YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

The Economist June12th-June 18th 2010

2010-06-14 11:39:58 | 新聞、雑誌から
表紙に "What's wrong with America's right" の見出しがあり、関連記事の見出しに "The risks of "Hell, no!"" というのもあり、保守派の台頭と少数野党の共和党戦略を批判している。

The Economist は世界事情を知る為にはバランスの取れた雑誌だと思っているが、自分の見方と違っている事、内容も表層的で陳腐である事から、今回ばかりは間違った分析をしていると考えている。

内容的には大きく分けて2つ。1つ目は、Tea Party と呼ばれる極端に右寄りの市民活動の活発化で、共和党が2分されているという分析。2つ目は、共和党には現在政権や民主党に対抗する政策提言がないという批判である。

Tea Party は、オバマ政権が打ち出した住宅ローンの救済策を批判した経済ニュース番組のレポーターが口にした事から始まったのだが、健康保険改革法案への反対活動を通して、全国で自主発生的な団体が数多く出来てきている。基本的には、正統保守であり、独立宣言と憲法を遵守し、小さな政府と国防強化を唱える活動である。金融機関の救済、景気刺激策等で急増している国の借金に大きな不満を抱いている。また、オバマ政権が画策する Cap and Trade (炭素税)にももちろん反対している。

マサチューセッツ州の上院議員特別選挙で、全く無名の共和党候補を後押し当選させた事で政治的パワーを認知され、今秋の中間選挙に向けての共和党の予備選でも、Tea Party の推す候補者が共和党の上層部が推す候補を破ったりしている。その流れで他の共和党候補も影響力を無視できず、従来より右傾化してきている。

中間選挙では、中道の共和党候補に協力しないのではないかという憶測があり、Tea Party 活動団体による二分化が心配されている。しかし、Tea Party も党内抗争や第三の党より、民主党の完全支配(ホワイトハウス、議会の過半数)を崩す事が優先なのはハッキリ認識している。

Tea Party と共和党とも、オバマ政権や民主党が打ち出してくる政策に、反対ばかりをしているのであるが、例えば、 Cap and Trade (炭素税)など反対しか出来ない法案である以上、妥当な批判だとは考えられない。

今週の記事は、マスコミにありがちなリベアルな香りがする。党の二分化は、リベラルに良くある政策内容の細部が違う事での内部闘争からの発想であろうし、タチの悪い政策提案をしておいて代替え提案が無いと批判するも古典的な手である。

The Economist の分析の正当性を見極める為の一番の注目は、ネバダ州の上院議員中間選挙であろう。現職で民主党上院リーダーの Harry ReidSharron Angle の戦いである。Sharron Angle は、年金(Social Security)の廃止さえ唱える程の右寄りあり、彼女が共和党の候補になった事で、ずっと不利だと思われていた Harry Reid が対戦相手になった事を喜んだと噂される位、極端な(政治現実からほど遠いという意味で) Tea Party 好みの候補者ある。

忘れてならないのは、これら Tea Party 好みの候補者が、実は真っ当な事を言っているという事である。何十年も続いた福祉政策(Social Security が始まり)が財政の悪化を招いている事は間違いなく、極端なアイデアであっても原則的には間違っていないという事である。

オバマ大統領の再選も絡み、中間選挙から2012年の大統領選挙に掛けて、今週の The Economist の分析内容が正しいかどうか分かるだろう。それまでも関連記事が掲載されるはずなので、変遷を追ってみるつもりだ。


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