11月29日
過去のブログにてイギリスの美大に関する受験の お話をしてきました。
我が娘はイングランドにある某美大のファンデーションコースの生徒です。
今年の大学入学生徒は大変な思いと学校へ通えない葛藤、精神面でウツになっている生徒、思い描いていたキャンパスライフの違い、サークル活動、クラブ活動、他の人との出会いも無く半年が終りました。
イギリスへの美大の進学条件が非常に厳いです。
「私、美大へ行きたいから 来年受験する」ではありません。
何年も前から準備があります。
突発的に思いついての受験なら100%不合格です。
美大受験項目規定があり、それをクリアしないと受験対象と言うか受験資格がありません。
道のりは長いのです。
娘はプレップスクールと呼ばれるイギリスの名門受験学校で小、中学(13歳まで)過ごしてきました。
プレップ・スクールとは13歳エントリーと呼ばれる学校への受験・訓練寄宿舎学校があります。
なので、普通の私立校とは訳が違います。
私立の勉強の3~4倍のスピードのカリキュラムで、1コマの授業時間も大学生と同じ時間で訓練している学校もあります。どんなに小学生でも教師は子供扱いは致しません。
これがイギリス流の伝統なる帝王学を学ぶ訓練校です。
小学(高学年)から美術コースを選択し、中学で美術を学ぶスキルを身に着けています。
私立校の美術の教師はトップ美大卒が多く活躍しているアーチストも講師で来ます。
中学(シニア)ではGCSE(イギリス義務認定テスト)システムがあります。
GCSEが終えたら 大学進学受験コース2年間Aレベル、IBの勉強に入りますが 重要なポイントは この2年間の間での作品、美術スキルが大学審査対象に入るからです。美大ではAレベルを獲得が受験の項目ですから、Aレベルが無いと受験対象外です。
IB美術もありますが、学習内容が非常に乏しく 美大を受けるにあたり あまりお勧めは出来ません。
イングランド受験でのIBならポイントが下げられるからです。
公立から美大への希望ですが こちらは通う高校にもよります。
美大進学にはお金が掛かる為に多くの公立は推薦しておりません。
働く前提での進学を進めている為、生徒には確実な大学コースのアドバイスをさせているからです。
どんなに絵が上手であっても、推薦と言うのがありません。特待生になる事も遥かに厳しいです。
現にファンデーションコースに通う生徒はプロ顔負けでありギャラリーで販売をしている生徒も多く、度肝を抜かされましたよ・・・本当 生徒の絵を見て私はたまげました。
※Aレベル基準はあくまでもイギリス式ですのでアメリカの美大を受けるならIBが必要となります。
イギリス国内の生徒なら絶対的にAレベルです。
イギリスでの美術進学は細かく分かれており
★ 美術歴史
★ 物を作り出す美術(ファインアート、彫刻、伝統文化)
★ ファッション、写真、映像など
ファンデ―ショーンコースとは日本で言うなら基礎コース必修です。1年間の間に全ての学習を身に着け、2年目の本コースに向けて再度受験があります。
日本の様な専門学校は、カレッジと言う呼び方をしています。
中学終了後への進路で16歳からです。調理、土建、コンピューター・・・とスキルコースは色々ありますが、カレッジ中にても大検を取る資格があるのでカレッジ中に大学進学希望者変更も居ます。
早期就職したい人にお勧めです。
※服飾関係も同じ進学方法
1年目のファンデーションコースは、何処で学んでも学習は同じなのですが名門美大と付属されているファンデーションコースの学生の方が若干有利です。
もちろん カレッジでの服飾コースもありますが美大卒の方が強い為にカレッジ卒は就職は困難です。
