知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
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日本の問題点③ 同調圧力

2021年05月16日 | 国家論
「和を以て貴しと為す」

聖徳太子の十七条憲法。

 和をなによりも大切なものとして、争わないようにしなさい
という意味です。

ただ、他の条文と相まって、
 わだかまりがないように、話合いをして決めなさい
という意味を含んでいます。

古代ギリシャを中心に、
 弁論術
は、重要なスキルと認められています。

議論は、けんかではなく、
 よりよいものを作るための協同作業
というスタンスです。

ただ、日本は、
 学校の授業でディベートがない
ことから分かるように、
 議論のやり方について学んでいません。

そのため、
 誹謗中傷であったり、
 論点とは関係がないことで相手を批判したり
して、
 いわば、口げんかのようになってしまう
わけです。

これは、日本の問題点①とつながってきますが、
 議論をして年2000万円近くもらっている議論のプロであるはずの国会議員
でさえ、
 議論のスキルが磨かれていない
ことからも、よく分かると思います。

 議論が無意味だとどうなるか
というと、
 数の論理で決まる
ことになります。

今の国家は、選挙で過半数をとった瞬間に、
 法案が通るかどうか
が決まります。

理想は、
 議論を通じて、確かに相手の言うことも一理あるな
と認めた上で、
 その問題に対応するために、法案を修正し、
 その結果、よりよいものができあがる
というスタイルです。

今の国会では、
 指摘自体が建設的なものでない
という面もありますが、
 相手の攻撃を言葉巧みに乗り切る
ということが、国会での大臣の仕事であり、
 その原稿を作るのが、担当の官僚の仕事である
わけです。

 与党と野党でよりよい法律を作っていこう
という共通の基盤がない以上、
 よい法律はできない。

国民投票案は、珍しく立憲民主党の修正案を受入れ、
 今国会で成立見込みとのことです。

ただ、法案の充実というよりは、
 改憲までの時間伸ばしの戦術のためなので、役に立たない野党である
ということに変わりはありません。

*****
時事通信
国民投票法、今国会成立へ 与党が修正受け入れ
2021年05月05日17時05分配信 より引用
自民、公明両党は5日、憲法改正国民投票の利便性を高める国民投票法改正案について、
立憲民主党から提示された修正要求を受け入れる方針を固めた。
2018年から9国会にわたって採決が先延ばしされてきた改正案は、
6日の衆院憲法審査会で修正、可決された後、
近く衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。
(略)
修正は立憲が求めてきたCM規制や外国人寄付規制について、
改正案の付則に「改正法施行後3年をめどに検討を加え、
必要な法制上の措置を講ずる」と明記する内容。
立憲側にはCM規制などの議論を今後3年間続け、
その間、「本丸」の改憲論議を棚上げにする狙いもあるが、
自民党は「進める手はいろいろある」(関係者)と判断した。
*****

議論が苦手なところは、
 外交にも影響する
ことになります。

アピールが苦手なので、
 国連やユネスコなどで、お金は出しているにもかかわらず、
 指導的な立場に立てない
わけです。

この点、中国は、国際機関において、
 中枢の人事を掌握し、自国の利益になるような工作活動に利用しています。

独裁国家で、議論に関連するアピール力が優れているのは、
 奇妙な感じがする
かもしれません。
議論は民主国家で必要なスキルのはずなので。

ただ、
 あの膨大な共産党員の中で出世していく
ためには、
 議論が上手く、目立つ存在でなけれならない
と考えると、納得できると思います。

現に、
 自国のことを棚に上げて、相手がいたいと思うような批判をしまくっている。

どのクチが・・・と思うようなこともあります。
 人権などない国が、他国に人権侵害は許されない
だの
 親中派議員をお金などで育て、政治やメディアを操って、内政に干渉しておきながら、 
 香港、ウイグル、チベット、台湾のことを内政干渉するなと批判する
など。

ただ、中共の議論の上手さ(ダブルスタンダード)や、アピールの上手さ、工作活動の巧みさなどは、
 人のよい日本が学んでおくべきところ
だと思います。
(露骨すぎると、嫌われるが、お人好しすぎると、いいように利用されるため。)


議論やアピールが下手な人が集まると、
 空気だとか、権威だとか、慣習だとか、和だとかいった、よく分からないもの
を利用して、
 他人を思うように動かそうとする。

これが、「忖度」だとか、「自粛要請」につながってきます。

法が強制するものではないが、
 お願い
といいつつ、
 事実上、期待する行動を取らせるように仕向ける。

行政も、行政指導はできないものを、
 「要請」だとか、「依頼」だとかいう、法的根拠がないものを企業に出して、
 事実上、強制する
場合があります。

 再就職先のポストの確保
などは、
 関係省庁から、お願いされれば、むげに断れない。

会社でも、
 上司が誘う飲み会は事実上の強制であったり、
 勤務時間外の勉強会は、自主的に開催されていると言いながら、出ないと嫌みを言われたり。

これが、同調圧力。

和を乱さないように、できる限り、廻りから批判されたりしないように、気をつけながら生きなければならない。

窮屈。

古くから、日本には、村八分という慣習がありました。
村八分にされると、火事以外は助けてもらえないため(火事は延焼のリスクがあるため例外とされた)、
共同社会でしか生きられない田舎の暮らしにおいては、
 事実上生活できなくなる
わけです。

これでは、
 イノベーションは起きにくい。

とんがった製品も作りにくい。
人とは違った生き方もしにくい。

大谷選手のように、二刀流を目指せば、選手生命が短くなると止められる。
よかれと思ったアドバイスも、
 新しいチャレンジを邪魔する
おそれがあります。

アメリカで3刀流と他球団のファンからも尊敬されている姿を見ると、
 大リーグに行って本当によかったな
と思います。

日本球界で、あれをやろうとすれば、
 頭の固い日本風の人々から、どちらかに専念すべきだ
と圧力がかかるからです。
無謀だ、肩を壊す、選手生命が短くなる、怪我をするぞ、
 ほら、怪我をして1年を棒に振っただろ。
 球団は、選手の体調を管理する責任があるなどなど。

 和と以て貴しと成す

 喧嘩しないようにしましょう
というのは、
 議論をして、相手を尊重する
ことで、
 仲間なんだから無駄な争いはしないようにしましょう
という意味です。

そのため、
 喧嘩しないように、相手に諦めさせるための言葉ではない
わけです。

今の日本は、
 コロナ対応でもそうですが、
 「和」を協調し、法律では合法な行為を束縛しようとしている。

これは、立派な憲法違反です。

行動の制限という、人権侵害をするためには、
 根拠となる法律が必要である
からです。

非常事態宣言でも、
 外出自粛要請
はできるものの、
 外出禁止はできない。

要請に応じるかどうかは、国民の自由というわけです。
応じないからといって、批判し、つるし上げるのは、道徳の押しつけと同じです。
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