてきた。覚えなければいけない事項が多すぎるので、〇✖程度の安易な問題しか出されていないのだろうが、それにしてもひど過ぎる、と思ってきた。

それに比べて、本書には<本物の本格的な世界史の問題>が紹介されている! 正直に書くが、近現代史でこういう風な記述問題を出された場合、俺はお手上げである。もちろん問題が意図する問いの意味は理解できるが、解答能力が追い付かない。恐らく、何の準備もしなければ3割ぐらいとるのがやっとだろう。

だが本書の狙いは、別にある。論述問題をきっかけにして、世界史の近現代史に分かりやすくテーマを立てて解説整理してくれているのだ。15秒読みで、ページに目を這わせているだけだが、俺は「面白そうだな」と感じた。この先生の授業はきっと楽しいに違いない。もちろん真面目に世界史に取り組んでいる生徒でないとだめだが…。世界史は、やわな教科ではないから。

著者の出してるもう一冊の本「世界史読書案内」(岩波ジュニア新書:2010)の古本をアマゾンで発注した。

【目次】第一章 近代一九世紀の国民国家建設の時代 :1国民国家はどのようにしてつくられたのか?(東京都立大学)/ 2中国の近代化はどのような困難と向き合ったのか?(筑波大学)/ 3イスラーム世界の近代化にともなう課題とはなにか?(京都大学)   第二章 現代二〇世紀前半の国民国家の完成期 :4アジアのナショナリズムのはじまりは?(東京都立大学)/ 5現存する民族問題の根源とは?(東京大学)/ 6国家にとって女性はどのような存在?(一橋大学)/ 7ファシズム政党が政権を握ることができたのはなぜ?(京都大学))   第三章 近世から現代へ国家と戦争 :8戦争が大規模化するのはなぜ?(東京大学)

【内容情報】大学入試、しかも論述問題ってなんだかとても難しそう…。だけど、それは世界史のダイナミズムを思考するうえで、最高の題材だ。「国民国家がどのようにしてできたか」「いまも残る民族問題はなぜ生まれたか」「ファシズム誕生の理由」「戦争はどうして大規模化したか」など、現在にもつながる良問を8問セレクト。それぞれの問題の解答を考えていけば、自然といまの国際社会の全貌が見えてくる。受験を控えた高校生はもちろん、すべての社会人必読の一冊。
  世界史を学んでゆくと、いくつもの出来事が「つながる」楽しさや、「比較する」ことで見えてくる新しい意味づけ、また、「抽象化・一般化する」ことによって大きな歴史の流れをつかむことができたりと、実にさまざまな面白さを味わうことができます。

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