もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

150524 一年前:140523 米映画「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年)録画を観た。感想4

2015年05月24日 21時59分53秒 | 一年前
140523 米映画「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年)録画を観た。感想4

5月23日(金):1時間45分。なんとなく観始めて、最後まで観た。一回ではピンとこない内容だったが、なんとなく最後まで観てしまった。ラストで「天の啓示」は亡父との手遅れな和解を...

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150524 報道ステーションの堕落・衰退が止まらない。古舘伊知郎は害悪が多過ぎる。潮時だ、辞めるべし。

2015年05月24日 15時17分11秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」

真実を探すブログ:遂にイギリスのエコノミスト誌も安倍首相の報道規制を批判!日本のマスコミが安倍首相に土下座をしている風刺画も!  2015.05.20 13:30 
 イギリスの週刊新聞で世界的な知名度があるエコノミスト (The Economist) 誌が日本の安倍政権を批判する記事を掲載しました。タイトルは「The media in Japan Speak no evil(日本のメディアは悪について話さない)」となっており、安倍首相に土下座をしているメディアの風刺画も一緒に載っています。
記事中でエコノミスト誌は「政治家による介入が長く続いている」と安倍政権を批判し、リベラル系のニュース番組に圧力を加えていると指摘しました。報道ステーションでコメンテーターだった古賀茂明氏が安倍政権を批判して辞めたことも取り上げ、日本政府は放送法を悪用しているという事が書いてあります。
エコノミスト誌がここまで明確に安倍政権の報道規制を批判したのは珍しく、風刺画も合わせて波紋を呼びそうです。

おまけ:


Speak no evil
Japan’s media are quailing under government pressure
May 16th 2015 | TOKYO | From the print edition

WITH a weak opposition, an election in the bag and buoyant approval ratings, the government of Shinzo Abe, Japan’s prime minister, would hardly seem to have much to fight against. Yet it is waging an increasingly heavy-handed campaign to intimidate the media. Even pro-government journalists are crying foul.

Discreet interventions by politicians have long been customary. But bullying recently broke into the open when a bureaucrat turned political gadfly, Shigeaki Koga, accused the government on a television show of strong-arming the media by securing his removal from “Hodo Station”, a news show owned by TV Asahi, a liberal broadcaster. The ruling Liberal Democratic Party (LDP) promptly proved Mr Koga’s point by grilling the programme’s producers over the outburst under the auspices of Japan’s broadcast law.

That brought the LDP close to overstepping the law’s guarantees of freedom of expression, media scholars say. Other recent cases of muzzling the media include thinly veiled threats over broadcasters’ licences. Last autumn the LDP demanded fair and neutral reporting on the snap general election in December. Many Japanese thought the election a waste of time and money. Television channels cut back their coverage. Not coincidentally LDP—which is able to get out its core voters and does better on low turnouts—won easily.

Mr Abe has objected to television interviews in which ordinary people say that his economic schemes are not helping them, though such a perception is common. Personnel changes at Japan’s main broadcasters are now routinely rumoured to be down to government pressure. Even foreign journalists complain that diplomats try to steer their reporting.

The long-term aim may be a broad reshaping of the media. While the LDP was out of office in 2009-12, it blamed the media for its humbling by the opposition Democratic Party of Japan. Today Mr Abe’s cherished aim is to revise Japan’s constitution, written seven decades ago by the Americans, in which Japan renounces war as a sovereign right. Shifting the public away from its deeply held pacifism would require broad media backing, or at least for criticism to be muted.

A particular target is NHK, the state broadcaster. The government also summoned executives from “Close-up Gendai”, a hard-hitting current-affairs programme, to answer for minor flaws. The broadcaster’s newish director-general, Katsuto Momii, a friend of Mr Abe, last year declared an intent generally to hew more closely to the government line. The LDP also cheered the departure in 2013, for family reasons, of Monta Mino; his forthright guests used daily to skewer the ruling party on television, says Michael Cucek of Sophia University.

The assault on broadcasters accompanies pressure on the most forceful of the establishment-minded big daily newspapers, the Asahi Shimbun, sister paper to TV Asahi. Last autumn the government and conservative media outlets savaged it for its admission that some of its reporting on the imperial army’s wartime use of sex slaves had relied on false testimony. The broad historical facts are not in doubt, yet journalists say that inside the Asahi it is now hard to write about the issue at all. The paper’s political reporters are often too cowed even to ask questions at government press conferences, rivals say.

Mr Abe would never go so far as to yank a broadcast licence, says one LDP politician, for that would smack of authoritarian government and prompt retribution at the ballot box. Yet there seems plenty of scope to encourage timidity. A new law on state secrets that could send journalists to prison for receiving leaked information will presumably dampen investigative appetites. In a global ranking of media freedom by Reporters Without Borders, a Paris-based watchdog, Japan now comes 61st, a fall of 50 places in just five years.

From the print edition: Asia

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4 082 藤原和博「坂の上の坂」(ポプラ社:2011) 感想3

2015年05月20日 01時01分39秒 | 一日一冊読書開始
5月19日(火): 副題「55歳までにやっておきたい55のこと」

270ページ  所要時間 2:10   ブックオフ108円

著者56歳(1955生まれ)。リクルートでエリート猛烈社員だったが、メニエル症を患い30代後半以降、人生の過ごし方を変えた。

 自分の人生経験を基に50代後半から始まる長すぎる余生に備えるよう呼びかける内容である。それほど偉そうではないが、無難、月並み、当たり前なことがそれなりに配列されて書かれている。どうでもいいことを事々しく取り上げていたり、なるほどさすがと頷けることがあったりで、総じて可もなく不可もなし。ただ読書の喜びは少なかった。だって、このおじさんの人生にあまり関心なんてないんだもん!

紹介文:年金、雇用、医療、災害…… /国も社会もあてにならないこの時代、50代からの30~40年をどう過ごすのか?
あなたの人生の後半戦、 この一冊が分かれ道。晩節を汚す人、咲かす人。あなたはどちらになりますか? 仕事、住まい、お金、パートナー……。 前時代的な価値観の呪縛を脱ぎ捨て、今こそ真の豊かさに舵を切れ!


目次:はじめに 『坂の上の雲』から「坂の上の坂」へ
序章 人生のエネルギーカーブに気をつけよ / 第一章 世の中を信じる / 第二章 幸せは自分の中にある / 第三章 “いい子”は、もうやめる / 第四章 会社を利用し尽くす / 第五章 消費の作法 / 第六章 コミュニティをシフトする / 第七章 パートナーと向き合う / 第八章 死とお金を考える / 第九章 本当に必要な備えをする / おわりに 坂の上の坂」世代の大事な役割、孫育て
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4 081 古市憲寿「だから日本はズレている」(新潮新書:2014) 感想4

2015年05月19日 01時39分22秒 | 一日一冊読書開始
5月18日:

237ページ   所要時間 3:25   ブックオフ108円

著者29歳(1985生まれ)。

前半では「おじさん」の数々の勘違いを指摘する。著者のセンスはなかなか良い。後半では、世の中の変革を「若者」に期待するのはやめてくれ。むしろ時間も金も情報・コネも持ってる「おじさん」たちの方こそもっと良い世の中になるように動いて努力すべきでしょう、ってこと。 身も蓋もない言い方をすれば、こういう論旨の内容である。ちなみに「おじさん」に性別は関係ありません。

俺の頭の状態にもよるが、読んでも頭に定着しない。途中まで感想は3+だったが、著者の作風なのか分からないが、終盤にかなり辛口の批判精神が発揮されるようで、ちょっとおまけの感想4になった。

