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YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

Washington DC :校長先生、自宅で殺害される

2010-04-22 13:04:21 | 教育
Washington DC で教育委員長として活躍する Michelle Rhee の事を以前に紹介したのだが、先週ショッキングな出来事があった。

Washington DC 学区内の公立ミドルスクール(日本の中学校に相当)の校長先生(Brian Betts)が、自宅で殺されるという事件だ。

テレビ報道の生徒の反応を見ても、人気のあった校長先生であった事が偲ばれる。この校長先生は Michelle Rhee が教育委員長になっからの校長先生に任命されており、42歳と若い事もあり、将来を嘱望されたリーダーだったとの事だ。

警察は、状況からは、顔見知りの犯行である可能性が高いと発表している。現時点で、これ以上の事実は明らかにされていない。

顔見知りの犯行ということだが、 Michelle Rhee が進めている Washington DC 公立学校の改革と無関係で、今後の活動に影を落とさない事を祈るのみである。

尚、この殺人事件のあった家は、2002年にも住人2人が殺される事件が起きている。犯人は逮捕されているとの事で、今回の事件とは無関係だと思われているが、いくら偶然でも壮絶である。

英語教育、日本語教育、在留外人の選挙権

2010-03-30 06:41:44 | 教育
人の褌で相撲を取るエントリーです。(謙虚な気持があるので、思わず「ですます」調)

Lilac さんのブログ、My Life in MIT Sloan 『じゃあ中高の英語教育をどう変えるべきか考えてみる』で、英語教育ばかりでなく、日本語教育に話が展開してきたので、このエントリーで紹介した『小学生のための会話練習ワーク』の著者の一人である小学校の教員をしている友人に紹介したところ、以下の様なメールをもらった。ちょっと長いのですが、さすが国語が専門、読み易いので、紹介します。


引用始め

日本の英語教育は僕らの学んだ頃とはだいぶ変わって、とりあえず日本人の先生は文法を教え、会話や発音はALT(Assistant of Language Teacher)が全てやってます。小学校ではもう10年ほど 前からALTが会話を中心に授業(英語で遊ぼう的なコミュニケーションプログラム)しているし、去年からは英語の教科書も出来たので必須科目になりました。とは言え、韓国のように教員の研修が年間300時間を超える制度は全く整ってないので、ALTと打ち合わせをして授業するのが精一杯です。

 で、最初の頃は問題が多かったよ。何と言っても日本の教員は「和訳」したがる。せっかく、日本語の上手なALTがわざと英語だけで45分間授業しようとしているのに、いちいち通訳しちゃう。「ペンソー」とか「フラゥワー」とか、聞きゃ分かるっつーのに、変なカタカナで書いちゃう。

 当然ながら、授業研修で「アホンダラ、ソンナコトデハ、ニホンノ、エイゴキヨウイクニ、ミライハナイノデス、アナタノ、ハナクソノヨウナジュギョウネ」とこき下ろされ、日本の小学校教師も頑張った。今ではとりあえず英語だけで45分間何とかしようと頑張ってる。

 で面白いのは、英語を始めたことによって、国語科教育で培わなければならないコミュニケーション能力不足が指摘され始めたんだな。つまり、英単語や英語の構文を教えても、それを使って会話したがらない。なぜか?そもそも、日本語でだって文で会話しないから。やっぱ、外国語と同様、母国語である日本語を大切にしなきゃ。ということで、全ての教科で言語活動を大切にしましょう。という教育の流れが起こって来たのがここ2年ほどかな。

 ところが、国語科教育は物語文や説明文の読解・言語事項の知識理解・作文技術の習得という分野には力を入れてるんだけど、話す聞く分野は教材も教師の能力もイマイチ。話し合い活動とか、プレゼンテーション、ディベートなど教材としては入っているけれど、それは、やはり国語科の時間でしか使えない。もっと、日常生活に即した場面での会話や、それを支える言葉の力を意図的に育てないと言語生活が貧しいものになってしまう。

 というわけで、日常生活でありそうな場面を想定したロールプレイング教材『小学生のための会話練習ワーク』の登場になったわけです。この本の目的は、もちろん子どもの会話練習のためだけれど、本当は教師の「はなし言葉」を聞き取る感覚を鋭くするのがねらいです。

 子どもの話に耳を傾け、その時々にきちんと適切な話し方指導のできる教師がもっと多ければ、話し下手の日本人が少なくなるはず。昔から言われていることだけど、ちゃんとした話の出来る、普通の会話の出来る子どもを育てることですよ。日本語でも英語でも同じだな。

