湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

2015.05.03 針ノ木峠 2536m

2015年05月03日 | 山・山スキーなど
 白馬岳から下山したあとは、またしても温泉。天気に恵まれた山スキーと温泉。贅沢だなぁ。さっきまでいた白馬の山を眼前にみみずくの湯の露天風呂に浸かりながら、翌日のことを考えていた。2日続けて山頂を踏めたのだから、もう充分な気もする。でも休みはもう1日あるのだから、このまま帰るのももったいない。結局はっきりと心を決めることができないまま、温泉を出て信濃大町に車を走らせた。

 気持ちの決まらないまま、信濃大町のコンビニで弁当を食べる。明日山に入らないのならそんなにボリュームのある弁当は食べちゃいけないなと、軽めの弁当を選んだのだが、これが良くなかった。まったくお腹が満たされず、もうひとつ食べることになってしまった。そしたら今度は二郎でガッツリ食べたあとのような、薄っすらと苦しみの汗がにじむくらいの満腹感。これはもうひと山行かないわけにはいかないと、扇沢に向かったのだった。

 20時には眠りにつき、4時前には目が覚めた。夜が明けるまでに、車のなかで昨日と同じくアルファ米とカップ麺の朝食を済ませ、準備をはじめた。



 準備を終えて、5時ちょい過ぎにスキーを担いで歩きはじめた。今日も良い天気だ! 



 扇沢のゲート近くから川原に降りて、すぐにスキーで歩きはじめられるという記録を読んだりもしたのだけれども、その場所がわからず、結局しばらく林道と登山道を歩くはめになってしまった。林道はスキーで歩けても、登山道はヤブが結構濃かったりしてスキーを外さなくてならず、少し消耗。



 ここからようやく沢に降りて、これ以降はずっとスキーのまま登っていけた。



 堰もスキーを履いたまま登っていけると記録で読んだのけれども、雪で堰が埋まっているわけではなく、巻くっていうことだったんだな。そういえば以前、針ノ木岳に来たときもこうやって巻いて通過したことを思い出した。

 ところで、今日目指すのは針ノ木岳ではなく、針ノ木峠。昨日の白馬の滑りでは、白馬より斜度的に急な針ノ木岳はとてもではないが無理だと思った。それに針ノ木岳からは以前一度滑っているけれど、針ノ木峠からはまだ未滑降。昨日一昨日と山頂を踏めたのだから、今日は針ノ木峠でも充分満足できるはずと思ったし、最終日としてちょうど良いと思ったのだ。



 前回来たときは、どなたかの表現だけれどもまさにデブリーランドで、登りも下りも苦労した記憶があるのだけれども、今回はところどころ荒れているところはあったものの、あのときとは比較にならないくらい楽に進むことができた。



 目指す針ノ木方面。まだまだ遠い。そして結構な急な斜面を登らなくてならなさそうだ。北側の斜面ということもあって、まだ雪は硬く、シールがしっかり効くか少し緊張しながら歩いていった。



 蓮華岳。こうしてみるとそんなに標高差を感じないけれど、決して楽ではないんだろうなぁ。滑りの難度は、針ノ木峠はもちろん針ノ木岳よりも上。いつか滑れる日は来るのだろうか?



 遠くに見えていた風景が少しずつ近づいてくる。



 振り返って爺ヶ岳。帰りは爺ヶ岳を目の前に下るんだな。見る余裕があるかはともかくとして。



 通称ノドと呼ばれる狭い急斜面。このあと、針ノ木岳方面のマヤクボ沢はかなり斜度のきつい場所があったことを覚えていたのだけれども、このノドもこんなに斜度があったことはすっかり忘れていた。



 ノドを越えてほっと一息。小用を足したかったのだけれども、姿を隠せる場所がなくしばらく我慢していた。なので、画面右中央の大きな雪の塊まで少しスピードアップ。無事用を足すことができた。こういう大きな沢や雪渓のなかでは、適当な場所を見つけるのにひと苦労なのだ。



 ようやく針ノ木岳と針ノ木峠へわかれる分岐へ到着。こちらは針ノ木岳方面。マヤクボカール直下はほとんど壁のように見える。雪の量によって斜度もかわるのだろうけれども、よく以前来たとき山頂を踏めたなと思ったりした。