218ページ「このままでは「2040年の日本」はこうなる」だけでも読めば、それなりに面白い。著者はハクスリィーの「すばらしい新世界」を読んでると思う。不安と批判精神を奪う精神薬ソーマと同じ「ハッピーサプリ」という精神薬を登場させている。著者はわずか25年後で日本が凋落し切っていると考えてるようだ。 「おじさん」の一人としては、本当に残念の極みだ。

紹介文:リーダーなんていらないし、絆じゃ一つになれないし、ネットで世界は変わらないし、若者に革命は起こせない。29歳の社会学者が「日本の弱点」を突く。   この国の「大人たち」は、いつもどこかズレている。ジョブズのようなリーダーに憧れ、夢と絆で一つになれると信じ、「日本の良さ」は必ず伝わると疑わず、若者には変革を期待し、学歴や就活は古いと嗤い、デモやSNSで世界は変わると訴える。この「勘違い」はどこからくるのか? 迷走を続けるこの国を二十九歳の社会学者が冷静に分析。日本人が追い続ける「見果てぬ夢」の正体に迫る。

【目次】:はじめに 不思議の国の「大人たち」
「リーダー」なんていらない :日本には真のリーダーがいない?/ジョブズの本当にすごいところ/「救世主」を求めてしまう人々/「強いリーダー」の不在を誇りに/現代社会は「ゲリラ戦」だから/誰だってリーダーの時代/そもそもリーダーって何?/強いリーダーより小さな集団
「クール・ジャパン」を誰も知らない :「気持ち悪い」プレゼンと新しい一歩/迷走したオリンピック招致活動/この暑苦しさは誰のためか/「失くしもの探し」から「新しい希望」の物語へ/「クール・ジャパン」の誕生/戦前日本のクール・ジャパン/会議は踊るが意味不明/出雲大社はクールじゃない?/「クリエイティブ」とどうしても言いたい/ジャパンブランドで外貨獲得を目指せ/マーケティング視点の欠落
「ポエム」じゃ国は変えられない :蘇った「心のノート」/J-POP歌詞の劣化コピー/「この学級に正義はあるか!」/「心」への過剰な期待と警戒/憲法改正草案はJ-POPである/「あなた」不在の日本国/独立も革命もなかった国で/憲法で国の姿は変わらない
「テクノロジー」だけで未来は来ない :「スマート家電」が全然スマートじゃない/誰も欲しがっていない新製品/「本質的な価値」がおろそかに/「ものづくりの国」は終わったのか/21世紀と20世紀のあいだ/こんなに素敵で便利な「監視社会」/人類はずっと監視されてきた/あまりに不便な「マイナンバー制度」/巨額のシステムを導入する前に
「ソーシャル」に期待しすぎるな :「共感」のコントロールは難しい/大企業だって簡単にバッシングできる/「冷めやすい消費者」に怯えるな/僕の「プチ炎上」体験/「正しさ」ではなく「もっともらしさ」が勝つ/「真実はいつも一つ」なんて嘘/炎上を避ける六つの方法/マスメディアの代わりにはならない
「就活カースト」からは逃れられない :内定先で再構築されるヒエラルキー/「就職人気企業ランキング」という流行/1971年の人気企業はいま/「ムード」で就職先を決めているだけ/「人気企業」はやっぱりかっこいい
「新社会人」の悪口を言うな :「入社式」というイニシエーション・セレモニー/革新性のない社長挨拶/「社会人」は日本にしかいない/「仕事ができる」「できない」の基準/いつの世も新入社員は「使えない」/「若者に活躍して欲しい」と言うけれど/仕事を任せる勇気がなければ
「ノマド」とはただの脱サラである :安藤美冬というニューモデル/「会社に雇われたくない」は見果てぬ夢である/「フリーター」がかっこよかった時代/「自立」を迫った勝間和代/やり直しがきかない社会を生きてゆく
やっぱり「学歴」は大切だ :「学校って何のために行くの?」/「東大生は使えない」という幻想/「学問」が人の上に人を造る/「学歴論争」は一大エンターテインメントだ/「能力」は「遺伝」する/「学歴固定社会」は幸せかもしれない
「若者」に社会は変えられない :若者の政治離れって本当?/オキュパイ・トウキョウへ行ってきた/日本の若者は格差を感じていない/有楽町阪急メンズ館には10万人が集まる/社会を一番変えられるのは「老人」だ/デモで社会は変えられる?/ピースボートと日本未来の党/脱原発というお祭り/結局は自民党が圧勝/「静かな変革者」が社会を変える
闘わなくても「革命」は起こせる :「シェアハウスブーム」というブーム/「ここに来るとみんな正社員を辞める」/「ダウンシフターズ」という新しい生き方/「今、ここ」の幸せを求める若者たち/実は「社会の役に立ちたい」/闘うのではなく、むしろ降りる
このままでは「2040年の日本」はこうなる :30年後の幸福な階級社会/若者は海外にしかいない/「都市の時代」への移行/一極集中は「自然に優しい」/「老人の国」のスラム街/国が終わっても人々は生きる
おわりに 「おじさん」の罪
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150518 琉球新報【社説】新基地拒否県民大会 戦後70年の重い決意だ 将来世代に責任果たそう

2015年05月18日 18時35分33秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
5月18日(月):

白痴の安倍晋三はどうでもよい。どうせ間もなく消える。それよりもアメリカ国よ、沖縄に対する対応次第では現行の日米関係に対する日本人の不信感が一挙に高まる可能性があることを畏れよ。沖縄県民の声は、すでにオールジャパンの声である。沖縄県民の声を粗略に扱えば、日本国民の感情を傷つけ、日米関係の深刻な毀損につながることを銘記せよ!

 「辺野古NO」と記されたプラカードを掲げ、新基地建設反対を訴える参加者
   会場入りし握手で歓迎される鳩山由紀夫元首相(左)
琉球新報【社説】新基地拒否県民大会 戦後70年の重い決意だ 将来世代に責任果たそう 2015年5月18日
 名護市辺野古への新基地建設を阻む民意の底流には、沖縄の苦難の戦後史を断ち切らねばならないという強い意思がある。
 「戦後70年」を大会名に冠した意義が幅広い世代の参加者に共有されていた。気温30度近い炎天下にもかかわらず、「辺野古新基地阻止」県民大会に3万5千人(主催者発表)が参加したが、会場にはそれ以上の熱気が渦巻いた。
 映画監督のオリバー・ストーン氏が連帯のメッセージを寄せるなど、県民大会は沖縄の民意の地殻変動の大きさを世界に印象付けた。

訪米要請の弾みに
 県民は「沖縄の尊厳」に裏打ちされた基地の島からの脱却、沖縄のことは沖縄が決める「自己決定権」の獲得という二つの固い決意を日々、強めている。
 共同代表ら弁士は沖縄のアイデンティティーと重なるしまくとぅばを随所で用いた。沖縄戦の住民犠牲と人権が踏みにじられてきた米軍統治時代など戦後の歩みを縦糸に、現在の新基地を拒む重層的な民意の広がりを横糸にした発言を繰り出した。
 自らの意思で沖縄のありようを決めることができなかった負の歴史に終止符を打ち、子や孫の将来世代に基地負担を残さないという不屈の誓いが説得力を宿していた。
 「新辺野古基地の建設を阻止することは普天間基地(問題)を唯一、解決する政策だ」。新基地を造らせず、普天間基地を閉鎖に追い込む決意をほとばしらせた翁長雄志知事は声のトーンを上げ、こう結んだ。
 うちなーんちゅ うしぇーてぇーないびらんどー(沖縄人をないがしろにしてはいけませんよ)」
 「うしぇーらんけー(みくびるな)」と投げ付ける言い回しを避け、諭す響きがあった。
 沖縄の民意を無視し、新基地建設が「唯一の解決策」と言いはやす安倍晋三首相と沖縄に基地を押し付けて平然としている本土の「人ごとの論理」を改めるよう促す意味合いがあろう。
 この日一番、まさに地鳴りのような拍手が沸き、全ての参加者が総立ちになった。沖縄への差別と犠牲を断つことを切望する民意が凝縮されて示された。県民大会は何度も開かれてきたが、かつてない光景であった。
 菅義偉官房長官、安倍首相、中谷元・防衛相との会談を通し、新基地阻止の決意を正面から伝えてきた翁長知事の求心力は一層高まった。大会の成功は訪米要請行動の弾みになる。米国での行動に生かしてほしい。

