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月に学生に25万円!

2007-09-01 08:04:18 | Weblog
8月31日の産経新聞より(栃木県)

 県内の小児科、産科の医師不足が深刻となる中、県は両診療科を志望する医学生に修学資金を貸与する事業を来年4月から始める方針を固めた。
 貸与額は月額25万円で、年内に募集を始める予定。貸与期間の1.5倍を県が指定する県内の医療機関で小児科医、産科医として勤務すれば返済が免除される。診療科を限定した修学資金貸与制度は10近い県で導入されているが、月額25万円は福島、高知両県の23万円を抜き、全国最高額とみられる。
 修学資金貸与制度の対象となるのは卒業後に県が指定する県内の公的な医療機関の小児科、産科で働く意思のある医学生。学校や出身地は問わず全国の医学生が対象。両診療科合わせて年間5人程度を募集し、月額25万円を貸与する。貸与期間は最長6年。1年生の場合、入学金相当額も貸与する考えで、国公立で50万円、私立で100万円を上限とする方向で詰めている。
 今年度9月補正予算案に同事業の債務負担行為として2000万円を計上する。
 県によると、県内の主要28病院の医師数は平成16年8月の879人から今年4月には859人にまで落ち込んだ。なかでも小児科医と産科医の数は49人から46人、51人から43人にそれぞれ減り、減少幅が際立っている。
 県は18年度から、県が指定する病院で専門研修を行う小児科、産科、内科の研修医に対する研修資金貸与制度をつくるなど、地域医療を担う医師の確保のための施策を打ち出しているが、医師の偏在などにより、小児科、産科など特定の診療科については、必要な医師の数を確保できていない状況にある。

 ウ一ン、25万円、ここまで来ているのかって感じだ。自分の時は、学生時代、それも専門1年生の時に、解剖の実習できつかった時がちょうどオイルショックの時で、月3万を家から送ってもらっていたが、お金が足りなくて本当に食事は昼の1食だけで済ましていた。空腹を紛らわす為に早く寝ていた。専門書が極端に値上がりして、多くの医学生が悲鳴を上げていた。
 小児科を選んで県病に就職した時、そこの部長が初めに言った、「小児科は、お金とは縁がない。お金儲けした人は、後悔しない内に早めに他の科に移った方がいい」と、更には、「小児科医には、休みはない。小児科は、救急が多いので、そんな患者さんは、朝来たら真っ先に直ぐに診て、昼間も夕方も診て、帰る直前にも、念の為にもう一度診る」と。同級生で、小児科を希望していた人がいたが、子どもが彼を見ると泣くので、小児科を諦めて精神科医になった。
 医師の生活がどんなものかを充分に熟知し、もちろん、小児科や産科の生活がどんなものかを熟知出来た上なら、そんな修学資金貸与制度も、問題にならないかも知れない。しかし、ス一パ一ロ一テ一トを経験して、それまで小児科に進もうと堅く思っていたのに、終了後に行かなくなったりしている例もあるし(外科系はもっと深刻そうだ)、既に小児科医として働いていて、途中で他の科に進む人もある位だ(他科から小児科に進む人は、まずない)。
 月に25万円なんて、学生の身分で信じられない。まっ、それが目的で小児科や産科を選ぶ様な感じでは、先が見えていることだけは、確かだろう。(自治医大卒のドクタ一の話では、自治医大の学生の場合は、月額最高奨学金10万までとのこと、当院の熊本県の自治医大出身のドクタ一に尋ねると、8万もらっていたとのこと)
 それよりも、何故、小児科医や産科医がいなくなっているのか、その理由を行政が無頓着になっていることこそ、一番の問題なのだ。あまりにも、現場を知らなさ過ぎる。
 私の場合、小児科だけで開業して、19床持って朝から晩まで一生懸命に頑張っていたのだが、採算が合わなくて閉院になってしてしまった。車も持たず、退職金もなく、赤字倒産で終わっている。小児科医で派手にお金が使える人、私の知る限り、あまり見たことないなあ。
 小児科専門で来ていた人が、19床の内科・小児科で開業して、彼はその内科と小児科の1件当たりの金額の差に驚いて、私に次の様に言った。「内科は、入院した時点で、レントゲン・超音波・心電図と必ず検査する。それだけで、手間もあまりいらず、元もたいしていらない感じ(器械は中古で、もう元を取った)でお金になる。小さい子は、出来るだけ送ることにしている。手を取る割には、収入が驚く程少ないから」と。
 別のある小児科開業医は、(かって入院設備を持っていた時に)次の様に言われたことがあった、「夜、入院させて、その為のナ一スを付けて当直料を払うと、赤字になる。それで、時間外は出来るだけ入院させない様にしている」と(今は、完全に入院設備を閉じられてしまった)。
 私がかって開業していた時、あまりの安さに、多くの親から「計算間違いでは?」と何度も言われていた。病院と診療所では、入院させた場合、同じ事をしているのに倍程の差があり、夜来て1泊させて、早朝に(親子ともに食事を出して)退院させると、何と、当時の保険を使って患者側が払うお金、5.000円でお釣りがきていた(親子が食事付きでホテルに泊まるよりも安いではないか!)。

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