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YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

Chikirin ”日本の自動車産業が直視すべき現実” の軽薄さ

2017-01-26 10:15:18 | アメリカ自動車業界
Chikirin であるとされている伊賀泰代著作の「生産性」が面白く、この”日本の自動車産業が直視すべき現実”プログエントリーとのギャップが大きかったので、ちょっと一言。

トランプ大統領就任に絡んで煽り気味なエントリーなので、この辺が Chikirin の一番得意とするところではある。それにしても、アメリカ在住経験もあるのに今回の通商問題のようなアメリカ関連の政治的な話題になると、急に底が浅くなる傾向がある。

さて、トランプが Detroit 3 (旧 Big 3 なのだが、クライスラーがフィアットに飲み込まれたので(FCA)、Detroit 3 とも気軽に言えない)、特に新工場建設予定のあった Ford に対し、アメリカ生産を強要(?)したことから、アメリカ自動車業界の生産と販売のアンバランスに注目し、日系メーカーのあり方にチャチャを入れる構成のエントリーになっている。

先ずは、日本生産と国内販売であるが、それぞれ900万台、500万台であり400万台を輸出している。この自動車生産国では世界一の大きなとトランプのアメリカ生産(雇用流失防止)を結びつけての展開になっており、お粗末なチャチャで結んである。

アメリカ向け輸出は150万台程という情報がズッポリ抜けており、あたかも、日本の生産の半分が危機に晒されているようなニュワンスを醸し出している。

その上、日米貿易摩擦に端を発し、輸出自主規制から現地生産へ移行した歴史は完全無視。現在では、日系メーカーによるアメリカ生産台数は420万台を超おり、アメリカ生産の3分の一を日系メーカーが担っているのだ。(カナダ、メキシコを含めた北米では640万台程度)

日系メーカーは、トランプに臆することなく、アメリカの雇用に大きな貢献をしていると胸を張れば良いのである。

Chikirin がこの辺の事情を熟知した上での煽りなら、完全に脱帽である。

2016年7月 米国自動車生産台数

2016-08-22 13:04:12 | アメリカ自動車業界
いろいろなノイズがあるものの販売数が好調であるが、7月の生産数が昨年比で8%も落ちている。(YTDでは、未だ前年を僅かに上回っている)

販売数落ち込みの前兆とみるか、各自動車会社が新モデルへの切り替えの為に上手に生産を調整したとみるか、8月の販売数、生産数のデータが方向性を示唆してくれそうだ。

2016年7月 米国自動車販売

2016-08-11 11:41:50 | アメリカ自動車業界
史上最高だった昨年を、単月でも、YTDでも上回っているのに、不安材料ばかりが強調されている。

全体的には、値引きの上乗せ販売を維持しており収益が悪化しており、日系各社にとっては更に円高が影をとしている。

これ以上の値引き、金利の引き下げは難しいので、今後は景気に敏感な動きになるだろう。

来年モデルが登場する時期であるが、ハッとするような新型車にはお目にかかっていない。

2016年前半 米国自動車販売

2016-07-06 18:00:43 | アメリカ自動車業界
6月販売数も前年比プラスで6月末時点で史上最高であった昨年を上回るペースであり、このペースが続けば1,770万台に達しそうな勢いである。

乗用車から SUV へのシフトが続く中で、メーカーの商品構成の出来不出来で売り上げに差が出てきており、まだら模様が顕著になってきている。

デトロイト3では、FCA(旧クライスラー)が Jeep ブランドの強み活かして伸びている。フォードも、豊富な SUV の品揃えがある上にフルモデルチェンジしたフルサイズトラック F-150 の生産が軌道に乗ってシェアを拡大している。GM は、中小型 SUV の品揃え、モデルがパッとしていないので苦戦している。

日系は、ホンダ、ニッサンは乗用車の落ち込みが少ないので、SUV のプラス分がそのまま上乗せとなっている。(乗用車は、リースも含めて相当な値下げをしている可能性がある)一方で、元気のないのがトヨタ。RAV4, Highlander が横這いで、メインのカローラ、カムリが落ち込み前年比マイナスとなっている。