基本カレッジでは1年もしく2年コースが選べるので1年で辞めてしまう人も多くいます。
学習も毎日の登校では無いので働きながらカレッジと言う生徒が多いです。
1年目のファンデーションコースでの受験、2年目の本コース受験ですから 気がゆるめなくプレッシャーとの戦いであり、2年目の本受験後に何処からも合格(オーファー)が来ないなら 美大へ進むことが出来ません。それくらい美大への入り口は狭いのです。
※ よく美大への受験テスト方法にての動画がありますが、あんなくだらないお題がイギリス、アメリカの美大受験じゃない事だけをキッパリ言います。「テストでお題が出て表現しなさい」と言う突発的な発想は名門美大受験には求めて居ません。受験は「クイズ」では無いからです。
過去、現在学んだ作品提出数が半端じゃありませんからね。
1位のロンドン美大は作品が30点提出です。イギリス国内の生徒は学校面接で30点持ち込むんですよ。
私は、ロンドン大学のファンデーションコースにて凄い日本人の作品を見ました。
その方は きっと日本のどっかの美術を勉強されていた?と言う感じですが、ロンドンでは1からスタートです。
どんなに素晴らしい才能がある方でも スタートラインは同じなんです。
ファンデーションコースで学び考え方に変わる人も居ます。
自分が描いていた内容とは違く学科を変更したいと言う生徒もおります。
娘の先輩でも、美大へ行くか?法学部へ行くか?の選択に悩み、彼女は美大受験をし1年目で考えが変わり再度受験し2年目は無事に法学部へ合格。結局、美術は趣味に変更したんです。
去年のコロナ受験から大学受験の合格枠も減り(全学科)来年は3流大学は倒産へ追い込まれる事もありそうです。中国留学生のインバンドを狙っていた大学は経営は深刻であり現に某アメリカの州では大学勤務の早期退職者を募っております。
なのでファンデーションコースへ入った やった~~~
ではありませんよ。
すでに来年度の本コース受験の受付が始まります。
推薦はありません。全て実力勝負です。テストなしで入る意味はチートです。「←ズル」
じゃ、海外からイギリスやアメリカの美術関係に進学希望はどうしたらいいのか?
ファンデーションコースへ入学ですが、ネイディブが条件です。テストは英語と数学を受験する美大もあります。
もう1つの方法は日本の美大へ行き交換留学生になる事です。
きっとこれが近道です。なので日本の美大と世界にある美大がどの学校と提携をしてるのか?を調べてみましょう。
パリに住む知人の娘さん(2名)が ロンドンのセントマーチンスクールを受験するにあたり フランスでもイギリス受験の為に美術コース、職業体験が必修とされております。
ある時期になると、グッチやルイビトンとか一斉に生徒の応募が多いんですって。
え
フランスってさ、名門ブランドやデザイナー多いのに何で???
って、思いますよね?
フランス人ですらもセントマーチンへ通いたい理由はフランスファッション界に置いても片道切符を獲得した意味もあるからです。入学し卒業する意味が凄いんです。
じゃ、
みな どんな美大が人気なのでしょうか???
早速 娘に聞いてみました。
ちなみに娘は去年の美大ファンデーション5校を書き全て合格を貰っています。
テクニカルで美大にも学校カラーがあります。これが強い ここのスキルは凄い
っと言う感じなのは、どの大学も同じです。
ニューカッスル美大、リーズ美大、ロンドン美大、オックスフォード・ブリュックス美大はグループとなっています。(イベント関係もジョイントする事が多い。)
例えば1年目のファンデーションコースでリーズ、2年目をロンドンに希望ならチャンスがあるって意味もあります。
ん?