沖縄の反転攻勢
 在京大手メディアの全国世論調査をみると、昨年12月の翁長知事就任からことし2月ごろまで新基地建設賛成が上回る傾向にあったが、菅官房長官と会談した際の翁長知事の旗幟(きし)鮮明とした発言が大きく報じられて以来、十数ポイントずつ、反対が上回る傾向に変化している。
 一方、辺野古阻止行動に生かす「辺野古基金」には、運動開始から1カ月超で2億1千万円超が集まった。その7割超が本土からの寄付である。
 基金共同代表の呉屋守将氏は「オール沖縄の闘いがオールジャパンに変化してきた」と評したが、民主主義の適用を求める沖縄の主張の正当性に対する理解が着実に広がっている。
 民意を組み敷き、新基地建設をやめない安倍政権に対する沖縄側の本格的な反転攻勢という局面に転換しているのである。
 大会決議はこう宣言した。
 「この沖縄の新たな海鳴りは、沖縄と日本の未来を拓(ひら)く大きな潮流へと発展しつつある。道理と正義は私たちにあり、辺野古に基地を造ることは不可能だ」
 対米追従を深める安倍政権はオバマ米政権に対して沖縄を質草のごとく差し出すことで忠誠を尽くそうとしている。
 しかし、県民大会でも示された強固な民意をこれ以上無視することは許されない。新基地建設を中止し、米本国への普天間配備部隊の撤収などの新たな選択肢を模索すべきだ。
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150517 良かった…、薄氷だが…。大阪市民の良識と知恵に敬意を表しますm(_ _)m。次は、辺野古勝利だ!

2015年05月18日 00時09分28秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
5月17日(日):

大阪市議団自民党幹事長の柳本顕氏は、話しぶりがなかなかである。橋下のような劇場型政治家をいなして抑え込むのには柳本氏のような落ち着いた人柄、話しぶりが効果的で大きかった気がする。

朝日デジタル大阪都構想の住民投票、1万741票差で反対多数 2015年5月17日23時38分
 橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)が掲げた「大阪都構想」の是非を問う住民投票が17日に行われ、1万741票差で反対が多数となった。都構想は廃案となり、大阪市は政令指定市として存続する。橋下氏は同日夜の記者会見で政界引退の意向を表明。安倍政権がめざす憲法改正への戦略も含め、今後の国政の動きに大きな影響を与えそうだ。当日有権者数は210万4076人で、投票率は66・83%だった。
 今回の住民投票は2012年に成立した大都市地域特別区設置法に基づき、今年3月に大阪府、大阪市の両議会で承認された都構想案(特別区設置協定書)への賛否が問われた。大阪市をなくし、市の仕事を新設する五つの特別区と府に分けて、市と府の二重行政解消をめざした。反対派は、指定市が持っていた権限や財源が府に吸い上げられ、住民サービスが低下すると批判してきた。
 結果判明後の記者会見で、橋下氏は敗因について「僕自身にも批判があるが、都構想をしっかり説明しきれなかった。力不足だ」と説明した。今後の身の振り方については「市長任期まではやるが、その先は政治家をやめます」と述べ、政界から退く考えを正式に表明。12月の任期満了までは市長を続ける一方、次の市長選には立候補しない意向だ。
 安倍晋三首相との距離が近く、憲法改正に前向きな橋下氏の看板政策が住民投票で否定されたことは、政権にとっても大きな誤算。橋下氏が最高顧問を務める維新の党がより一層、野党色を強めるとみられ、後半国会の最大の焦点である安全保障関連法案の審議で厳しい局面もありそうだ。
 首相がめざす憲法改正への影響も大きい。来夏の参院選後に改憲を発議するには、衆参各院で「3分の2」以上の賛成が必要で、維新の協力は不可欠。だが、橋下氏が退くことで維新の党勢自体が衰える可能性もあり、首相は戦略の練り直しを迫られそうだ。

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4 080 ユーイーピー(関谷真一監修)「基本の「家づくり」百科」(永岡書店:2004) 感想4

2015年05月17日 23時54分21秒 | 一日一冊読書開始
5月17日(日): 副題「住みよい家のしくみ、建て方のすべてがわかる」

224ページ   所要時間 4:00   ブックオフ200円

監修者47歳(1957生まれ)。一級建築士。

“百科”という名のとおり、非常に手堅い内容である。若干古くなってる部分もある気はしたが、全体として十分に実用に堪える内容である。「家づくり」の基礎的知識を無難に押さえてくれている。

紹介文:家づくりは、一生に一度の大仕事。だからこそ妥協せずにこだわりたいものです。家の構造や工法の種類、設計のポイントなどのプランづくりに役立つ基礎知識から、通風や採光、省エネ・コストダウンのテクニック、設備の選び方などの実践的なアドバイスまで。建てる前に知っておきたい「家づくりの基本」をわかりやすい図解で大紹介。
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150516 一年前:3 104 野田聖子「生まれた命にありがとう」(新潮社;2011) 感想5

2015年05月17日 04時08分41秒 | 徒然・雑感
3 104 野田聖子「生まれた命にありがとう」(新潮社;2011) 感想5

5月15日(木):191ページ  所要時間 2:05   図書館流し読みするにはもったいない内容の本だったが、時間も体力もないので仕方がない。著者50歳(1960生まれ...

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150516 一年前:3 103 池上彰「池上彰の政治の学校」(朝日新書;2012) 感想5

2015年05月17日 04時06分56秒 | 一年前
3 103 池上彰「池上彰の政治の学校」(朝日新書;2012) 感想5

5月13日(火):236ページ  所要時間 3:25   図書館→アマゾン(258円)注文著者62歳(1950生まれ)。本当に仕事に草臥れ果てて帰ってから読んだ。最後ま...

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4 079 金城一守「200年住める木造住宅のつくり方」(ダイヤモンド社:2008) 感想5

2015年05月17日 02時52分33秒 | 一日一冊読書開始
5月16日(土): 副題「低価格でも、長持ちする良い家は手に入る」

214ページ   所要時間 5:50   ブックオフ200円

著者60歳(1948生まれ)。住宅メーカー社長。

著者は5年前まで建売住宅販売会社だったのが、注文住宅建築にも業態を広げるようになった住宅メーカーの社長である。元々はどこよりも安く土地を仕入れ、転売する営業畑の人間で、建売住宅(家付きの土地)販売はしていても、建築そのものの知識はほとんど無かった。しかし、ある雨の日、工務部に雨漏りのクレーム電話が殺到している場に居合わせ、それがいつものことであるのを知り驚いた。組織の在り方、業態の根本的改革に乗り出した。建築の素人であることを転じて会社のあり方、現場監督、下請け、孫請けなどの関係を整理・統合したところ、価格破壊とも言える良質で低価格な家づくりを実現した。

前6割は、軸組み住宅を建てる際の重要な知識の整理。後4割は、建築業界のあり方と関わり方を、先述の注文住宅メーカーへの転換の様子を中心に据えて語る。

本書の感想は、読む人によって幅があるだろう。ひねくれて読めば、ハウスメーカー社長による自分の会社の自慢と他社の悪口を書いた宣伝本と読める。しかし、俺は素直に良識的かつ常識的な内容だと思った。多少の自社宣伝はあっても、そのためだけの本ではない。有意義な知識をたくさん得られた。十分に納得のいく説得力があった。家づくりを多角的・総合的に考える視野を与えてくれる内容だった。著者は意外と文章がうまく、読みやすい本になっている。家づくりの解説書、住宅業界の情報書というだけでなく、読み物としても十分に面白かった。