ドイツ車を筆頭とする高級ブランドの高価格帯上位機種が全般に落ち込んでいる。この傾向は、購買力の上方弾性が無くなってきている事を示唆していると思われる。5万ドル以上の新車を購買出来るレベルの人々が残り少なくなってきているのではないか。つまり、新車購入は出来るが、収入の伸びが無いので一段上に行けなくなっていると考えられる。

アメリカ経済もフラフラしているが、それ故に金利が低いままなので、販売数は昨年を上回るかもしれない。


乗用車から SUV への流れは、機能面(積載容量)から見ると大型乗用車から小型 SUV (又は、ハッチバック)へのシフトと考えられる。次に熱くなるカテゴリーは、SUV の元祖ともいえるステーションではないかと、ひそかに考えている。但し、この分野は過去30年、死屍累々ではある。

2016年5月 米国自動車販売

2016-06-11 17:04:33 | アメリカ自動車業界
5月前年比は6%と大幅減少しているが、未だ昨年を上回るペースは維持している。

デトロイト3では、ジープが好調なクライスラー(FCA)が落ちていないが、GM, Fordは停滞。日系OEMもの軒並みダウン。

落ち込みは、乗用車が著しい。カムリ、アルティマが大きく沈んでいる。モデル末期が近く積極的な値引き宣伝をしているアコードが客に健闘している。

もう何年も自動車ローン債権が問題になると言われているが、ローン残高の拡大、未払い率の上昇など、黄色信号が点滅している。2週間前に JP Morgan Chase の CEO が、自動車ローン、特にサブプライムローンはリスクが増しているコメントしていた。

しばらくは、パッとしない、ナーバスな数字が続きそうだ。

2015 アメリカ自動車販売数 (おまけ、2016年1月)

2016-02-21 17:07:42 | アメリカ自動車業界
ちょっと遅くなったのだが、毎年恒例なので。

1,766万台と前年比3.3%増、史上最大数である。売れに売れたりなのだが、何だか躍動感が無い。バカ売れ車種も新しいカテゴリー(SUVは人気が高いが)が登場したわけでもない。全体的に良かったとしか言いようがない。

2016年は、1,700万台越えではあるが.昨年を下回る予想となっている。1月も昨年より若干落ちている。その上、不安材料が多い。自動車ローンの残高は史上最高であるし、未払い(支払いが90日以上遅れている)も増えてきている。ガソリン代が下がって、大型車への移行する予測もあるが、ローン状況を踏まえると難しそうだ。伸びしろが無くなってきている。

余談だが、ガソリン価格低下で可処分所得が増えて消費がその分伸びるはずだが、統計に現れてこない。経済ニュースでも不思議がられているが、一体、どこに消えていっているのだろう。

1月で特筆されるのは、フルモデルチェンジとなったシビックが売れている事位。アコードの方が売れる状態が年々も続いたが、今年は逆転するかも。

2014 アメリカ自動車販売数

2015-01-10 10:48:55 | アメリカ自動車業界
16,531,070 昨年比6%増である。

景気循環型である成熟産業としては上出来である。去年の8%増と併せて考えると、非常に好調であったと言わざるを得ない。

それにしても、高揚感がない。

今年も原材料不足、キャパ不足の話がなかったので、自動車関連業界全体としては十分な生産能力があるのであろう。2006年のピークには戻っていないので、2008年から6年を経てやっと元に戻ったイメージ。

OEMではFCA(クライスラー)とNissanが好調である。両社とも魅力的なモデルを連発してリリースしている。特に、SUVでのラインナップが良いので、来年も頑張れそうだ。

ユーロ安なので、北米現地生産が日系に比べて遅れているヨーロッパ系が、怪我の功名で売り上げを伸ばすかも。去年も、BMW、ベンツ、アウディは伸びている。(VW全体としては微減)

個別車種ではこれと言って目立ったものがない。日系売れ筋では、カムリ、アコード、シビック、アルティマは堅調だし、CR-Vのバカ売れは継続中、ローグ、RAV4も順調。

ハイブリッド、電気自動車も技術的には一服しているし、それ以外に革新的なものは出てきそうにないし、新たなセグメントの誕生や、数年前にブレークした小型SUVのような事もなさそう。