オックスフォード大学にも美大があるよね?と思いますよね。
ここは美術歴史です。なので歴史調査や研究などでありますので物を作るクリエーター希望の人には向きません。オックスフォード大は博物館も所有しています。研究の為に美術館、博物館と連携している大学も多いです。
ニューカッスル美大は ちょっと特殊です。
ファンデーションコースが無い4年間コースであり1年間に65名しか合格者を出しません。
倍率は700倍以上と言います。
ニューカッスル美大の人気の秘密は小規模クラスです。
キャンパスも他の学科と同じ敷地内で、美大では他の学部との交流をさせる為に週一カリキュラムで運動クラブに入る事を進めています。なので、他の美大の様な孤立型ではありません。
色々な知識を4年間で学びますがファインアート中心の勉強が主にあります。
ここも美術館を持っています。
スコットランドは大学は4年間、イングランドは3年ですので、美大も同じシステムです。
受験希望をする時に、同時に大学院を希望する方もおります。
スコットランドなら4年(美大)+1年(大学院)
イングランドなら3年間(美大)+1年(大学院)
っと言う受験申請方法も可能です。最初から このアプリケーション(受験申込)にすると自動で大学院へ行けるからです。
美大過程を追えて、矢張り大学院へ行きたいとなると再度受験にもなり生徒数が多いと仮に合格をしても本年度に入学が出来ないケースもあります。
これ、美大だけでは無く 他の学科あるあるです。
日本人に よくあるあるなのですが 短期留学と言うサマーコースの参加が多いと思います。
サマーコースへ通ったから履歴書に書く意味は無意味です。 日本人は勘違いから履歴書に書く人が居ますが、実際にはパーソナルステートメント(受験での自己紹介)は「サマーコース」はムシをしています。
あくまでも「体験」「経験」の1つであり、イギリス人がオックスフォード大学の法律サマーコース2週間に通い大学受験の時にパーソナルステートメントに書いても「無意味」なんです。
「代々木夏期講習に通いました」と言う意味です。 これを書いたから合格、一目に置かれる?ではありません。
日本の受験や面接で言いますか? 言いませんよね? それと同様です。
例えばロイヤルバレエ入学の条件で「サマーコース参加」と言う受験指定があるなら別ですが、どの大学も他のサマーコースへ参加した…事は関係ありません。
仮にシャネルやエルメスの様な名門アトリエ職業体験が出来たら それは別問題です。書くべきです。
我が娘も学校のプログラムにて4年間自衛隊の訓練を受けており、小さいですが軍タイトルを持っています。
美大の進学には関係無いので大学履歴書には一切書いて居ません。
もしも、美大へ行ながら自衛隊所属も可能ですよ。大学に入り自衛隊所属者もいます。
知人の息子さんは大学に通いながら自衛隊です。
所属になると、毎月 政府から少ないですが給料が入ります。
今でしたら、コロナ検査のサポートをするか?でしょうか・・・・。バイトが出来ない中、大学費を自分で払う為に自衛隊に入隊したそうです。
各美大の説明会にても こう話しておりました。
自分のPRで高校でボクシングでチャンピオンになり履歴書に書いても、それは自分のPRであり美大には全く関係ない・・・と話されました。書いても良いんですよ。けどね、合格審査はそこじゃないッキッパリいっておりました。
余計な事を書くと、「この子は本当に学びたいのか?」と疑いをされてしまうからです。
日本人は資格マニアです。
一目をもたれたくて沢山取った資格を取ったら採用される?と、思いますが その資格は「趣味」ですからね。海外での履歴書には「趣味、特技」なんて項目は一切ありません。
日本の履歴書用紙は1枚ですが、夫の仕事状態になると3~5ページに及ぶ事が多いです。
これが海外と日本の学歴書の書き方の違いです。 そしてイギリスの凄い所は自分が取った資格はコンピューターで永久保存となっており、エージェントが身元調査が出来るシステムになっているんですよ。
嘘が付けない、嘘が掛けない意味です。
さて 余談になってしまいましたが
イラストレーション希望をしていた娘が、来年度の美大コースにて変更をしました。
イラストレーションはアニメーション学科になる為に、彼女が希望の道から外れるそうです。
生地、壁紙、ギフトペーパー、絵本の挿し絵、パッケージ作家を希望しフリーランス希望では無く企業で働きたい希望があったので、ファッションコースへ変更。テキスタイル学科です。
※テキスタイル学科は非常に人気です。どの仕事にも転がれるからです。
紙の技術だけでは無く布の勉強もするそうです。 なので染色の勉強、ドレーピング勉強もしています。
コロナ禍から、大学見学会も中止となって居る為に オンライン見学会になっています。
美大と専門の違いは何でしょう? 卒業証明書のタイトルの違いです。
美大には交換留学もあり研修で海外の美術館で働く事もあります。
美大卒なら中、高校などでの美術教師にもなれます。 キュレイターにもなれます。研究員、ナショナルトラスト職員でも働く事も出来ます。
ナショナルトラスト職員とは国が指定している建築物、銅像、書、絵画などの複製者です。
自分が将来、何の仕事に就けるのか? なんて本人ですらも分かって居ません。
まずは、入学し 多くの事を学ぶ事です。
美大進学話は まだ続来ます・・・・。