建売住宅会社と注文住宅会社は似ているが、根本的に違う存在である。建売住宅会社は、基本的に「家付きの土地」を売る不動産屋である。顧客の希望に丁寧に対応することを求められる注文住宅会社に転じるには相当の覚悟と努力が必要であり、極めて難しい。

今の家は、20~30年前の家とは根本的に違う。今の大工は、のこぎりものみもかんなも使わない。材木は予め「プレカット」されている。

論理性を逸脱して外張り断熱にこだわる「宗教建築科」に対して、大手メーカーが内断熱(充填断熱)にとどまる理由は、断熱材のポリスチレンの収縮により断熱材と外壁材の一体化が破れて、5年から10年後にクレームを受けるのが施工会社であるからだ。また、いくら外張り断熱にこだわっても、窓の断熱効果は壁の20分の1~10分の1であることとのバランスを考えれば、絶対という考え方にはならない。

紹介文:*日本の木造住宅の寿命は30〜50年。欧米より極端に短くなっています。この現状は変えられないのでしょうか。長もちする家は価格も高いのでしょうか。そんなことはありません。素材、工法、業者の選び方を間違えなければ低価格で高品質の家づくりは十分可能です。環境にも財布にもやさしい家づくりのノウハウ教えます。
*しっかりした建築システムで施工された建物は、メンテナンスを適切に行い続ければ、軸組みを良い状態のまま二〇〇年残すことも不可能ではありません。最も重要な軸組みさえ残れば、他の部分は修繕・交換しながら住み続けることができます。
住む人の建替え費用は軽減され、住み慣れた場所を離れる必要もなく、長くその土地に暮らすことができるのです。また、長寿を約束された住宅であれば、建物自体の価値も上がり、財産としても大きな意味をもつことになります。
今、時代は高品質で低価格の長寿住宅を求めています。私はそのニーズに基づいて、さらに家づくりを進化させる必要があると思っています。本書が、少しでもそのお役に立てるならこれに勝る喜びはありません。(「はじめに」より)


目次:はじめに——「三〇年住宅」から「二〇〇年住宅」へ
第1章 木造住宅の本当の寿命 :木造建築の素晴らしい性質/木造住宅には二〇〇年の寿命がある/法隆寺の年齢/ヒノキ材の強度は五〇〇年経ったときが最高/ボロボロだった民家の再生工事/木は建材になっても生きている/「有機物」であることを認識すべし/木造住宅を長もちさせるために/木造住宅の寿命を左右するもの/昔ながらの木造住宅の弱み/木造住宅は燃えないようにつくれる/燃えない木造住宅の実例/これまでの木造住宅の寿命が三〇年しかない理由
第2章 二〇〇年住むための「軸組み」 :建材としての木の素晴らしさ/木造軸組み工法のメリット/軸組みに用いる木材は何がよいか/良いムク材と悪いムク材の違い/EW材(集成材)の特性/木造軸組み工法の今と昔/現代の大工はノコギリやカンナを使わない/五重の塔は在来建築技術の金字塔/名工のつくる軸組み以上の耐震性をもつ金具/軸組みを二〇〇年もたせる三つのポイント/軸組みを二〇〇年もたせるための対策/最大の課題は「隠れ雨漏り」をさせないこと/昔の壁と現在の壁の違い/まちなかの新築住宅の二割に雨漏りがある/シロアリ対策の大切さ/恐ろしいシロアリ被害/効果的な防蟻システム/木軸を空気に開放する/通気を確保した現代の工法/軸組みを支える地盤と基礎/二〇〇年住宅を建てる地盤の重要性/不同沈下を起こさない地盤づくり/二〇〇年住宅のための基礎工事/定期的な管理システムの必要性
第3章 二〇〇年木造住宅を支える建材と工法 :二〇〇年木造住宅を支える「壁」づくり/耐力壁に筋交いを使う/金属サイディングと内張り工法/透湿防水シートの性能/防火にも優れている通気工法/外壁材の選択:モルタル壁/
外壁材の選択:窯業系サイディング/二〇〇年木造住宅を支える「屋根」づくり/屋根材の選択:スレート瓦/屋根材の選択:粘土瓦/二〇〇年木造住宅を支える「配管」「コーキング」/上下水道配管と電気配線/コーキングの耐用年数/快適な二〇〇年住宅の断熱性と気密性/外張り断熱は本当に効果的か/充填工法のメリットとデメリット/充填工法に用いるさまざまな断熱材/ガラスの断熱効果/換気、気密、断熱の問題は一体/結露を防ぐ
第4章 良質な施工業者の条件 :建売住宅と注文建築の違い/建売住宅の品質/違いは「質へのこだわり」/施主と施工業者の関係/有名建築家がデザインした住宅/人それぞれの価値観で異なる「良い住宅」/施主と施工業者のそれぞれの責任/大手と中小の施工業者に違いはあるか/住宅の性能評価制度が浮き彫りにした事実/大手と中小で住宅建築の技術に差はない/注文建築会社の品質/等級表示だけではわからない建築の品質/施工業者の規模と建築の質/良質な注文建築会社の三つの条件/施工業者の意識改革/原価引き下げへの取り組み/連続する雨漏りのクレーム/施工に対する意識の改善/まる投げから直発注への転換/スピーディな見積書の作成/ディテール集、設計要綱、施工手順書の設定/クレームを施工改善に生かす/クレームを公開する/透湿防水シートの水掛けテスト/バルコニー、天窓の施工/議論の積み重ねが良い住宅を生む
第5章 低価格と高品質を両立させる家づくり :価格と品質のバランス/家づくりで重視すべき一六のポイント/坪単価七〇万円の住宅/家づくりの基本はバランス/建築原価の仕組み/耐震性と耐久性に追加費用はかからない/計画的な管理/すべての性能を最高等級にすることはできない/多くの展示場に行く/ローコストの木造住宅が可能になる理由/品質が良くて価格が安い注文建築の登場/増大する小規模な注文建築へのニーズ/お客様と業者の価格に対する意識の違い/信頼関係を築くための事前の合意/適正な住宅価格は大手注文メーカーの価格ではない/大手注文建築メーカーの危うさ/ローコスト会社の問題点/膨大な建替えニーズが休眠している
あとがき
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150516日本の岐路「大阪市」も「憲法」も壊すだけなら簡単。問題は“その後”にこそある。答えは「否!」だ

2015年05月16日 16時23分20秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
5月16日(土):

 もし大阪都構想で橋下徹が敗北したら可哀想と思う人がいるならば、勘違いも甚だしい! 橋下維新の府市政でどれほどたくさんの生活困窮者や社会的弱者(お年寄り、障害者、母子家庭、生活保護者、外国籍市民、他)が切り捨てられ、どれほどたくさんの涙が流されてきたのかを思い起こすべきだ。橋下なんて、まったく可哀想ではない。

 橋下徹が現れてからあと、政治がイベント化して、次々に敵や悪者が演出され、つくり出され、それを血祭りにあげ、見せ物にすることがずっと繰り返されてきた。「従軍慰安婦は当り前。お互い様。米軍基地の若い海兵隊員のために(日本人女性の)慰安所を設けましょうか」とアメリカの司令官に媚びへつらってドン引きされ、国内・外で“ど顰蹙”を受けたのもこの男だ。

