知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

給付金のデメリット

2020年06月16日 | 国家論
給付金の申請受付と支払いが行われ始め、
 メディアも取り上げています。

2009年のリーマンショック後の12,000円の定額給付金は、
 失敗だった
という意見が多かった。

その反省が活かされず、今回10万円の給付金が
 十分な議論もないまま支払われる
ことになりました。

国民からすれば、
 お金がもらえるなら助かる
という思いと、
 赤字国債なんだよな
という不安な思いもあると思います。

給付金のデメリットは、
 モラルハザードを起こす
ということです。

おそらく、
 10万円、1回では足りない
という意見や、
 第二波が来たときに、再び10万円を支給しろ
という意見が、
 巻き起こる
と思います。

さらに、感染症が蔓延する度に、
 給付金の議題が出て、国民の票が欲しい政治家によって、ばらまかれる。


給付金の政策の目的がはっきりしていない点も、
 マイナス要素
になります。

アルバイト、パートや非正規社員で給与がなくなってしまった人を保護する目的であれば、
 福祉目的
となるので、
 生活費の貸付制度の充実
の方が役に立ちます。
この場合は、10万円に限らず、生活に必要な範囲で借りられるように制度を充実させる。
これで、学生も退学せずにすむわけです。
(返済については、余裕ができた後の長期払い、減免制度も市町村の判断で認めればよい。)

景気浮揚策であれば、
 消費税減税や所得税減税の方が効果がある
というデータがあり
 さらに、公平な感じもします。

給付金の支給は、
 自治体が大混乱しているように、手続が大変でコストがかかる上に、
 消費が保障されないため、経済波及効果が少ない。

減税の場合は、確定申告の際に反映させるだけですむ上、
 余剰金という思いが強いので、消費に回される
ことになりやすい。


ただ、目的は、選挙でアピールするためなので、
 全国民に10万円を支給し買収した
というわけです。

このつけは、
 赤字国債の急増という結果
を招きます。

MMT理論のように、
 国債を発行しまくってもデフォルトにならないからよい
という考え方もありますが、
 円の大量発行によるインフレリスク
はつきまといます。

 インフレになったら、デノミすればよい
という意見もありますが、
 デノミ結果として、資産家や全国民の年金、生命保険などの円資産の値べり
を招きます。

 コツコツ頑張って貯めてきた人の資産を奪うことになる
というわけです。

 ない袖は振れない
という言葉があります。
 ない人からは、お金をとることはできない
という意味です。

政府が狙うのも、
 コツコツ努力をして、スキルを磨いて、
 頑張って働いて、
 高い税金や社会保険料を天引きされながら、
 文句も言わず、コツコツ節約して、老後資金を貯めてきた
そんな「誠実な人」です。

そういう人からお金をむしり取って、
 みんなにばらまいて、票を得ようとしている
ということです。

次の選挙では、公明党は、自分たちのおかげで、
 自民党の案を全国民10万円支給に変えることができた
とアピールするはずです。

6月は夏のボーナスシーズンですが、
中小企業のボーナスとして、
 36万円くらいの支給
だと、社会保険料5万円・税金2万円が引かれるので、
 手取りが29万円くらい
になってしまいます。

さらに、
 社会保険料の5万円は、事業主も別途同額を支払う
運用になっています。

つまり、会社が36万円のボーナスを支給したいと思った場合、
 事業主は、5万円を足した41万円を負担し、
 従業員は29万円しか受け取れない
ということです。

41万円のうちの12万円は
 社会保険料と税金で消えている
という恐ろしいことになっているわけです。

そして、こうまでして納めた社会保険料(厚生年金、健康保険)は、
 デノミなどに巻き込まれて資産価値が減少した場合、
 老後が保障されなくなる
というわけです。

老後不安は、
 赤字国債を発行しまくり、
 長期的な国家ビジョンを描けず、
 国防も心配である
という
 国家に対する不信感から生まれている
と思います。

 貯めないと生活できないかも・・
と不安に思えば思うほど、
 国民は貯蓄するようになり、経済は縮小していく。
仮に5000万円貯めても、デノミで10分の1になれば、
 500万円の資産価値にしかならなくなる
わけです。

10万円が給付されたとしても、
 生活できている人は、老後資金のための貯蓄に回される
と思います。

個人的には、
 非常事態宣言と過度の自粛は、経済弱者を困窮させる
という考えのもと、
 最終手段にすべきだった
と思います。

感染者が増えようが、
 早期発見、隔離、治療で抑えながら
 経済のリスクとバランスをとりつつ
 なんとか、みんなが生きていけるようにする。

国家は、
 できる限り、国民の生活に関与しない方がよい
という思想です。

今回は、国家が、
 緊急事態宣言という関与
と、
 それに伴う持続化給付金・10万円の給付金
という
 膨大な赤字国債を利用した関与
を行いました。

しかし、
 自助努力を原則に、
 本当に困っている人を福祉の名の下に救済する
というのが
 国家の役割
だと思います。

今後、
 給付金が原則になってしまうと、国家に頼ればよい
というモラルハザードが起きてしまいます。

そして、
 票が欲しくて国民に迎合する政府がばらまきに走る
と、
 長期的に見れば、真面目にコツコツ貯めてきた人が犠牲になる
という
 不合理な結果を招きかねない
というわけです。

個人的には、
 正直者が馬鹿を見るという世の中は間違っている
と思います。

約束は必ず守る。
社会保険料をきちんと納めた人は、
 老後、困らずにすむよう責任を持って対応する。
そのために、無駄なコストを省き、システムを簡素化する。
民間の保険会社が約束を守らない給付しかしないのであれば、訴訟となります。

国家が信用できるような存在になれば、
 国民も安心してお金を使えるようになる
わけです。

税金や社会保険料についても、
 効率的な運用のもと、上限を設定し、料率を上げすぎないようにする。
今後、少子高齢化が進み、行政改革(特殊法人改革)もなされないので、
 厚生年金も健康保険料もますます上がっていく
はずです。

今でもそうですが、
 ボーナスの3割を税金や社会保険料で持って行ってしまうような制度
は、
 もはや破綻の危機にある
と思います。

それで約束通りの支給がされなければ、
 だれも払いたいとは思わない。

だから、強制的かつ天引きにして、
 国民が逃げられなく
しているというわけです。

給与明細を見て、企業は同額の社会保険料を自分のために支払っているのに、
 自分が受けられる給付は、どんなものになるのだろうか
と社会保険制度(厚生年金・健康保険)に関心を持つことが大切だと思います。
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