知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

自民党のビジネスモデル。

2013年01月26日 | 国家論
電力の発電と送電を分離し、
 送電について規制を緩め、
 発電事業の競争を起こそう
というプランが、
 白紙になりそう
です。

電気事業連合会が民主党政権時に、
 協力を余儀なくされていた
ものの、
 お仲間が多い自民党になった以上、妥協はいらない
と態度を翻したためです。

自民党において、
 旧来の既得権益は、よいお客さん
なので、
 おそらく電力事業における規制緩和
は難しくなると思います。


自民党のビジネスモデルは、分かりやすい。

自民党は、戦後、ほとんどの時代に政権を取っていました。
そうなると、
 あらゆる既得権益が、手を結ぼうとする
わけです。

これは、歴史的に見て、世界中のどんな時代も同じです。

欧州では、
 カトリックが権力(王権)と結びつく。
 貴族が王権と結びつく。
 商人が王権と結びつく。

それで、既得権を活かして、お金を稼ぐ。
そのお金の一部で、権力に擦り寄り、自分に有利な既得権益の強化を求める。

そうなると、
 既得権益の外にいる者
が不利な状況に追い込まれる。

そこで、
 別の王を立てて、支援
したり、
 他国の王を応援
したりして、
 王のみならず、既存の既得権益の排除
を策略するようになるわけです。
ヨーロッパの歴史を学ぶと、
 何でこんなに王が変わるんだ
とか、
 戦争がなんでこんなに多いんだ
とか思うかもしれないですが、
 その背後には、既得権益の争奪戦
が隠れていたりします。


自民党政権時の既得権益は、
 道路族
 建設業界
 医師会
 JA
などが有名です。

電気事業連合会もこの中に入ってきます。

そのため、
 自民党が民主党に政権を取られた際には、医師会が大変なことになっていた
わけです。

 自民党の応援をやめ、民主党を応援するか。

歯科医師会は、早急に民主党支持に変わった。

政権を追われた3年の間に、
 自民党は破産寸前までに追い込まれていく。


今回の選挙で、
 多額の政党交付金
と、
 寄付金を得ることができる
ようになったので、
 復活
というわけです。


自民党のビジネスモデルは、
 全国の業界とのパイプ

 利権と票
という
 有償の双務契約
を行い、
 政権を維持する
ということ。

そう考えると、
 既得権益を排除していくなんてことはできない
ことは明らかです。

一時期、死にそうになっていた既得権益が復活することは容易に想像できると思います。


ちなみに、
 規制強化
の流れは、
 既得権益の強化
と結びつくことを知っておくとよいと思います。


えっ、どういうこと?

例えば、
 国民の生命、身体を守るために、新たに食品衛生の検査を強化する規制を作る
とします。 

それにより、
 財団法人なんとか協会の検査を受けないといけない
というルールができるわけです。

そして、
 財団法人なんとか協会は、検査料を徴収する。

その検査料は、
 業界の関係者や天下り公務員がたくさんいる職員の人件費
にあてられる。

さらに、
 国民の衛生ということで、厚生省から予算がつけられる
ことになったりするわけです。


このビジネスモデルのイメージが付きにくい人は、
 自動車の名義書き換えを自分でやってみる
とよいと思います。

自動車関連の規制は、なんとか協会の弊害が分かりやすい。

海外では車検制度すらなかったりします。
この国がいかに、規制が多く、
 いろいろな団体が国家権力と結びついて甘い汁を吸っている
かよく分かると思います。

電気料金に競争が起きないのも同じ理由。
既得権益を守れば守るほど、
 競争が起きず自助努力をしなくなり、高負担低サービスを甘受しなければならなくなる
わけです。

自民党のビジネスモデルは、
 既得権益を守る
ということにある。

 票とお金(パーティー券の客)をいっぱいくれる団体を切り捨てる
ことが難しいのは、イメージできると思います。


ちょっと待てよ。
民主党だって、規制緩和できなかったじゃないか?

確かに。
民主党は、比較的、既得権益との結びつきは強くなかったわけです。
そのため、仕分け作業で、自民党の支持母体を一掃しようとした。
ところが、それをやり遂げるだけの「スキル」がなかった。
結局、
 既得権益ではなく、優秀な官僚にやられてしまった。

官僚は、既得権益と密接に結びついているヘッドみたいなもの。
結果として、既得権益に切り込めなかったというわけです。


つまり、現状打破のためには、2つの要素が必要。
一つが、既得権益との結びつきが強くないこと。
もう一つが、国益を考え、既得権益を打ち破るスキルを備えていること。

そんな政党が出てこれば、この国が新しいモデルに切り替わるかもしれません。

ところが、
 現状で、それは無理
です。

理由は、
 国民の質がそこまでいっていない
からです。

既得権益に属していない多くの国民が選挙に行き、
 きちんとスキルを備えた議員を判断し投票する
必要があるわけですが、
 現状をみると難しい
ということは分かると思います。

投票率がそもそも低い=そもそも既得権益に有利
かつ
 投票に行くのは、既得権益の関係者

自民党議員が、地元企業を回ったり、宗教団体を回ったりする理由は、
 まさにここ。

そして、最大の既得権益である「高齢者」よりも、
 若い人が積極的に選挙に行く
などということは考えにくい。

残念ながら、今の選挙システムでは、
 既得権益の妥当などできない。
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