 そんな騒々しさに我々が飽き飽きした頃には、いつの間にか放送局も新聞も変質し、世の中で普通に攻撃的・差別的な言葉が使用され、他国を誹謗・中傷する言葉が好まれ、「売国奴」「非国民」のレッテル貼りが横行するようになった。今や体にまとわりつくような粘っこい空気感の中、街中で自由にものが言えない雰囲気が醸し出されている。この嫌な雰囲気が生み出された原因こそこの橋下徹というポピュリストのファシストであることを思い起こすべきだろう。

 「(選挙で勝った)私が最高責任者だ」の暴言をはじめ白痴の安倍晋三の言動をずっと観察していれば、悪質・悪辣な安倍の言動や思考のほぼすべてが橋下徹の言動の猿マネであることは容易に見てとれる。安倍と橋下の親和性は理の当然なのだ。橋下を勝たせてはいけない。嘘つきファシストの橋下に「負ければ政治家を引退する」という約束を守らせるためにも、大差をつけて完膚なきまでに橋下を打ち破り、突き放さなければならない。今回だけは、祈るような思いで、大阪市民の良識と知性に期待したいと思う。

 「一度大阪市がなくなると、都構想に失敗しても二度と元に戻れない」というのは、「憲法」も全く同じだ。“アラブの春”の失敗を思い起こせ、壊すだけなら簡単だ。問題はその後に、壊す前より良いものを作れるか、壊す前より良いものを手にできるかにこそあるのだ。答えは「否(いな)!」だ

日刊ゲンダイ【寄稿】5・17大阪市住民投票と「日本の危機」 作家・適菜収 2015年5月16日 
 大阪市解体の賛否を問う住民投票直前である。時間がないから結論から言う。橋下徹および維新の会がやっている「都構想」なるものは巨大詐欺である。橋下維新がやっていることは、ウソ、デマ、プロパガンダを流すことにより、大阪市民の財産をかすめとることである。
 今回の住民投票で賛成派が1票でも多ければ、政令指定都市である大阪市は解体され、地上から消滅する。その財源や権限の多くは橋下維新により流用されることになる。今回の事態は、大阪市だけの問題ではなく、国家全体の問題である。橋下維新の運動を、政治学的にみれば、全体主義と断定せざるをえない。全体主義はプロパガンダとテロルにより拡大するが、橋下維新もまた、デマを流し、学者らに圧力をかけ、矛盾する発言を繰り返している。
 橋下維新が垂れ流すデマにより、勘違いする人が続出したが、「二重行政の解消のために都構想を実現する」という話は住民投票とは関係ない。二重行政の解消でカネが出てくるという話自体がウソである。維新の会は、当初、年間4000億円の財源を生み出すのは「最低ライン」と言っていた。ところが、大阪府と大阪市が試算した結果は976億円。さらにその数字も橋下の指示による粉飾だった。この件について記者から追及された橋下は「議論しても仕方ない」と言って逃げている。
 結局、橋下は学者らに指摘された疑問についても一切答えていない。ウソにウソを重ねて誤魔化すか、「もっと勉強しろ」「対案を示せ」「共産党の仲間か」などとレッテルを貼り、議論から逃げるだけだ。橋下は、学者に批判されると、「彼らは実務を知らない」と繰り返してきた。しかし、実務を知っている学者は、ほとんどが大阪都構想を批判している。
 現在、大阪市大阪市会が出している「効果」はわずか1億円だ。この時点で当初の4000分の1だが、さらに制度を移行するための初期投資に680億円、年間コストが15億円かかる。「1円儲かるから680円払え」と言うのと同じで、「都構想」とは小学生でもわかる詐欺なのだ。にもかかわらず、橋下は大阪市のタウンミーティングなどで、二重行政の解消による財政効果は「無限」などと言い出している。細工が加えられた詐欺パネルも市民団体や学者により指摘された後も使い続けている。大阪市民は、完全に、橋下にバカにされているのである。
 橋下維新は「大阪市民を騙す」という明確な悪意の下、住民投票を仕掛けた。それでは、橋下の目的はなにか?もちろん、大阪市の解体により、年間22〇〇億円のカネを流用することにあるのだろう。それが、府の借金の返済や、湾岸部にカジノ建設にあてられる可能性が高い。そこに莫大な利権があることは誰でもわかる。しかし、橋下個人の動機はもっと深いところにあると私は考えている。
 橋下はタレント時代の著書で次のように述べる。
「なんで『国民のために、お国のために』なんてケツの穴が痒くなるようなことばかりいうんだ? 政治家を志すっちゅうのは、権力欲、名誉欲の最高峰だよ」
「自分の権力欲、名誉欲を達成する手段として、嫌々国民のために奉仕しなければいけないわけよ」
 こうした日本国民に対する憎悪に近い感情は、政治家に転身したくらいで消えるものではない。大阪の破壊が終わったら、国政で、次の破壊活動を始めるのだろう。全体主義は癌細胞と同じである。放置すれば、取り返しのつかないことになる。日本国民は、今すぐ、立ちあがるべきである。
(敬称略)
▽てきな・おさむ 作家、哲学者。著書に「日本をダメにしたB層の研究」「日本を救うC層の研究」など多数。

日刊ゲンダイ橋下維新陣営 「反対派のデマ」と称して公式サイトでデマ拡散  2015年5月16日 
「反対派の批判は不安をあおるだけで全部デマ」――。大阪都構想の住民投票で劣勢が伝わる大阪維新の会代表の橋下徹・大阪市長が連日、街頭演説などで反対派の主張を「デマ」と決めつけ、形勢挽回に躍起だ。
 大阪維新の会は公式サイトのトップページに〈都構想のデマが拡散中です !ご注意ください!〉というバナーを設置。クリックすると、〈反対派のデマに使用されているQAです。正解はコチラ。〉とうたって、反対派の88項目もの主張に逐一反論している。
 問題は反対派の「一度大阪市がなくなると、都構想に失敗しても二度と元に戻れない」という主張への反論だ。このテーマは住民投票の大きな争点の一つ。日経新聞(4月30日付)の世論調査でも都構想に反対する理由は「多くの費用がかかるから」(27%)に続き、「大阪市がなくなり、元に戻せないから」(24%)が2番目に多かった。大阪維新の会は公式サイトでこう反論する。
〈念のため法律上では、地方自治法第281条の4の規定により、特別区の廃置分合が可能とされておりますので、特別区を市に戻すことや、政令指定都市となることは可能です〉(写真参照)
 ところが、この答えこそ「デマ」。大阪市の公式HPには先月実施した住民説明会の「質問書への回答について」というサイトがある。〈特別区設置後、大阪市を復活できるのか〉という問いには〈現在の法制度においては、特別区が市に戻る手続は定められていません〉と答えている。
「都構想で大阪市を廃止し、東京23区のような5つの『特別区』に分けた後、再び市政に戻すには法律上は特別区を改めて廃止して『新たな大阪市』をつくることになる。このケースは維新の会が根拠とする地方自治法の想定外。実行には新たな法整備が必要です」(政界関係者)
 高市早苗総務相も12日の参院総務委で「特別区が市町村に戻るということは現行法ではできません」と明言したが、この日の会見で大阪維新の会幹事長の松井一郎・大阪府知事は居直り。記者から「HPに〈市に戻すことや、政令指定都市になることは可能〉と書いたのは行き過ぎでは?」と聞かれると、「法律作れば可能じゃないですか」と逆ギレする始末だ。
 この件について、日刊ゲンダイ本紙が大阪維新の会に改めて見解を求めると、担当者は「我々の独自研究だと、現行法でもいくつかの段階を踏めば市に戻ることは可能だと考えます。公式サイトでその段階に触れないのはハショリすぎ? 段階を書くにはスペース不足で、触れないのは編集上の都合です」と答えた。
「デマに注意!」と称した公式サイトで「デマ」拡散とは……。尻に火がついて橋下維新は完全にヤキが回っている。
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150516 何故新聞は伝えない? リテラ:自衛隊機の緊急発進急増も嘘…まるで“サイコパス”安倍

