真夏の3回の沢のあとは、またしばらく自然から遠ざかってしまった。そろそろと、気持ちがそわそわしだしていた。ちょうど天気の良さそうな5日、6日の休み。久し振りにテントを持って、以前から行きたいと思っていた場所へ行こうと思った。温泉の湧く山の斜面。そんなにたくさん歩かなくてもいい。温泉の横にテントを張って、山の水を沸かして淹れたコーヒーでも飲みながら温泉三昧だ!とかなり前のめりになっていた。
しかしながら、なんたることか、家を出る直前にそこに至る道の途中にある橋が数日前の大雨で流されたことを知る・・・
気持ちは前のめりだったものの、毎度ではあるけれど長距離の運転は面倒に思っていた。だから山行きを中止することも考えた。でも、やはりこの天気の良さそうな休みに出かけないのはもったいない。とりあえず準備も済んでいるのだしと、結局秋の景色の有名なあの場所へ向かうことにした。下調べはほとんどしていないけれど、メジャーな場所だしまぁなんとかなるだろうと思って家を出たのだった。

朝の上高地。まだデジカメなど持っていない時代の残雪期に穂高を登って以来だから、15年振りくらいだろうか?あいかわらず良い場所だ。しかし山のなかへ入っていきたい人間からすると、なんとなくあまり長居したくない場所だったりもするのが不思議だ。

コースは迷ったけれど、岳沢経由で。最初は楽な横尾経由で涸沢から奥穂をピストンで考えていたのだけれども、残雪期に登ったときと同じコースになってしまうので、家を出る直前にみつけたヤマレコの記録を参考に、岳沢~前穂~吊り尾根~奥穂というコースを歩くことにした。
朝の光、青空、色づきはじめた木々が嬉しい。

岳沢への道へ入る。

そして久し振りの重い荷物を背負って少し登って、開けた場所。

目の前に広がった秋色に彩られた沢を見入って、しばし休憩。ただ確かに嬉しい景色なのだけれども、もっと空がくっきりと青かったら、さらに紅葉が映えるのになぁと心のなかで思ったりしていた。そしたら、近くにいた女性が僕が頭のなかで思っていたのと同じようなことを口にして、「あんた、いつも恵まれ過ぎてるからそんなふうに思うのよ」と仲間にたしなめられていた。天気が良い日を選んでいるからだけど、そう、確かに今まで恵まれ過ぎだったことが多いのだ。

沢沿いの登山道をしばらく登っていくと岳沢小屋が見えてきた。なかなか良いところに建っている小屋ではありませんか。

小屋の前のベンチで補給をしてまた歩きだす。小屋の周りはとても紅葉がきれいだ。

小屋から前穂へ向かって歩き出す。

結構長い梯子。


直前に決めただけにコースに関して予備知識はほとんどなかった。思っていたより岩々したコースで少しびっくり。そして少しわくわく。

紀美子平にザックをデポして前穂を目指す。

いやぁ、結構な高度感ではないですか。ホントこんなコースとは思っていなかった。ただ程よい厳しさで、今日の天気であればすごく楽しく登れる。悪天候では登りも下りも勘弁願いたいけれど。

下ってきた人と道を譲りながら前穂の山頂を目指す。

こちらは明神?かなり険しそうだ。

そして前穂山頂。あ~、楽しみにしていた槍や北ア北部、後立山方面はガスで見えないではないか。残念。まぁでもガスに包まれた山頂でないだけラッキーだと思っておこう。

前穂から紀美子平に戻ってきて、今度は本日のメインである奥穂を目指す。いい感じの岩場のトラバース道を歩く。

こちらは先ほど登ってきた岳沢。

そしてこちらは前穂山頂からは見えなかった、一応本日の目的地である涸沢!少し色褪せた感じだけれども、なんとかぎりぎり紅葉に間に合ったようだ。

だんだんとハードな岩場になってきた。ヘルメットを被っている人、被っていなくてもザックにつけている人が多い。

背中にはテン泊装備が入ったザック。かなり疲れがではじめていた。幸い怖さはあまり感じていなかったけれど、しっかり集中せねばと気を引き締めた。

奥穂が近づくにつれてガスが濃くなりはじめた。

山頂付近。薄くなったときに写真を撮っているわけだけど、山頂あたりはほどんどガスに包まれていた。そして風が強く、とても寒い。周りの人もしきりに寒い寒いと言っていた。というわけで、1枚写真を撮ってもらって、すぐに下山。景色は残念ではあったけれど、無事山頂を踏めて良かった。それにたまにはこういうなかも歩かなきゃね。