まあ、2014年は微増の予想をしていたが外れであった。今年は横ばいの予想をしておこう。

自動車販売数と、GDP、株価、金利とかの関連性がどうなっているか知らないが、過去の知見が役に立たなくなって来ている。低金利はいろんな分野でノイズとしてランダムに影響を与えていると思うのだが、ノイズだけに予想が難しい。

よって、好況感がないままアメリカ経済は堅調に推移し、自動車販売への影響はニュートラルであろう。

と言っても、車ローン不良債権化がゆっくり進行しているので、もし、特にサブプライムへの貸付が細るリスクがある。

一方で、歴史的な原油暴落によるガソリン安は、販売数より売れ筋に大きな影響を与えるだろう。景気上昇の気配があると、アメリカン自動車マーケットは大型車へのシフトが必ず起こることもあるので、相乗効果で顕著な変化がありそうだ。


関連エントリー

2013 アメリカ自動車販売数 (12-30-2014)

2014 アメリカ上半期自動車販売台数

2014-07-09 14:15:34 | アメリカ自動車業界
すこぶる調子が良い。昨年比 4.3% 増の 8,168,888 通年で1600万台越えは確実そうだ。その上、6月販売数は 1,421,963 と年間換算で1700万台とブイブイだ。

これといった繁忙感も無く、供給不足といった話も聞かず、原材料コストも安定しており、平和に好調が続いている。第一四半期 GDP-2.9% とショッキングなニュースはあったが、株価は最高水準、失業率も低下している割には景況感が乏しいアメリカ経済と相似形だ。

唯一の心配事はローンの長期化位だろう。でも、金利が安いので上昇する新車価格のショックをやわらげるのに貢献している。信用調査が甘くなってきているとの指摘もあるが、ディフォルトより買い替え時期が後ろにズレル事を心配している。

GM はイグニッションキー問題で大量のリコールを出しているが、交換のためにディーラーに行くので訪問客が増え、セールスアップに繋がると呑気なコメントまで飛び出している。

OEM 別で見れば、最大の勝者はクライスラーだ。特に Jeep が昨年比45%増とバカ売れしている。Ford ちょっとくたびれて来ているが、GM は微増している。日系ではニッサン、スバルが好調だ。

そんな中で気になるのがホンダ、1% と僅かではあるが売り上げを落としている。売れてはいるもののシビック、アコードがパットしない。結唯一調子が良いのが CR-V のみ、Pilot も落ち込みが激しい。

爆発的に売れているタイプや車種も見当たらず、浮揚感が無い。ニヤニヤしながらボチボチでんなー、と言っている様な状況である。

ハイブリッド車販売の憂鬱

2014-06-11 15:07:46 | アメリカ自動車業界
ガソリン価格は、ガロン当り$4と高値安定しているのだがハイブリッド車の販売が冴えない。新車販売における割合は 3.5% 程度で、2010年からたったの 1% しか増えていない。ハイブリッド専用車ばかりではなく乗用車などにも設定があるのだが、今のところ大勢に影響が無い。(1ガロンは3.79リッター、アメリカ政府のガソリン、ディーゼル価格のデータはこちら

マーケットリーダーであるプリウスは、一時期のカリスマ的な輝きを失いモデルとしても古くなっており、今年の売り上げは減少気味だ。デビューから2年目の Ford C-Max も前年比38%減である。

理由としては、ガソリン価格が高値ながら安定しており慣れてしまった。同じ車格ではハイブリッドの車両価格が高く、ガソリン代節約分では見合わない。地球温暖化への配慮、グリーンイメージのファッション性が無くなってしまった、と言う所であろう。

さて、4月に購入した Ford C-Max だが、既に6,000マイルを突破。暖かくなってきたこともあり、燃費は少しづつ良くなってきた。ここまでの通算燃費は 35.04 M/G (14.89 Km/L)、公称の 43M/G には遠く及んでいない。これまでの給油毎での最高は 40.05 M/G である。下取りに出したアコード(L4 2.4L) の6万マイル通算実績が 27 M/G だったので悪くは無い。