2015年05月16日 15時57分14秒 | 徒然・雑感
5月16日(土):

何故、新聞では下のような明白な事実がしっかりと報道されないのだろうか? ネットのサイトよりも記者数も組織・体制もはるかに充実してるはずなのに、何故狙い済ましたように一番大切な権力批判が外されているのだろう。「責任の大きさが違う?」そんなのは全くの言い訳に過ぎない。果たすべき責任を果たしていないことの方が、ずっと罪深いだろう!
  「田中龍作ジャーナル」より
リテラ自衛隊機の緊急発進急増も嘘…まるで“サイコパス”安倍首相の安保法制会見の詐術を検証 2015.05.15. 
 平然と嘘をつき、罪悪感が皆無で、自分の行動の責任をとる気が一切ない――。これは反社会的人格・サイコパスの特徴らしいが、もしかしたら、この男こそ典型ではないのか。そんな恐怖を覚えたのが、5月14日の安倍首相の記者会見だった。
「アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか? 漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。その不安をお持ちの方に、ここで、はっきりと申し上げます。そのようなことは絶対にありません
「ですから『戦争法案』などといった無責任なレッテル貼りはまったくの誤りであります」
 閣議決定した安保法制関連11法案について、安倍はこんな台詞を吐いたのだ。
 改めて断言しておくが、今回の安保法制は明らかにアメリカの戦争に日本が協力するための法整備である。
 まず、「自衛隊法」と「武力攻撃事態対処法」の改正では、日本が直接攻められたときに限っていた防衛出動を「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」した場合にも拡大。武器の防護についても、自衛隊は米軍や他国の軍隊の武器を防護できるように変更される。これでなぜ、「アメリカの戦争に巻き込まれることなど絶対ない」と言い切れるのか。
 そもそも、ついこの間、この男は米議会の演説で、「この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう」「今申し上げた法整備を前提として、日米がその持てる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです」と、アメリカの戦争への全面協力ができる体制をつくることを宣言したばかりではないか
 アメリカには戦争に協力しますよ、と言いながら、日本ではアメリカに巻き込まれることはない、日本を守るためだ、と嘘をつくまさに、二枚舌としか言いようがない。
 また、安倍は会見で「『海外派兵が一般に許されない』という従来からの原則も変わりません。(略)そのことも明確にしておきたいと思います」と断言していたが、今回の法改正では、「周辺事態法」が「重要影響事態安全確保法」に改められ、これまで「日本周辺」と定めていた地理的制約が外される。いわゆる“地球の裏側まで”自衛隊派遣が可能になるのだ。
 しかも、後方支援の対象は米軍以外の外国軍にも広げられ、派遣については国連決議も必要でなく、国会の手続きも緊急時は事後承認を認めている。また、新設される「国際平和支援法」では、国会の事前承認があれば自衛隊をいつでも海外に派遣できるようになるし、国連決議も必要としない。これで「従来からの原則は変わりません」と言い切るのだから、厚顔としかいいようがない。
 さらに驚いたのは、「いずれの活動においても武力の行使は決して行いません」「あくまでも紛争予防、人道、復興支援。燃料や食料の補給など、わが国が得意とする分野で国際社会と手を携えてまいります」などと言っていたことだ。 
 もちろんこれも真っ赤な嘘である。今回の自衛隊法改正では、米軍やその他の国の軍隊への弾薬提供、戦闘機への給油活動も認められるようになり、自衛隊は明らかに武力行使に関与するようになる。安倍は会見でその事実を意図的に伏せたのだ。
 こうした嘘、まやかしは、集団的自衛権と安保法制がなぜ必要なのか、という説明でも用いられていた。安倍首相は会見の冒頭で、
・アルジェリア、シリア、チュニジアで日本人がテロの対象となった。
・北朝鮮が数百発の弾道ミサイルと核兵器を開発している。
・自衛隊機の緊急発進(スクランブル)の回数が10年前と比べて実に7倍になっている。
 の3点をあげ、「これが現実です。私たちはこの厳しい現実から目をそむけることはできません」と、言いきった。
 だが、冷静に考えてみて欲しい。アルジェリアやシリア、チュニジアで起きたテロは自衛隊で防げるのか? 以前、本サイトでも報じたとおり、自衛隊の機関紙「朝雲」ですら、自衛隊による人質救出は非現実的で無責任と批判している。次にあげた北朝鮮のミサイル開発も集団的自衛権や今回の法改正とはなんの関係もない。個別的自衛権で対応できる案件だ。
 さらに、「自衛隊機の緊急発進(スクランブル)の回数が10年前と比べて7倍」というのは完全なまやかしだ。たしかに、2014年のスクランブル回数は943回で2004年の141回の7倍弱。しかし、それはもっとも少ない年と比較しているだけで、1980年から1990年代はじめまでは常に毎年600回から900回のスクランブルがあった。その後、2000年代に100回から300回に減少していたのが、2013年に突如、急増。24年ぶりに800 回台をマークしたのだ。これはむしろ、安倍政権になって無理矢理スクランブルを増やしただけだろう。実際、2013年も2014年も増えているのはスクランブルだけで、領空侵犯されたケースはゼロである。
 また、安倍はもうひとつ、よく口にする詐術のレトリックを用いていた。日本近海で日本のために警戒監視任務に当たっている米軍が攻撃を受けても、自衛隊は何もしない、海外の紛争地帯から邦人が米軍の船で避難する途中で他国から攻撃を受けても自衛隊は助けに行けない、「本当にこれでよいのでしょうか?」、というヤツだ。
 佐藤優も指摘していたが、そもそも日本近海で米軍が攻撃を受ける、日本人救出のために米軍が船を出すという状況は、すでに戦争状態に突入しているということであり、明らかに現行法、個別的自衛権で対応が可能なのだ。これについてはさんざん批判を受けているのに、今も平気で、集団的自衛権、安保法制改正の根拠にするというのはいったいどういう神経をしているのだろうか。
 しかし、安倍のスゴイところは、こうしたウソを平気でつけるところなのだ。ありもしない脅威を煽り、集団的自衛権とは関係のない案件を引き合いに出して、国民を騙そうとする。集団的自衛権については、いわゆる新3原則で「厳格な歯止めをかけ」「極めて限定的に」行使できるようにしたと胸を張るが、この新3原則のトップにある「日本の存立が根底から覆される事態」がどういう事態なのかの説明は一切ない。
 そして「アメリカの戦争に巻き込まれることはない」と断言した根拠は、日米の合意の中に「日本が武力を行使するのは日本を守るため」と明記されているからというのだから、ほとんど笑い話だ。
 だが、その安倍が一瞬だけ本音をのぞかせたことがあった。それは質疑応答で、自衛隊員のリスク増加について聞かれたときの発言だ。安倍は「自衛隊発足以来、今までにも1800名の方々が、様々な任務等で殉職をされております」「自衛隊員は自ら志願し、危険を顧みず、職務を完遂することを宣誓したプロフェッショナルとして、誇りをもって仕事にあたっています」と発言したのだ。
 戦争派遣と災害救助での殉職を同列に並べるのも酷い話だが、それ以上に、安倍が「自衛隊員だったら死ぬのは覚悟の上」と考えていることがよくわかる。

