知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

財政規律のチェックシステム

2020年06月11日 | スキルアップ
国の持続化給付金で、一般社団法人サービスデザイン推進協議会から
事業の大部分の再委託を受けた広告大手の電通と子会社六社がグループとして、
少なくとも計百五十四億円を得る見通しであることが分かった。
国からの委託費七百六十九億円が法人を通じ、電通グループ各社に配分される構図が浮かんだ。

東京新聞6月6日 引用 https://www.tokyo-np.co.jp/article/33741

こういったことは、震災復興の公共事業も含め、問題となっていたことです。


今の日本の問題の一つが、
 行政国家現象
というものです。

行政国家現象の定義は、
 政府が社会の秩序維持にとどまらず、
 一定の理念の実現を目指して
 国民の生活、経済活動の在り方に積極的に介入しようとする国家
のことをいいます。

 政府は最低限の警察などの機能でいいよ
というのが、夜警国家といわれています。

 行政が、福祉などを含め、国民のために色々やってくれるなら、そっちの方がいいよね
というのが、
 福祉国家の理念。

ただ、当然ですが、コストがかかるので、税金が高くなるという特徴があります。

小さな国家の良いところは、
 税金が安い
ということ。
ただ、
 自立した国民が前提となる。

至れり尽くせりのサービスを提供すると、
 当然、税金は高くなる。

結局は、このバランスをどう取っていくのかを、国民が決めるというのが、
 民主主義
というものです。

 何にどれだけお金を使うか
を国民が決めていくということ。


ただ、選挙で勝つには、
 福祉を訴える必要がある。

そのため、
 あなたの税負担は安く、充実した福祉が提供できます
という
 政策を訴える
ことになります。

 共産党系は、大企業や金持ちからとればよい。あなたの負担はないですよ。
というスタンス。
最近では、
 国債を大量発行すればよいというMTT理論。

この
 福祉主義と財政の問題
の面とは別に、
 行政国家現象には大きな問題
があります。

それが、コストの問題です。

日本には、官僚の再就職先を確保するため、
 一般社団法人や独立行政法人、様々な民間企業が存在している
わけです。

そういった団体に、お金を配らないと、
 元官僚を再就職させるメリットはない。

そのため、
 公共事業を発注する際、競争入札という名目にしながら、
 入札できる企業や団体に縛りをかけて
 事実上、元官僚の息のかかった団体しか入札できないようにする。

あるいは、
 許認可や申請業務を行うために特定の団体が受注する
ような仕組みを作っておく。

政府からのお金が、特定の団体を通過することで、お金を落とすようにする。
それにより、実際に、
 支給されるお金は、大分引かれている
という状況になるわけです。

こうしたことは、
 健康保険料や雇用保険料、生活保護、アベのマスクなど
 行政が行うあらゆる事業で行われている
わけです。

これが、
 大きな国家の最大の欠点
です。

無駄が多い。
財政規律のチェックシステムが機能していない。
特に、コロナなど、緊急の財政出動や予備費の支出のチェックは、甘くなる。

家計では、1円を安くするために、創意工夫で切り詰めているわけですが、
 国家の場合は、再就職先にいかに効率よくお金を流すのか
の方が重要視されている。

ちなみに、
 野党が頑張って、追及してますが、
 民主党政権下の震災復興費も同じように、特定団体を通過し、マージンが引かれていた
といえます。

官僚は、政権が変わっても替わらないので、
 仕組みは同じ
ということです。

仕分け作業の理念は、まさにこの仕組みを解体することだったわけですが、
 官僚の猛抵抗に合い、なし崩し的になりました。

では、どうしたらいいのか?

実は、
 憲法でもこのようなことは想定してます。
そのために、
 会計監査院という組織が規定されている。

しかし、
 官僚にとっては、会計検査院は敵であるため、予算、人員などを最小限にし、
 報告書もだれも注目しないようにしている
わけです。

https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary30/futo05.html
税金の使い方が不適切だと報告されているものの、
 メディアが追及することもなく、問題となっていない
わけです。

 税金は、取る方は、ごまかす者を犯罪とし、
 使う方は、無駄遣いしてごまかしても犯罪とならない
という
 官僚に都合のよい仕組みになっている。

では、どうしたら?

ここでも、地方分権が重要です。
国家が行う場合、
 予算が大きすぎるから、チェック機能が働きにくい
わけです。

ところが、
 地方自治体レベルになると、市民オンブズマンによるチェック機能が働きやすくなる。

1000億円の給付については、細かくチェックしにくいものの、 
 自分たちの自治体である30億円程度であれば、効率よく分配できるような仕組みが作りやすい
というわけです。

 マスクの配布代や検査代が高すぎない?
 こんな団体通さず、直で契約すれば安くなるはずだよね。もっと、競争させて値段を安くしよう。

ただ、中央官庁は、
 これを行うことは、自らの利権を失うことにつながり、天下りができなくなります。

そのため、
 権限を地方に分配しようなどと思わない。

 全国一律の高い専門性や公共性が求められている
など、手放さないよう徹底抗戦する。
 
これが、
 地方分権が進まない最大の理由です。

今回、
 様々な知事が、その能力を発揮し、国会よりも支持率を上げました。

地方政党が協力し、
 国会を組織し、地方分権が進むような法案を通す。

おそらく、
 日本が変わるために必要なステップは、地方分権と財政規律の確立
だと思います。

そのために、国民が政治に関心を持つこと、
 自分たちの生活、将来に直結しているという認識を持つこと
が大切です。

 自分は、そんなに税金払ってないから、関係ない
と思っていると、この先、
 重税国家で低福祉社会に巻き込まれる
おそれがあります。
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