 ともかく、日本の小学校における英語教育は始まったばかり、目標にしている韓国は10年先を走っています。いつから日本の教育はアジアのトップじゃなくなったんだろう。アメリカから見れば日本のアジアでの位置がもの凄く客観的に見えることでしょう。経済も教育も社会保障も軍事力もアジアのトップじゃなくなって悲しい限りです。

 まずは日本経済が立ち直らんと、教育や社会保障の予算が付かぬ。田舎はジジババばかりになる。米作りは廃れる。狩江のみかん農家だって、今やベトナムやフィリピンの労働者に頼ってるからね。本当は、狩江小は英語じゃなくタガログやベトナム語を勉強した方が、将来のためになるんだけど・・・。とりあえず英語は必要なんだろう。でも、高校まで行ってみかん農家を継ぐ子に必要な語学はやっぱり、タガログやベトナム語や中国語だと思うよ。

引用終わり


教育の現場では、英語教育の前に日本語教育、それも会話練習という問題があり、地方にいくと(うちの田舎だけではないと思う)過疎化の話から、タガログ語、ベトナム語という、想像も出来ない事態が進行している。

昔(20年くらい前)、宇和町(人口1万8千人)にフィリピンバーが2軒(?)あると聞いて、日本全国でどの位のフィリピン女性が働いているのかを考えて卒倒しそうになったけど、狩江のみかん農家の話を聞いて、同じ思いにかられました。一体、どのくらいのフィリピン人、ベトナム人が日本の農場で働いているのだろう。(追加情報をもらった:狩江のベトナム人やフィリピン人は基本的に農業研修生なので皆すばらしく礼儀正しく、地域にすっかりとけ込んでます。3年程度で次の人と入れ替えみたい。とにかく夏の暑さにめっぽう強いので、夏の段々畑の労働では最強です。地域のお年寄りも皆大喜び。冬の町内駅伝大会にも外国人選手枠で出場したりしてなじんでますよ。治安面の心配などみじんも感じません。)

小沢民主党が、在留外国人に選挙権をと言っているのは、このような膨大な票田を知っての事かもしれませんね。そういう意味で、小沢は鋭い。(都会育ちなのに、田舎をよく知っている)

英語に話を戻そう。

はっきり言おう。アメリカにいる日本人で英語が必要な人で、最終的に英語の出来ない人なんか見た事がない。その他の才能やスキルがあり、アメリカで活躍する人は実用レベルの英語になる。例えば、ゴルフの青木功、ノーベル賞の利根川進、指揮者の小沢征爾の英語を聞いたら、椅子から転げ落ちる。でも、この人達に英語のハンディなど一つもない。甘ったれている場合ではないのである。

英語がどうのこうのという前に、みかん畑で、フィリピン人やベトナム人を使って、みかんを収穫した方がよっぽど役に立つ。

人の褌で取り始めた相撲だが、これまでで一番と言って良い程熱くなった。

Michelle Rhee

2010-03-28 21:23:14 | 教育
上の娘が 4th Grade, 下の娘が Kindergarten (幼稚園年長)で近所の公立 Elementary School に通っているのだが、幸いな事に何の問題も無い。小学校レベルなので、成績がどうのこうのという時期でもなく、個人面談で担任の先生の対応や、行事等でその他の先生や校長先生とも話す事もあるが全般に好印象である。殆どの先生が、この学校での経験が長く、近所で悪い評判も聞いた事が無いので、今のところ安心している。

一方、全米で公立学校の荒廃が激しく、特に都市部では著しい。デトロイト市の公立校は、市制が破綻している事もあり、酷い事になっているらしい。

(うちの娘が通う学校区は、デトロイト市と同じ郡内にありながら、荒廃の問題は今のところないので、公立校の荒廃問題は、都市部特有の貧困問題と結びついていると考えている。都市の貧困問題は、教育、人種、犯罪など全ての問題の温床でもある。)

そんな中で、数年前まではデトロイトとワーストを競い合っていたワシントンDCの改善が著しい。ひとえに、数年前にワシントン市教育監(具体的にどのようなポジションか想像出来ないが、教育委員長みたいなものと理解しているが学区の権限が強いので権限も強いと思われる)に就任した Michelle Rhee の手腕によるものである。