まだ10月の上旬だけれども、北アルプスはもういつ冬がやってきてもおかしくないのだなと思った。

ガスのなかを慎重に下って、ようやく穂高岳山荘。ここで少しひと息。以前残雪期に登ったときより、だいぶ時間がかかった気がした。

穂高岳山荘のテン場に泊まることも少しだけ考えたのだけれども、やはり紅葉の涸沢でテントを張りたかったので、あと少し頑張って涸沢まで下ることにした。眼下に見えるテント場。安易に考えていたのだけれども、これが長かった。久し振りのテント泊、さらに結構なロングコースにだいぶ消耗もしていたのだとは思うけれど、とにかく長く感じた。体のあちこちが痛い。普段は痛まない体の脇が痛むのは、上半身も使う必要のあった岩場のせいだろうか?結局最後まではもたず、テン場まであと10分くらいの場所でザックを降ろしてアミノバイタルゼリーを補給。これでだいぶ生き返った気がした。
平日だというのに涸沢のテン場は大賑わい。石がゴロゴロしていたけれど、適当な場所を見つけてテントを張り、ひと息ついてから受付をしにいった。そして水の補給とトイレを済ませて、夕食の準備をしながら大事なものを忘れたことに気づく。どこをどう探してもヘッドランプがない・・・。どうしよう。かろうじてまだ明るい。急いで夕食の支度をして、もう一度水を汲みに行って、トイレを済ませた。夜中トイレに行きたくならないように、水分補給は控えめにして、日が落ちるのに合わせてシュラフに入った。久し振りに読み返そうと文庫本を用意してきたんだけどなぁ。

さぁ長い夜のはじまりだ。
しかしながら、なんたることか、家を出る直前にそこに至る道の途中にある橋が数日前の大雨で流されたことを知る・・・
気持ちは前のめりだったものの、毎度ではあるけれど長距離の運転は面倒に思っていた。だから山行きを中止することも考えた。でも、やはりこの天気の良さそうな休みに出かけないのはもったいない。とりあえず準備も済んでいるのだしと、結局秋の景色の有名なあの場所へ向かうことにした。下調べはほとんどしていないけれど、メジャーな場所だしまぁなんとかなるだろうと思って家を出たのだった。

朝の上高地。まだデジカメなど持っていない時代の残雪期に穂高を登って以来だから、15年振りくらいだろうか?あいかわらず良い場所だ。しかし山のなかへ入っていきたい人間からすると、なんとなくあまり長居したくない場所だったりもするのが不思議だ。

コースは迷ったけれど、岳沢経由で。最初は楽な横尾経由で涸沢から奥穂をピストンで考えていたのだけれども、残雪期に登ったときと同じコースになってしまうので、家を出る直前にみつけたヤマレコの記録を参考に、岳沢~前穂~吊り尾根~奥穂というコースを歩くことにした。
朝の光、青空、色づきはじめた木々が嬉しい。

岳沢への道へ入る。

そして久し振りの重い荷物を背負って少し登って、開けた場所。

目の前に広がった秋色に彩られた沢を見入って、しばし休憩。ただ確かに嬉しい景色なのだけれども、もっと空がくっきりと青かったら、さらに紅葉が映えるのになぁと心のなかで思ったりしていた。そしたら、近くにいた女性が僕が頭のなかで思っていたのと同じようなことを口にして、「あんた、いつも恵まれ過ぎてるからそんなふうに思うのよ」と仲間にたしなめられていた。天気が良い日を選んでいるからだけど、そう、確かに今まで恵まれ過ぎだったことが多いのだ。

