もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

4 081 古市憲寿「だから日本はズレている」(新潮新書:2014) 感想4

2015年05月19日 01時39分22秒 | 一日一冊読書開始
5月18日:

237ページ   所要時間 3:25   ブックオフ108円

著者29歳(1985生まれ)。

前半では「おじさん」の数々の勘違いを指摘する。著者のセンスはなかなか良い。後半では、世の中の変革を「若者」に期待するのはやめてくれ。むしろ時間も金も情報・コネも持ってる「おじさん」たちの方こそもっと良い世の中になるように動いて努力すべきでしょう、ってこと。 身も蓋もない言い方をすれば、こういう論旨の内容である。ちなみに「おじさん」に性別は関係ありません。

俺の頭の状態にもよるが、読んでも頭に定着しない。途中まで感想は3+だったが、著者の作風なのか分からないが、終盤にかなり辛口の批判精神が発揮されるようで、ちょっとおまけの感想4になった。

218ページ「このままでは「2040年の日本」はこうなる」だけでも読めば、それなりに面白い。著者はハクスリィーの「すばらしい新世界」を読んでると思う。不安と批判精神を奪う精神薬ソーマと同じ「ハッピーサプリ」という精神薬を登場させている。著者はわずか25年後で日本が凋落し切っていると考えてるようだ。 「おじさん」の一人としては、本当に残念の極みだ。

紹介文:リーダーなんていらないし、絆じゃ一つになれないし、ネットで世界は変わらないし、若者に革命は起こせない。29歳の社会学者が「日本の弱点」を突く。   この国の「大人たち」は、いつもどこかズレている。ジョブズのようなリーダーに憧れ、夢と絆で一つになれると信じ、「日本の良さ」は必ず伝わると疑わず、若者には変革を期待し、学歴や就活は古いと嗤い、デモやSNSで世界は変わると訴える。この「勘違い」はどこからくるのか? 迷走を続けるこの国を二十九歳の社会学者が冷静に分析。日本人が追い続ける「見果てぬ夢」の正体に迫る。

【目次】:はじめに 不思議の国の「大人たち」
「リーダー」なんていらない :日本には真のリーダーがいない?/ジョブズの本当にすごいところ/「救世主」を求めてしまう人々/「強いリーダー」の不在を誇りに/現代社会は「ゲリラ戦」だから/誰だってリーダーの時代/そもそもリーダーって何?/強いリーダーより小さな集団
「クール・ジャパン」を誰も知らない :「気持ち悪い」プレゼンと新しい一歩/迷走したオリンピック招致活動/この暑苦しさは誰のためか/「失くしもの探し」から「新しい希望」の物語へ/「クール・ジャパン」の誕生/戦前日本のクール・ジャパン/会議は踊るが意味不明/出雲大社はクールじゃない?/「クリエイティブ」とどうしても言いたい/ジャパンブランドで外貨獲得を目指せ/マーケティング視点の欠落
「ポエム」じゃ国は変えられない :蘇った「心のノート」/J-POP歌詞の劣化コピー/「この学級に正義はあるか!」/「心」への過剰な期待と警戒/憲法改正草案はJ-POPである/「あなた」不在の日本国/独立も革命もなかった国で/憲法で国の姿は変わらない
「テクノロジー」だけで未来は来ない :「スマート家電」が全然スマートじゃない/誰も欲しがっていない新製品/「本質的な価値」がおろそかに/「ものづくりの国」は終わったのか/21世紀と20世紀のあいだ/こんなに素敵で便利な「監視社会」/人類はずっと監視されてきた/あまりに不便な「マイナンバー制度」/巨額のシステムを導入する前に
「ソーシャル」に期待しすぎるな :「共感」のコントロールは難しい/大企業だって簡単にバッシングできる/「冷めやすい消費者」に怯えるな/僕の「プチ炎上」体験/「正しさ」ではなく「もっともらしさ」が勝つ/「真実はいつも一つ」なんて嘘/炎上を避ける六つの方法/マスメディアの代わりにはならない
「就活カースト」からは逃れられない :内定先で再構築されるヒエラルキー/「就職人気企業ランキング」という流行/1971年の人気企業はいま/「ムード」で就職先を決めているだけ/「人気企業」はやっぱりかっこいい
「新社会人」の悪口を言うな :「入社式」というイニシエーション・セレモニー/革新性のない社長挨拶/「社会人」は日本にしかいない/「仕事ができる」「できない」の基準/いつの世も新入社員は「使えない」/「若者に活躍して欲しい」と言うけれど/仕事を任せる勇気がなければ
「ノマド」とはただの脱サラである :安藤美冬というニューモデル/「会社に雇われたくない」は見果てぬ夢である/「フリーター」がかっこよかった時代/「自立」を迫った勝間和代/やり直しがきかない社会を生きてゆく
やっぱり「学歴」は大切だ :「学校って何のために行くの?」/「東大生は使えない」という幻想/「学問」が人の上に人を造る/「学歴論争」は一大エンターテインメントだ/「能力」は「遺伝」する/「学歴固定社会」は幸せかもしれない
「若者」に社会は変えられない :若者の政治離れって本当?/オキュパイ・トウキョウへ行ってきた/日本の若者は格差を感じていない/有楽町阪急メンズ館には10万人が集まる/社会を一番変えられるのは「老人」だ/デモで社会は変えられる?/ピースボートと日本未来の党/脱原発というお祭り/結局は自民党が圧勝/「静かな変革者」が社会を変える
闘わなくても「革命」は起こせる :「シェアハウスブーム」というブーム/「ここに来るとみんな正社員を辞める」/「ダウンシフターズ」という新しい生き方/「今、ここ」の幸せを求める若者たち/実は「社会の役に立ちたい」/闘うのではなく、むしろ降りる
このままでは「2040年の日本」はこうなる :30年後の幸福な階級社会/若者は海外にしかいない/「都市の時代」への移行/一極集中は「自然に優しい」/「老人の国」のスラム街/国が終わっても人々は生きる
おわりに 「おじさん」の罪
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