フリーウェイを高速(80 Mile/hour)で運転する事が多いので、こんなものだろう。しかし、遠乗りするほど航続距離が短くなるというのは、なんとも変な感じである。そんな訳で、次の車はディーゼルと固く決心している。

アメリカ自家用車の未来はハイブリッドにあると思っているのだが、ガソリン価格がもの凄い速いペースで上がらない限り、アメリカの消費者はこなしてしまいそうな気がする。

ハイブリッドでさえこのザマなので、電気自動車に至っては当分お呼びでは無さそうだ。


関連エントリー

"2013 Ford C-Max SEL" (4-1-14)

$26,719 & 65months

2014-04-02 22:12:16 | アメリカ自動車業界
新車購入時の平均ローン額と支払い期間である。

新車価格が年々上がっており、金利が低い事もあり支払い期間が長くなっている。新車ローンの 30% 以上が72ヶ月より長くなっている。金利ゼロとはいえ、72ヶ月払いローンを組んだ事に恥ずかしさもあったのだ、アメリカでは平均的なのだ。(金利ゼロでなかったら、この時期にこの車をこのように買ったかどうか分からない)

では、金利がどのように効いてくるか、私のローン $28,000 72months を例に検証してみよう。

金利、毎月の支払い、金利負担分(72ヶ月払ったとして)

0.0% - $388.89 - $0
2.9% - $423.15 - $2,466.72
4.9% - $447.81 - $4,242.24

何十年も前にアイアコッカが、アメリカ人にとっての車の価格とは毎月の支払額であると喝破している。

金利負担の総額を考えるとバカバカしくなるのだが、毎月の支払いを見るとやっていけそうな雰囲気になる。新車販売の4割がリースという事もあり、平均的なアメリカ人にとっては、毎月の支払額がまさに車の値段だ。

2014年1月 米国自動車販売

2014-02-16 21:15:57 | アメリカ自動車業界
中西部、大西洋、そして南部までも記録的な寒波に襲われ、経済への影響が懸念されていたが、全体の販売数は昨年同月比で3%落ちただけであった。メーカー別では、FCA (Fiat Chrysler Automobiles フィアットによる買収が決定して新たしい社名となった) とニッサンが伸びているが、残りの各社は軒並みダウンである。

北米(含むカナダ、メキシコ)生産台数は天候の影響は感じられず、微増している。

2月も寒波が続いており、販売への影響は避けられそうもない。これらをノイズとみるか陰りと見るか、意見が分かれる所だ。

一方で、在庫が積み上がってきている。2月1日現在で88日分となっており、2009年以来の高い水準となっている。但し、1月はシーズン的に販売数が低い傾向にあるので、こちらも様子見といった所か。


さて、アメリカの株価の高値恐怖症も数パーセント程度のプルバックをさらっとこなし、先週はバウンスバックしている。昨年の高騰を傍観した身としては、10%以上の調整が入ったらインデックスファンドでも買ってみようと淡々と狙っていたのだが、またもやチャンスを逃したのかも。

まだまだ3月に大幅調整を予想したりする人もいるし、極端な例では1929年とのチャートの相似形を言う人もいる。

臆病な泡沫極小投資家は今年も様子見になりそうだ。


2013 アメリカ自動車販売数

2013-12-30 23:09:12 | アメリカ自動車業界
未だ12月の数字が上がってきていないのだが、2013年を振り返っておこう。(数字は、11月までのデータを基にした年間予想数字)

販売台数は、約 1,550 万台、前年比 8% の伸びだ。各社総じて伸びているが、ここ数年検討が目立っていた Hyundai (included Kia), VW がお疲れ気味だ。

乗用車では、トヨタのカムリが40万台を突破しナンバーワンだ。Ford Fusion は30万台に迫り、Focus も25万台と大健闘。SUV の Escape も30万台、Ford は魅力的な車を作れる様になってきた。その上、これらの三車種はプラットフォームを共用しているのでコストも競争力もあると思われる。

意外に検討しているのが GM Cruze 25万台を超えそうだ。最近頻繁に見掛ける。車格はコンパクトで、ディーゼルのオプションがある。GM の乗用車では、Malibu, Impala がそれぞれ20万台と手堅く売れている。