 こちらが針ノ木峠方面。そんなにきつい斜度には見えず、安心したのだけれども甘かった。いざ登りはじめてみると、思ったより全然急で、さらに写真に見えている稜線のような鞍部に到着してみたら、そこはちょっと傾斜がゆるんだだけの場所で、さらに急な斜面がまだまだ続いていたのだった。

 ただ北斜面ということもあり、雪はそれなりにしまり、シールがちょうど良い感じに効く。もちろん雪が固いだけに滑落も怖いのだけれども、なんとかシールで登っていけなくもなさそうだ。というわけで、少し斜度のゆるんだ場所からもずっとシールで登り続けた。

 直登は無理で、ずっと斜登高。少しでも斜度の緩そうなラインを選ぶのだけれども、斜度も高度感もかなりあり、写真を撮る余裕などはもちろんなく、かなり緊張しながら、そして集中して高度を稼いでいった。



 あと少しで稜線。針ノ木峠。ここでようやく写真を撮る余裕ができた。直登は無理なので、ここから少し左上に進んで方向転換。右のこんもりした上に出るつもり。



 下を見ると、写真ではあまり感じないけれど、吸い込まれそうな斜面。



 どきどきしながら、こんもりした雪の上に出て、またキックターン。あそこが峠だ!



 そしてようやく稜線の鞍部、針ノ木峠に到着。無事着いて良かったぁと安心してすぐに、



 登ってきた斜面を見て、帰りどうしようと不安になったのだった・・・



 帰りのことを考えるのはひとまずやめて、せっかくだし景色を楽しもう。まだ開いていない山小屋の屋根越しに、槍穂がバッチリ!





 こちらはスバリ岳。ここからだと針ノ木岳は見えない。スバリ岳直下の急斜面にも直線的なシュプールが。すごいなぁ。



 こちらは岩小屋沢岳、鹿島槍、爺ヶ岳。らしい。



 峠には1時間半近く滞在。とにかく穏やかな陽気で、とても平和な雰囲気が漂っていて、今日が最終日ということもあってのんびりゆっくり過ごした。蓮華岳に向かうという単独のスキーヤーと、少ししてやはり蓮華に向かうというボーダー3人組が到着。彼らと少し話をしたあと、そろそろ下らないとなぁと、



 下をのぞき込む。(写真ではそんなに緊張感のある斜面には見えないけれど)まずいなぁ・・・



 正直下りたくなかったけれど、下らないと帰れない。内心とても困っているのだけれども、困っていてばかりいても仕方ないので、ドロップイン!そして少し斜滑降で進んだところでドテっと転倒。上からは4人がのぞき込んでいる。恥ずかしい。下からも何人か登山者が登ってくる。



 近くを滑るのは危ないので、ぎこちないターンで下からの登山者から遠い場所まで滑りまたドテっと転倒。でもケガしたり、事故になるような雪質ではなくて良かった。ここからは沢を大きく横断して、針ノ木岳方面のマヤクボカールに滑り込んだ。ガイドブックに書いてあった通り、針ノ木雪渓の下部は斜度のわりに幅が狭かったからなのだけれども、ギャラリーの目から逃れるという意図も多分にあったのだった。もっとも、幸いなことにそのあと転倒は一度もなかったのだが。



 マヤクボカールを滑り、分岐まで戻ってきた。最後の転倒からは、北斜面のしまった雪の滑りをぎこちないながらも楽しめた。



 後ろを振り返り、


 
 目の前に爺ヶ岳を望みながら、スキーの機動力を生かして短い時間で高度を下げた。



 途中林道に出てスキーを外してからは、春の息吹を感じながらのんびり歩いて扇沢へ戻ってきた。登山道はヤブが結構ひどかったりしたので、のんびりずっと林道を歩きながら、3日連続の充実した山行に、この上なく満たされた気持ちになっていた。来て本当に良かった!

 下山後は、もちろん温泉。言うまでもなく、これがまた最高なのだった。



 温泉から出た後、売店で山菜を購入。コシアブラとフキノトウは天ぷらで、こごみは白和えにして美味しく頂きました~



 本日の足跡。



 スキーということで、グラフの横軸は距離ではなく時間にした。下手糞ながらも、やはりスキーの機動力はすごいなと実感なのである。

 2015年GW。久し振りに存分に楽しむことができたGWになった。