沢沿いの登山道をしばらく登っていくと岳沢小屋が見えてきた。なかなか良いところに建っている小屋ではありませんか。

小屋の前のベンチで補給をしてまた歩きだす。小屋の周りはとても紅葉がきれいだ。

小屋から前穂へ向かって歩き出す。

結構長い梯子。


直前に決めただけにコースに関して予備知識はほとんどなかった。思っていたより岩々したコースで少しびっくり。そして少しわくわく。

紀美子平にザックをデポして前穂を目指す。

いやぁ、結構な高度感ではないですか。ホントこんなコースとは思っていなかった。ただ程よい厳しさで、今日の天気であればすごく楽しく登れる。悪天候では登りも下りも勘弁願いたいけれど。

下ってきた人と道を譲りながら前穂の山頂を目指す。

こちらは明神?かなり険しそうだ。

そして前穂山頂。あ~、楽しみにしていた槍や北ア北部、後立山方面はガスで見えないではないか。残念。まぁでもガスに包まれた山頂でないだけラッキーだと思っておこう。

前穂から紀美子平に戻ってきて、今度は本日のメインである奥穂を目指す。いい感じの岩場のトラバース道を歩く。

こちらは先ほど登ってきた岳沢。

そしてこちらは前穂山頂からは見えなかった、一応本日の目的地である涸沢!少し色褪せた感じだけれども、なんとかぎりぎり紅葉に間に合ったようだ。

だんだんとハードな岩場になってきた。ヘルメットを被っている人、被っていなくてもザックにつけている人が多い。

背中にはテン泊装備が入ったザック。かなり疲れがではじめていた。幸い怖さはあまり感じていなかったけれど、しっかり集中せねばと気を引き締めた。

奥穂が近づくにつれてガスが濃くなりはじめた。

山頂付近。薄くなったときに写真を撮っているわけだけど、山頂あたりはほどんどガスに包まれていた。そして風が強く、とても寒い。周りの人もしきりに寒い寒いと言っていた。というわけで、1枚写真を撮ってもらって、すぐに下山。景色は残念ではあったけれど、無事山頂を踏めて良かった。それにたまにはこういうなかも歩かなきゃね。

まだ10月の上旬だけれども、北アルプスはもういつ冬がやってきてもおかしくないのだなと思った。

ガスのなかを慎重に下って、ようやく穂高岳山荘。ここで少しひと息。以前残雪期に登ったときより、だいぶ時間がかかった気がした。

穂高岳山荘のテン場に泊まることも少しだけ考えたのだけれども、やはり紅葉の涸沢でテントを張りたかったので、あと少し頑張って涸沢まで下ることにした。眼下に見えるテント場。安易に考えていたのだけれども、これが長かった。久し振りのテント泊、さらに結構なロングコースにだいぶ消耗もしていたのだとは思うけれど、とにかく長く感じた。体のあちこちが痛い。普段は痛まない体の脇が痛むのは、上半身も使う必要のあった岩場のせいだろうか?結局最後まではもたず、テン場まであと10分くらいの場所でザックを降ろしてアミノバイタルゼリーを補給。これでだいぶ生き返った気がした。
平日だというのに涸沢のテン場は大賑わい。石がゴロゴロしていたけれど、適当な場所を見つけてテントを張り、ひと息ついてから受付をしにいった。そして水の補給とトイレを済ませて、夕食の準備をしながら大事なものを忘れたことに気づく。どこをどう探してもヘッドランプがない・・・。どうしよう。かろうじてまだ明るい。急いで夕食の支度をして、もう一度水を汲みに行って、トイレを済ませた。夜中トイレに行きたくならないように、水分補給は控えめにして、日が落ちるのに合わせてシュラフに入った。久し振りに読み返そうと文庫本を用意してきたんだけどなぁ。

さぁ長い夜のはじまりだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます