知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

増税の時代へ。

2013年01月10日 | 国家論
このブログの国家論のスタートは自民党政権下だったので、
そのころから、コンセプトは変わっていません。

国家に任せておくと大変なことになるから、
 知的に成長して、どんな状態になっても、クールに生きられるスキルを身につける。

コントロールできないことはそのまま受け入れ、
 コントロールできることに集中する。



自民党政権も、民主党政権も、
 大きな国家
というビジョンに変わりはありません。

ただ、
 支持母体との関連
で、
 ばらまき先が異なる
だけのこと。


民主党政権の支持母体は、
 労働組合と公務員、官僚組織。
 プラス「一般大衆」。

自民党の支持母体は、
 建築業者(地方の工務店など建築関連の中小企業)
 農家
が多い。

そのため、
 ばらまく先は、公共事業と補助金を通じて行う
ことになります。

ちなみに、自由貿易の阻止は、
 消費者の負担の下で農家の所得を保障しているのと同じこと
です。


小泉改革以前の景気対策は、
 国債を発行して、大型公共事業を行う
というものでした。

これにより、
 大手ゼネコンにお金が回り、地方の下請け、孫請け、一人親方、日雇い労働者
と、
 川の流れのように流れていくシステム
です。

それが、小泉改革で、財政の健全化のために、
 公共事業の支出を抑えた。

それにより、
 地方の工務店が倒産に追い込まれる
ことになった。

自民党の支持は、
 公共事業という見返り
があってこそだったため、
 3年前の衆議院選挙では、民主党に政権を奪われることに。


そこで、3年の間、
 自民党の議員は、肩身の狭い思いをする
ことになります。

地元有力者の葬儀にいっても、
 新人民主党議員の陰に隠れ、元衆議院議員として紹介される程度。

陳情など誰も来てくれなくなる。
お金も尽きていく。


そこで、
 今回返り咲いた。


もし、あなたが、この議員の立場だったら…

そうですね。

地元有力者、票をたくさん持っている建築業者のためのために
 たくさん公共事業を持ってくるようにエネルギーを注ぐ
はず。

 公共事業=次回の選挙の際の議席

 もうみじめな思いはしたくない。


この建築業者というところが、
 場所によっては、農家に代わる
だけのこと。

一票の格差が解消しないのも、
 議席を失うことになると、地方の地元の影響力が下がったり、当選しにくくなったりする
ことになるので、
 こういった議員が猛烈に反対している
ため。


これが、自民党の政治システム。


*****
これを変えるには、
 地方自治体が変わる
必要があります。

これが、地方分権。

どういうこと?

 地方に産業がない
のが、
 このシステムが存続している原因
なわけです。

地方では、
 建築と農業
くらいしか、
 産業がない。

地方に行けば分かると思いますが、
 農業・漁業
 製造業・建築業
 サービス業
と割合をみてみると、
 都市部では、圧倒的にサービス業の割合が大きい
のに対し、
 地方では、農業・建築業の割合が大きい。

つまり、食べていくためには、
 農業・建築業。
ちょっと、頭がいいと、
 公務員
というように、なってしまうわけです。
全体的に、
 仕事がない
わけです。

そうなると、
 頼みは、公共事業や補助金。

農業の発展を阻害してきたのが、この補助金や関税などの規制です。


競争がないと、
 人は創意工夫をして、顧客のために、よりよいものを作ろうとはしない
ので、
 進化しない
わけです。

反対に、競争が激しい業界では、
 すごいスピードで進化している。

これが、PCやスマホの業界。
ハードの戦いから、ソフト(アプリ)や総合的なソリューションの戦いにシフトしてきている。
価格も安くなっているし、通信速度もアップ、無線LANの技術もアップ。

農業はどうかというと、
 製造コストは30年前とたいして変っていない(むしろ、肥料や重油などの高騰で相対的に高くなっている)。
また、土地に対する規制のため、大型化やそれに伴う機械化もたいしてなされていない。
むしろ、儲からないし、体がもたないからやめてしまう。
農地に家を建てる。
息子は、魅力のない農業なんてやりたくないけど、
ここには他に仕事がないといって、都市に引っ越してしまい、盆と正月しか帰ってこない。

こうして、
 農地はどんどん耕作放棄地となっていく。


自民党は、
 相続税の増税(基礎控除額を5000万円から3000万円)と所得税率の上限を上げる
という方針を打ち出しました。
(ちなみに、農地の評価額はかなり安いため、広い農地を持っていても税金がかかることはあまりない。)

おそらく、増税の効果があまり見込めないと分かると(おそらく、もう分かっているはず)、
 控除額を3000万円から2000万円へ変更。
 すべての所得層での税率を3~5%増加
という次のステップに行くはずです。

いきなり、このステップを取ると、猛反対されるので、
 まずは、一部のかなりの金持ちを対象とした第一ステップを踏み、
 多くの国民に、「まぁ、うちは関係ないよね。金持ちは持っているから払えばいいんだよ」と思わせて、
 前例を作った上で、
 まだ足りないので、少しずつ増税をしていきましょう
という次のステップに移るわけです。


消費税も、最初の設定のときの国民の反発に比べたら、
 今回の5から10%という反発はたいしたものではなかった
わけです。

0から5%も、5%から10%も額からすれば、同じ負担のはずですが、
 制度の新設と変更では、与えるイメージが全然違う
ということです。

社会保険料も、徐々に上がっていますが、
 源泉徴収票を見て、それを実感している従業員の数はそんなに多くない
はずです。

今後は、こういった見えにくい負担が増えていくはずです。


なぜか?

自民党の政治システムを維持するには、
 多額の公共事業を捻出する必要がある
からです。

通常、
 発展途上の国家
と、
 ある程度基盤が整備された国家
とでは、
 必要となる公共事業の額が異なる
はずです。
新設とメンテナンスでは、メンテナンスの方が額が少なくて済むからです。

これは、
 大学1年で家具を買いそろえてお金がかかった学生が
 社会人一年目で引越しをしても、前の家具を持っていったので、
 あまりお金がかからなかった
というのと同じ。

ひとたび、そろえてしまえば、あとは、メンテナンス程度ですむので、
 それほどお金はかからない
わけです。

ただ、
 家具業者を儲けさせようと考えた場合、
 一年ごとに、使っていた家具を捨てて、新しい家具を買わないといけない。

家具業者の仕事がなくなるからです。

 そんなバカなことはしないよ。
 もったいない。

そう思うはず。

でも、
 公共事業を行い、地方に、お金を回すことが目的であると考えた場合、
 必要のないものを作り続けなければならない
わけです。

そのためには、国債を発行する。
ただ、国債を発行しまくると、金利が上昇しすぎるおそれがある。

そこで、
 国債発行と増税とをセットで行う。

世界一の貯蓄残高を持つ国民がこの国債の保証人になってくれているから、
 この国債の信用力は抜群だよ。

これで、金利の急上昇を防ぐことができる。

ギリシアは、国民がお金を持っていないので、
 増税しても国債の返済は難しい
と判断されて金利が上がった。

日本は、増税しまくれば、ある程度は回収できるので、
 金利の急上昇が今のところ起こっていない。
(ただ、じわじわ上がっていく可能性が高い。)


結局、
 国民のためになる公共事業のみに絞る
という、
 支出面での厳しい監視機関がないと、今後の増税も防ぐことができない
というわけです。

これが、
 会計検査院の強化。

でも、官僚も自民党も自分の首を絞める法案を通すわけがない。


抜本的な解決は、
 こういう無責任な国に公共事業の全権を委譲するのではなく、
 本当に必要なものが何かが分かっている地方自治体に公共事業の権限をゆだねる
ということ。

これが、
 地方分権。

 選挙の際、自民党も地方分権について語っていました。

しかし、
 政権を取った途端、
 増税と公共事業は、すぐに出てきたのに、
 地方分権の動きは聞きません。

一票の格差の是正や議員定数の削減・報酬のカットも、おそらく進まないと思います。

なぜなら、
 票に結び付かない
からです。

残念ながら、
 これが、投票率が低い国家の民主主義のなれの果て
です。

投票率が低ければ、
 組織票だけで当選できる。
 組織票を持つものは、見返りを求める。
 議員は、その見返りを与えるために、公共事業で恩返しをし続ける。
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