この本は、巨人軍のピッチャーであった堀内恒夫の(選手の時の)ドキュメンタリーである。
巨人軍が9連覇をした黄金時代は、小学校から中学校に掛けてなので、それなりの記憶があるのだが、元々映像が少ない事で記憶を強化出来る機会がなかった事で、イメージがあまり残っていない。どちらかと言うと後に書かれたもので理解している事が多い。長島、王という圧倒的な存在があるので、堀内もその他大勢と言う感じで記憶になっている。
しかし、堀内に関しては、奇妙に覚えている映像がある。それは、もう選手としても終わりに近い頃のキャンプでのものだった。和やかな投手の守備練習で、緩いゴロを処理して一塁に送球するウォーミングアップみたいな練習だったが、堀内は後ろに回したグローブで両足の間を抜けてくるゴロをひょいとキャッチして、無駄のない動きで送球をしていたのである。
私は、スポーツ選手の余興でやる技が大好きで、例えばタイガーのウエッジでのリフティングとか、イチローの背面キャッチ等をみると、子供の様に(子供以上に)うれしくなるたちである。
巨人のエースだったというイメージだけしかなかった堀内が、そんな芸当を難無くこなすのをみて、ひょっとすると人とてつもない野球センスがあるのではないかと思った事を覚えている。(私もキャッチボールの時にまねてみたが、取る事は簡単だが、送球へ移る動作がぎこちなくなる)
堀内が高校生の時から野球センスが抜群で、プロに入っていきなり13連勝等のとてつもない偉業をさりげなくやっている事で、彼の凄さが分かる。一方で紳士たれと言われた巨人軍、特に川上監督が堀内を理解出来なかった事も納得出来る。
9連覇の頃は、巨人軍が圧倒的に強いため、その他の球団は親の敵の様に闘志剥き出しで挑んでくるなかで長年エースとして実績を残した堀内の偉大さが、淡々と書かれている。
淡い記憶にある古き良き時代の野球を思い出しながら、読んでいる間中、幸せであった。
作家の海老沢泰久は、昨年亡くなっている。昔、何冊かは読んだ記憶があるのだが、近藤唯之の様な、くさい表現が無くて、それなりの好感を持っていた。スポーツドキュメンタリーは、本の中でも一番大好きなジャンルなのだが、良い作品が余りに少ない。沢木耕太郎のスポーツものはストイック過ぎるし、大好きな山際淳司もちょっと甘ったる過ぎると感じる時がある。
現在、日本でどんなスポーツライターが活躍しているのか疎いのだが、読んでいる間こんなに幸せにしてくれる作家がいる事を望むばかりだ。
巨人軍が9連覇をした黄金時代は、小学校から中学校に掛けてなので、それなりの記憶があるのだが、元々映像が少ない事で記憶を強化出来る機会がなかった事で、イメージがあまり残っていない。どちらかと言うと後に書かれたもので理解している事が多い。長島、王という圧倒的な存在があるので、堀内もその他大勢と言う感じで記憶になっている。
しかし、堀内に関しては、奇妙に覚えている映像がある。それは、もう選手としても終わりに近い頃のキャンプでのものだった。和やかな投手の守備練習で、緩いゴロを処理して一塁に送球するウォーミングアップみたいな練習だったが、堀内は後ろに回したグローブで両足の間を抜けてくるゴロをひょいとキャッチして、無駄のない動きで送球をしていたのである。
私は、スポーツ選手の余興でやる技が大好きで、例えばタイガーのウエッジでのリフティングとか、イチローの背面キャッチ等をみると、子供の様に(子供以上に)うれしくなるたちである。
巨人のエースだったというイメージだけしかなかった堀内が、そんな芸当を難無くこなすのをみて、ひょっとすると人とてつもない野球センスがあるのではないかと思った事を覚えている。(私もキャッチボールの時にまねてみたが、取る事は簡単だが、送球へ移る動作がぎこちなくなる)
堀内が高校生の時から野球センスが抜群で、プロに入っていきなり13連勝等のとてつもない偉業をさりげなくやっている事で、彼の凄さが分かる。一方で紳士たれと言われた巨人軍、特に川上監督が堀内を理解出来なかった事も納得出来る。
9連覇の頃は、巨人軍が圧倒的に強いため、その他の球団は親の敵の様に闘志剥き出しで挑んでくるなかで長年エースとして実績を残した堀内の偉大さが、淡々と書かれている。
淡い記憶にある古き良き時代の野球を思い出しながら、読んでいる間中、幸せであった。
作家の海老沢泰久は、昨年亡くなっている。昔、何冊かは読んだ記憶があるのだが、近藤唯之の様な、くさい表現が無くて、それなりの好感を持っていた。スポーツドキュメンタリーは、本の中でも一番大好きなジャンルなのだが、良い作品が余りに少ない。沢木耕太郎のスポーツものはストイック過ぎるし、大好きな山際淳司もちょっと甘ったる過ぎると感じる時がある。
現在、日本でどんなスポーツライターが活躍しているのか疎いのだが、読んでいる間こんなに幸せにしてくれる作家がいる事を望むばかりだ。