知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

国家像を描く。

2013年01月20日 | 国家論
最近読んでいる本。

クオリティ国家という戦略 これが日本の生きる道

 これからの日本がどういう国家を目指すべきか
について書かれています。

参考として取り上げられているのが、
 スイスとシンガポール。

基本は、
 小さな国家。

海外から、人・モノ・カネ・情報を呼び込み、
 海外で稼ぐモデル。

税金等が安いから、海外から企業や富裕層が集まってくる。
しかも、ビジネスもしやすいので、雇用が生まれる。
ビジネスがしやすいと言えるためには、
 ビジネスに役立つように教育された国民が必要。

グローバル企業をいくつか作って、
 海外で稼ぐというモデル。

資源がない国家は、
 低コストで大量に生産する(製造)
か、
 付加価値を付けて利益を得る(職人)
かしなければ、富を作ることはできない。



*****

これからの日本は、
 一時的に大きな国家
として、
 旧来の制度に戻る
わけですが、
 最終的には、小さな国家に移行せざるを得なくなる
と思います。

財政が限界に達する⇒増税⇒富裕層と産業が海外に移転⇒空洞化

こうなると、
 増税しても効果がなくなり、通常の行政サービスさえ賄えなくなる。
(増税は、経済規模が小さくなると、効果が少なくなる。)

そうなると、
 行政サービスの削減が始まる。
 これは、夕張の破たんなども同じ。

結局、小さな国家に移行せざるを得なくなる。
その際には、
 自己責任論が展開される。

 貧乏なのはお前が悪い。
これが、一番恐ろしい現象です。

紛争地帯でカメラマンが射殺された事件で、
 紛争地帯に行ったのだから自己責任だ
という論理がメディアで巻き起こったことがありました。

生活保護、年金の削減、福祉の削減が始まり、
 本当の弱者が虐げられるおそれがある
ということ。

最悪なのは、教育を受けられない人が増え、
 貧困の連鎖が起き、貧困層が固定化する
おそれが高いということ。

そうなると、
 賃料が安い町がスラム化
するおそれがあり、
 治安も悪化する。


今、そうなっていないのは、
 国債という将来の国民のつけで生活している
からです。


そうならないためには、
 少しずつ、未来を健全化していく必要がある
わけですが、
 増え続ける社会保障費をどうするか
といった抜本的な議論がなされていない。
そのため、
 結局、消費税の増税、相続税の増税などの増税政策で先送りしていき、
 いずれは、コントロールできなくなる
と思います。

これは、
 日本には既得権益が多すぎる
ということが原因だと思います。

予算分捕り合戦。


縦割り行政の弊害と言うのは、
 いいかえると、既得権益の弊害
ということです。

農水省、農水族議員、JA。それを支える農家。
経産省、族議員、経団連。それを支える企業。

利害関係が全く異なるので、まとまらない。

そうなると、
 前述の本にもあったように、地方分権を推し進めていき、
 各自治体が主体的に政策を練って実現していく
ことが重要となってくるわけです。

例えば、
 北海道の発展のための戦略

 都市部である大阪の発展のための戦略
は異なるわけです。

北海道はデンマークなど酪農で成果を出している農業国を参考に、
 税制や成長戦略を考えたほうがよい
わけです。

大阪は、商業を中心に、シンガポール等のモデルを中心にする。

名古屋はトヨタを中心とした機械産業が
 グローバルで戦いやすいような戦略
を中心として、練っていった方が、住民の利益に適う。

それぞれ、勝つためのパターンが異なるわけです。

例えば、
 全国一律で助成制度を作っても、全く申請していない地方
があったりします。

そもそも、助成制度を申請する基盤がないからです。

農業一つとっても、
 北海道は大型化
が可能であるのに対し、
 島根などは平地をうまく使った小規模なもの
が中心。


国家で成長戦略を練っても効果が出にくくなっているのは、
 他の競争相手が強くなってきている
からです。

今までは、
 冷戦などが原因で経済どころではなかった国
が、
 政情不安がなくなったため、
 経済というグローバルな戦いに参加するようになった。

中国や東南アジアがよい例。

こういった国々は、
 安い人件費を武器に参入してくるので、価格競争で勝てなくなる。

しかし、日本の農業のやり方は10年前、20年前と大して変わらない。
農業がIT化したり、生産性を高めているかといったら、
 一部の農家を除いては従来通りと言うところが多い。

そのため、
 国家に助けてもらう必要がある。

それが、関税。
TPP反対の大きな理由。

ただ、これにより、消費者は安い商品を選択できない。
また、農家自身も、創意工夫で戦おうという意欲が持てないまま、
 後継者不足など、産業としての魅力を失いつつある。


国民も、
 社会保障、生活保護が充実する
ことで、
 働かないと大変なことになるという危機感がなくなる。

それにより、創意工夫や嫌なことでも耐えて頑張ろうという意欲が持てないまま、
 人としての魅力を失いつつある。


スイスは、
 社会保障が十分ではない
そうです。
 補助金等国家が民間に関与することもない。

年金もない。
自分で、民間の年金をかけておかなかったのが悪い。

 だから、年金をかけていない人をどうしたらよいの?
という発想がない。

そのため、
 みんなが自分で年金をかけ、将来の準備をしている。

国民の「自律」。

日本は、「平等」「社会権」が、
 憲法の理念からは歪められてしまっている。

機会の平等ではなく、
 結果の平等を重視し、ばらまく。

働けるのに働かない人は、
 生存権の対象とならない
のに、
 審査がずさんで不正受給を許している。

そして、
 票集めと密接に結びつき、議員に頼むと県営住宅などに入りやすい
という、訳の分からない状況にまで陥っている。

中国の汚職に対し、厳しいメディアも、
 談合、随意契約、道路公団のファミリー企業、宗教団体の利権、生活保護の不正受給
といったテーマになると、及び腰になる。

おそらく、
 経済対策の名に大型の補正予算を組んだ
ので、
 利権にお金が回り出すようになる
と思います。

スイスでは、そういうおそれがないのは、
 そもそも、そういったお金の配分権限が国家にない
からです。

これが、小さな国家の最大の利点です。

国家や権力を信頼できない場合、
 小さな国家 
がベストです。

浪費をする配偶者に大金を持たせると、
 すぐになくなってしまう。
渡すお金は、生活費程度の必要最小限にしておき、
 将来の予測をしながら、自分で計画した加えておく。

賢い家計。

お小遣い制は、いわば、小さな国家。
その範囲でやりくりして下さい。

その代り、たいした見返りは期待しない。
最小限度のことしかしなくても、文句は言わない。
そんなにお金を渡していないため。

それを、
 お金も渡さず、過度に期待をして、口ばかり出す
と、
 離婚の危機
に陥るわけです。

 
これは、国家も同じ。

大した税金も払わずに、あれもこれもと、行政サービスを要求してはいけない。

行政サービスを維持して、負担を最小限になどできるわけがない。
民主党は、これで崩壊したわけです。
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