日本勢では、Honda Accord が37万台、Nissan Altima が32万台と、安定して高い販売数を維持している。

SUV では小型が人気だ。Ford Escape が30万台、GM Equinox が25万台も売れている。日本勢も、Honda CR-V が30万台、Toyota RAV4 が22万台、旧型の Nissan Rogue だって17万台だ。(Rogue は今秋フルモデルチェンジしている)

Hybrid では Toyota Prius が24万台だが、昨年から伸びていない。但し、Camry, Highlander, Lexus にも設定があるので微増になっているだろう。電気自動車は、GM Volt, Nissan Leaf 共に2万台をちょっと超えた程度。来年伸びなければ、店仕舞になる可能性もあるかも。今年はガソリン価格が安定しており、現在の水準に慣れてしまい、車体価格の高いハイブリッドへの関心が薄れているようだ。

トラック、特に大型に関しては、相変わらず Big 3 (最近は Detroit 3 と呼ばれているが)の独壇場だ。Toyota Tundra が11万台、Nissan Titan に至っては2万台にも達していない。それに比べて、Ford 75万台、GM 66万台、Chrysler だって36万台も販売している。唯一の救いは、Big 3 が小型、中型トラックセグメントから撤退しており、Toyota Tacoma が16万台と気を吐いている。Mazda もメキシコ工場で B-Truck でも生産すれば面白いかも。

総括すると、今年の自動車業界は調子が良い割に話題に乏しく、淡々と売上げが伸びたという感じだ。株価が高騰したが、何だかパッとしないアメリカ経済と似ている。

原材料のコストも安定しており、サプライヤーの値上げ要求や、メーカーへの値上げ交渉というキナ臭い話は皆無であった。

今年の販売数のレベルは、2009年の落ち込みは特異点であった事を考えると、その後、アメリカ景気がダラダラと回復しているのと歩調を合わせ本来の需要に回帰していると考えられる。景気回復の要因でもある低金利の寄与も忘れてはならない。低金利と新車価格の上昇で、ローン返済期間が延びており、現在の平均は65ヶ月になっている。その上、車ローンの全体残高も増加しており、昨年比で 15% アップとなっている。

金利に関しては、FED が QE の出口戦略を実行し始め、既に長期金利は上昇傾向にあるので、来年早々から、ローン金利の上昇もしくは自動車メーカーの利益減という形で影響が出るであろう。既に、Ford は来年の利益減予想を発表している。

よって、2014年の自動車販売台数は、横バイもしくは微増と予想している。

フォード、 フジクラを提訴

2013-08-25 21:26:09 | アメリカ自動車業界
ワイヤーハーネス談合で、フォードがフジクラに対し損害賠償を求める訴訟をしている。

この談合では、フジクラだけではなく、矢崎、住友、古河の日系サプライヤーが談合を認めており、合計 $670M (約670億円)の罰金を支払っている。

霜害賠償の対象になっているのは Fusion と兄弟車である Lincoln MKZ であり、上記の4社が談合を行なったと名指した上でフジクラを提訴している。

興味深いのは、まず、フジクラがこのビジネスを獲得してない事。今後、ビジネスを獲得したサプライヤー、又、談合に加わったその他のサプライヤーを提訴するかどうか。次に、独禁法で有罪が確定した他の製品群のサプライヤーに対しても裁判を起こすのか。3番目に、その他の自動車メーカーがフォードに追随するか、という事であろう。

アメリカの法律では、談合によって被った損害の3倍までを要求する事が出来るとの事だ。

ワイヤーハーネス市場はグローバルで4社が77%のシェアを持っており、フォードとしてもサプライヤーの生産コストが把握出来なくてイライラしている状況がある。賠償金が欲しいといった単純な理由だけでなく、示談になったとしてもコスト情報の入手やその他の部品サプライヤーへのコスト情報提供への脅し等、戦略的なものかもしれない。

談合の罪は許されないが、後処理を上手くしないと、特に日系サプライヤーはアメリカ自動車メーカーにケツの毛まで抜かれそうだ。