日本では余り話題になってないようなので、日本語の関連記事 1日本語の関連記事 2を参考に貼付けておく。

ワシントンDCの問題が厳しいだけに、対策も劇薬風にはなるのであるが、自らの教員体験から導き出した方法論には迫力がある。

今、私がアメリカで最も尊敬する人の一人なのだが、その大きな根拠は、自分の子供二人もワシントンDCの公立学校に通わせている事にある。自分の信ずるやり方に嘘偽りが無いという現れだと思う。(子供が親の理想主義の犠牲になる可能性も否定出来ないが)

オバマが大統領に当選した時、娘二人をワシントンDCのどの学校に行かせるかが話題になった。結局、クリントン大統領の娘チェルシーも通ったワシントンDCの名門のプライベート(私立)に通っている。警護の問題等もあり、公立に通わせるのは難しいと思っていたが、オバマ自身も Michelle Rhee の事を以前から高く評価していたので、残念であった。(オバマ夫妻は両方とも、小さいときから名門プライベート出身という影響があるとも思う。)

韓国移民の子供で、オハイオ州トレドの公立学校出身、現在はシングルマザーという背景も凄みがある。荒廃した学校区の立て直しに毅然と挑戦する彼女に、本当に頭が下がる。

バイリンガル教育講演会 2方向イマージョン教育

2010-01-25 12:18:05 | 教育
Michigan Japanese Bilingual Education Foundation (MJBEF)を中心に開催された「バイリンガルー2方向イマージョン教育」の講演会に行って来ました。MJBEFは、今年9月の英語,日本語の2方向イマージョン教育を行う学校の開始を、既にミシガン州に申請しており、学校開設への支援を兼ねた講演会でした。

講師は、中島和子教授とサラ・コーヘン助教授の2講演同時進行の変則でした。妻は中島教授、私はコーヘン助教授と別れたのですが、コーヘン助教授は、実践経験は多いもののフランス語、スペイン語と英語の2方向イマージョン教育の講演だったので、早々と私も中島教授の方へ移動しました。

日本語と英語の2方向イマージョン教育とは、言語を教えるのではなく、通常の教科学習を英語と日本語でやるというものです。日本での例としては、静岡の加藤学園が成功しております。尚,加藤学園は日本で日本人の学校なので、日本語のレベルはある程度家庭、社会の中で学べるという前提があり、小学校低学年で英語比率が70%と高くし英語で教科を学べる様にして、徐々に50%とするそうです。小学校高学年以上では、学年レベルのバイリンガルになっているそうです。大学進学も日本と留学が半々との事でした。

アメリカ全土で、バイリンガル教育を行っている学校が約700あるそうですが、英語以外の母国語のメインテナンスが’中心で、2方向イマージョン教育を行っている所は少ないそうです。又,2方向イマージョン教育を行っていてもほとんどがスペイン語で、日本語との2方向イマージョン教育は、たったの3校(フロリダ、イリノイ、バージニア)だそうです。

現在申請中の学校は、ミシガンなので、上記の加藤学園とは違い、アメリカ人、日本人混成のクラスとなるそうです。政府や州が予算をつけてまで、バイリンガルアメリカ人も養成しようとする方針があるとの事です。日本語と英語の教科学習ばかりでなく、日本語母国語生徒と英語母国語生徒のコミュニケーションで、効果が高まる期待もあるようです。キンダーガーデンからのスタートとなるので、うちの娘達は残念ながら、今年出来ても入学の可能性は有りません。(下の娘にキンダーをダブらせる手はありますが)

日本語の両親でも、アメリカで生まれ育つと母国語(継承語)が穴だらけになり、英語すらも中途半端になる可能性が高いそうです。又、母国語(継承語)を上手く使えない事で、親子のコミュニケーションが無くなったり、情緒不安定などの問題もあるそうです。4年生になる上の娘は、英語は問題ない感じなのですが、私自身がネイティブではないので不安は常にあります。日本語も補習校で週一回なので、日本の同学年レベルには追いついていないので、こちらも心配です。

尚,アメリカで母国語(継承語)を実用的なレベルにするには、(2方向イマージョン教育の学校にでも入れない限り)親の覚悟を見せる事で子供の自覚を促すしかないそうです。

長くいれば、現地校に放り込めば、子供は何とか英語が喋れるようになると漠然と思っておりましたが、小学校中学年以上になると意味のあるコミュニケーションがなければ、進歩は遅いそうです。2言語間の社会的地位で学習意欲が違ったり、幼児早期教育で英語が一概に上手くなるわけでも無いといった、研究成果とその研究をもとにバイリンガル教育の方法を生み出す事に非常に感心しました。

大人のバイリンガル教育(私の事)についても質問したかったのですが、時間切れで出来ませんでした。