 実際、この安保法制が可決され、集団的自衛権が発動されるようになれば、自衛隊から戦死者が続出する事態になるだろう。戦闘行為に参加しないというが、実際の戦争ではむしろ、補給路を断つために後方支援の部隊を攻撃するのが常で、後方支援部隊の犠牲者の方が圧倒的に多いのだ。
 しかも、自衛隊はこれで近いうちにもっとも危険な中東に派兵されることになる。安倍は今回の会見では「ISILに関しましては、我々が後方支援をするということはありません」と語っていたが、こんなものは嘘っぱちだ。昨年7月の閣議決定では、「中東やインド洋も事態が発生する地域から排除できない」としているし、自民党の高村正彦副総裁もNHKの番組で「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態は世界中どこでもありうる」と述べている。安倍自身も中東のホルムズ海峡が機雷で封鎖されるといった程度のケースを「日本の存立が根底から覆される事態」と言及してきた。ようは、時の政権の判断でどうにでもなるのだ。
 かけてもいいが、イスラム国との戦争が長引けば、必ず自衛隊が投入される事態がやってくる。そして、この戦争で自衛隊員の戦死者が続出した次は、日本の民間人がテロの対象となり、日本国内でもテロが頻発するようになる。
 しかし、どんな事態になったとしても、安倍首相は絶対に責任をとろうとはしないだろう。むしろ、嬉々として「日本の自衛隊員の尊い死を無駄にするな」「テロは許せない。絶対に報復する」と戦争をエスカレートさせる口実に使うはずだ。

 この“サイコパス”政権の暴走を止める方法はないのだろうか。(野尻民夫)
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4 078 佐藤優「読書の技法 熟読術・速読術「超」入門」(東洋経済新報社:2012) 感想4+

2015年05月14日 00時10分36秒 | 一日一冊読書開始
5月13日(水):

279ページ  所要時間 3:05    アマゾン 682円(425円+257円)

著者52歳(1960生まれ)。作家・元外務省主任分析官。

2度目。前回読んだ時は、図書館の本だったのでかなり口惜しい気分になったが、今回は蔵書なので付箋と線引きを存分にして読めたのは良かった。流し読みなので感想4+は仕方がない。それでもスゴ味のある内容の本である。ただ、俺自身にとって内容への関心の濃淡はあった。

著者が「鳩山氏は「宇宙人」と揶揄されることが多いが、第一級の知識人である。202ページ」とした上で、政治家としての鳩山元総理を高く評価し、沖縄県辺野古基地移設問題でも数学的発想で行おうとしていたと理解を示し、かなりのページを割いて弁護していたのが印象的だった。俺の鳩山元総理観が間違っていないことを思わぬ機会に確かめることになった。前回の読書では、あまり記憶に残っていない部分が今回は印象に残った。

村上春樹「1Q84」の二つの月の話題やチェコスロバキアの作家ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」(河出書房新社)を取り上げて、沖縄の基地問題&沖縄差別を論じている(227~237ページ)のを確認して、自ら国家主義者と称する著者が、最近「辺野古基金」の共同代表になった思いの源を理解できた気がした。

著者が薦める「国体の本義」(文部省:1937)は、いつか読みたいと思った。

前回の分
3 105 佐藤優「読書の技法」(東洋経済新報社;2012)感想5
2014年05月18日 02時29分21秒 | 一日一冊読書開始

5月17日(土):副題「誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門。

279ページ  所要時間 4:15    図書館

著者52歳(1960生まれ)。作家・元外務省主任分析官。鈴木宗男事件に連座して検察の追及を受け、500日超の長きにわたり不当な拘留を受けた後、外交官から作家に転身。

「3 041 佐藤優「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮文庫;2005、2007) 感想5 2013/12/22」を読んで以来、著者に対する俺の印象は「途方もない器の人間というのが世の中にはいるものである」というものである。2005年の作家転身以後の旺盛で内容の充実した活動には感心しつつ憧れをもっている。

本書も、2年前書店で立ち読みしたとき、欲しくて欲しくてしようがなかった。その思いを忘れた頃になって、今日図書館で偶然本書を発見したのだ。即決で借りた。読み始めると、立ち読み時に感じたマニュアル本的要素がいまいち弱く感じて失望し評価4だったが、読み進むに従ってロシア語、英語、ドイツ語、朝鮮語、アイルランド語など多言語を扱い原書を話題にする能力、膨大な読書量だけでなく、著者の言葉は具体的で、全く奇をてらったり、衒学的なところがなく、落ち着いていて、かえって控え目なぐらいの語り口なのに取り上げられる専門書のレベルの高さに驚かされた。また、読書にとって高校レベルの基礎教養の重要性を語り、勉強のやり直し方を紹介する内容の説得力があった。

<熟読>は、いまいちだが、5分間の<超速読>と30分読書+30分まとめの<速読>は是非実践に生かしたい。

何やら著者のスケールが大き過ぎて輪郭を捉えられなくなったか、と思うと「(52歳の)自分の人生はあと20年だから全然足りないからこそ大事にする」旨の自己の生の有限性への表明があり、己を知る<地に足のついた知の巨人>を感じさせられてしまった。

読了したら、感想5になっていた上に、「数IA・IIB・IIICがこの1冊でいっきにわかる もう一度 高校数学」高橋一雄 (著)日本実業出版社 (2009/7/16) 定価3024円をアマゾンで注文(1875円;1618円+257円)してしまっていた。数学をもう一度やり直したい、と思いつつ良い参考書が思いつかなかったので、著者の紹介に乗ってしまったのだ。

一読で終われる本ではない。そばに置いて何度も読み返したくなる内容だが、悲しいかな図書館の本である。

※以下、アマゾンHPより:
目次:【第I部 本はどう読むか】第1章 多読の技法――筆者はいかにして大量の本を読みこなすようになったか
第2章 熟読の技法――基本書をどう読みこなすか
第3章 速読の技法――「超速読」と「普通の速読」
第4章 読書ノートの作り方――記憶を定着させる抜き書きとコメント
【第II部 何を読めばいいか】第5章 教科書と学習参考書を使いこなす――知識の欠損部分をどう見つけ、補うか
【世界史】【日本史】【政治】【経済】【国語】【数学】
第6章 小説や漫画の読み方
【第III部 本はいつ、どこで読むか】 第7章 時間を圧縮する技法――時間帯と場所を使い分ける
【特別付録】本書に登場する書籍リスト

内容紹介(一部):月平均300冊。多い月は500冊以上! 佐藤流「本の読み方」を初公開! /冒頭カラーページでは、著者の仕事場や本棚の中身、本やノートの書き込みの写真も掲載!
●佐藤流「熟読」の技法―どうすれば難解な本を読みこなせるか?
・知りたい分野の本は3冊買って、まずは真ん中から読む
・本全体にシャーペンで囲みを作り、重要箇所を抜き書きした「読書ノート」をつくる
・熟読の要諦は、同じ本を3回読むこと。基本書は最低3回読む
●佐藤流「速読」の技法―どうすれば大量の本を速読できるか?
・1冊5分の「超速読」と30分の「普通の速読」を使いこなす
・「超速読」で、読むべき本の仕分けと、本全体の中で当たりをつける
・「普通の速読」は「インデックス」をつける読み方。新聞の読み方を応用する
●佐藤流「教科書や学習参考書」「小説や漫画」の実践的な読み方
・読書の要は「基礎知識」。基礎知識のない本は、速読しても指の運動にしかならない
・基礎知識を身につける最高の本は、じつは高校の教科書と学習参考書
・小説や漫画は「娯楽+代理経験+社会の縮図・人間と人間の関係の縮図」として読む
著者の読書術を初めて完全体系化!
巻末には特別付録「本書に登場する書籍リスト」付き!
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150513 朝日新聞のずるさ全開の天声人語!沖縄米軍基地問題も『一億総ざんげ』かよ。もう騙されない!

2015年05月13日 07時56分11秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
5月13日(水):

天声人語 2015年5月13日(水)付

 森鷗外の名高い短編「最後の一句」が発表されて、今年で100年になるという。死罪を告げられた父親の命乞いをする町人の娘、いちは16歳だ。自分たち子どもを身代わりにして父親を助けて下さい、と願い出る▼奉行は問う。願いを聞けばお前たちは殺され、父の顔を見ることもできないが、それでもよいかと。いちは承知し、少し間を置いて、「お上(かみ)の事には間違(まちがい)はございますまいから」と言い足す。その言葉が奉行を動かす▼父親は刑死を免れ、子たちにも咎(とが)めはなかった。よく知られるこの場面を、「言葉の発し手と、受け手とが、ぴたり切りむすんだ時、初めて言葉が成立する」と評したのは詩人の茨木のり子さんだった▼そして「全身の重味(おもみ)を賭けて言葉を発したところで、受け手がぼんくらでは、不発に終(おわ)り流れてゆくのみである」と。時代も事情も違う小説ではあるが、茨木さんの指摘に、今の沖縄と日本政府のさまが重なる▼普天間飛行場の辺野古移設に反対する翁長(おなが)知事が政府に投げたのは、全身の重みを賭けて発した言葉であったろう。「政治の堕落」という厳しい言葉もあった。しかし受け手は聞く耳を持たず、訴えが伝わる様子はない▼政治家ばかりを責められない。本土がぼんくらでありすぎた。基地集中の重荷を「小指の痛みは全身の痛み」と訴える沖縄の声は、届いてきただろうか。15日で本土復帰から43年。基地を押しつけてきたのは米軍か、日本政府か、それとも私たちなのか。考えたいときだ。


※最後のまとめ方は、相変わらずずるい。「基地を押しつけてきたのは米軍か、日本政府か、それとも私たちなのか。考えたいときだ。」とは、要するに「新聞社の責任」を棚上げにして、『一億総ざんげ』にすり替えて、責任の所在をあいまいにしてしまっている。この天声人語に現れた朝日新聞の<甘えの体質>こそが、日本国民をミスリードし、今のファシズムを許してきたのではないか!さすがに安倍晋三の宦官・去勢豚曽我豪を編集委員に頂く朝日新聞らしい<逃げ>のずるさ全開だ。最後のまとめは、新聞社はじめマスコミ報道の責任こそ大きく叫び反省するべきだろう!すり替えるな馬鹿野郎!

「140905 大本営発表読売よ、朝日のネガティブ・チラシを止めろ。恥を知れ! 金田一秀穂の安倍晋三論が良い。」より:
■言葉の力、信じない首相 金田一秀穂さん(杏林大学教授)

 安倍晋三さんの言葉で面白いもの、印象に残るものってほとんどないですね。
 「質問に答えない」と批判されるけど、国会答弁や記者会見を見ていると、ごまかしや言い逃れという感じでもない。ずっとすれ違ったままでかまわないと思ってるんじゃないか。言葉で人を説得しよう、動かそうという気がないみたいに見える。
 言葉には、描写の言葉と行為の言葉があります。「椅子に座る」は描写の言葉です。でも、「椅子に座ってください」とか「ありがとう」と言うのは、それ自体が行為ですよね。
 政治の言葉は、約束するとか、宣言するとか、基本的には行為としての言語です。でも安倍さんは、言葉は「飾り」のようなもので、行為は別にやればいいと思ってるんじゃないか。
 政治家は、言葉それ自体が行為だと自覚しなくてはいけません。吉田茂や佐藤栄作はそこがわかっていた。安倍さんの祖父・岸信介は「私には声なき声が聞こえる」と言って、安保改定を強行した。善しあしは別として、言葉に重さがありました。
 でも、今の政治家は言葉が軽い。小泉純一郎さんあたりから、白か黒かのデジタル的で単純な言葉が増えました。わかりやすいことはわかりやすいけれど、薄くペンキを塗るような言葉づかいになってきている。
 安倍さんも勇ましい言葉は多い。「まさに」という言葉をよく使うんですね。スパッ、スパッと言い切っていく。深く考えてないから言い切れるんです。考えている人間は、なかなか言い切れないですよ。
 その割に失言が目立たないのは、やっぱり言葉が軽いからです。「国民の命を守る」「日本を取り戻す」とか言っておけば文句が出ない。集団的自衛権も「おじいさんやおばあさん、子どもたちが乗る米国の船をいま私たちは守ることができない」といった薄っぺらな言葉で語られる。つるつるした言葉しか使わないから、非難されにくい。
 政治だけでなく、社会全体が耳に快い言葉しか受け付けなくなってしまった。反感を買うような「強い言葉」は排除されて、誰も傷つけない言葉が受け入れられる。だから安倍さんに人気があるのかもしれません。
 昔のように政治が小難しい言葉で語られ、政治家が強い言葉で人々を熱狂させるのもどうかとは思いますけど、ふわふわした言葉ばかりになるのもすごく危なっかしい。誰も反対できない言葉だけを言っていればいいという雰囲気になると、何かあれば一気に流されてしまう。
 安倍さんは言葉に鈍感すぎる。広島と長崎の原爆式典のあいさつが昨年と同じコピペではないかと指摘されたのがいい例で、さすがにみんな気づいてきたんじゃないか。結局、あの人は言葉の力を信じていないんですね。(聞き手・尾沢智史)
     *
 きんだいちひでほ 53年生まれ。専門は日本語学。「金田一家、日本語百年のひみつ」など著書多数。海外での日本語教育の経験も豊富。言語学者の金田一京助氏は祖父、春彦氏は父。

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4 077 石井光太 今日マチ子・絵「ちいさなかみさま」(小学館:2014) 感想5

2015年05月12日 00時27分44秒 | 一日一冊読書開始
5月11日(月):
  315ページ   所要時間 3:30    図書館

著者37歳(1977生まれ)。

本書は、「ビッグコミックスペリオール」に連載されたものに加筆修正した23の短編集。著者版の心温まる、心安らぐ「オー・ヘンリー短編集」になっている。大きな違いは、本書がすべて事実を背景にしているルポルタージュ的側面を持つことだろう。著者は過去に確かにあったはずの「人間として懐かしい原風景」を持っている。この短編集の中のいくつかは、ドラマ化されるだろう。素敵なドラマに仕上げてほしい。

感想は終盤まで4だった。しかし、何度か目の奥がぐうっとなり泣きそうになった。読み終わってみるとどうしても5にしたくなった。俺の心の琴線に響いているのだ。

「ちいさなかみさま」とは、現実主義や合理的思考からは排除されてしまうが、時にそれにしがみつくことによって人間らしく生きるのを支えてくれるものや思いの持ちようを大切に考える呼び名を言う。にんげんや共同体はたとえナンセンスであり得ないほんのちょっとしたものや思い込みにしがみつくことよって生きさせてもらえる。そんなささやかのものの大切さに気付き、やさしく見まもれる社会であってほしいと思えるようになる。

著者の作品には、多文化共生、寛容、戸惑い、恥じらい、歴史の過ちを誤魔化さず直視する姿勢、弱者への深い共感、言葉にすれば堅苦しくなるが今の日本で一番粗末に扱われているが、ほんとは一番大切な価値観が透徹しているのだ。著者の作品を読むことで、すさんだ時代にすさんだ俺の心がひととき、ほっとこきゅうできる気分になれる。

目次:公園の赤い靴/猫の祝福/オードリー/二人のシャーム/雲の上の順番/灰と革のジャンパー/一月の蝶々/最期に会いたい人/蜜の味/三十年前のサッカーボール/笑顔は幻でしょうか/おしゃべりネズミ/兵隊人形/同級生/妻の名前/猫の墓/雪男を守った人びと/二十六歳の約束/大切な嘘/人生のセンパイ/寝たきりの神様/ハート型のペンダント/おはよう兄さん
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150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)