<J1:鹿島1-0柏>◇第16節◇20日◇日立柏
序盤は風上の鹿島が主導権を握った。前線のFWマルキーニョスを起点に攻め、MF野沢のプレスキックからもゴールに迫った。しかし、GK南を中心とした柏のディフェンスに跳ね返された。
一方の柏はFWフランサの巧みなパスワークを中心に速攻を仕掛け、左サイドからも鹿島を切り崩した。しかし、0-0で迎えた前半39分に攻撃の柱となるフランサが2枚目のイエローカードを受け退場となった。
鹿島は10人となった柏相手に攻め続ける。なかなかゴールを奪えなかったが、終了間際にマルキーニョスが決勝ゴールを挙げ、1-0で劇的な勝利を収めた。
[2007年6月20日21時2分]
途中出場鹿島佐々木が決勝アシスト/J1
<J1:鹿島1-0柏>◇第16節◇20日◇日立柏
途中出場の鹿島FW佐々木が約7分間の出場時間で勝利を呼び込んだ。後半42分から投入。最初のプレーで切れ味鋭いドリブルで流れに乗った。ロスタイム4分の終了間際にFW田代の後方へのヘッドに反応し、右サイドの裏のスペースに走り抜けると、冷静にラストパスをゴール前に送って決勝弾を演出した。
「(5月3日)東京戦の時も同じような状況で自分でシュートを打ってDFに当たってしまった。今日はチームの勝ちが大事だった」と、アシストに納得していた。
[2007年6月20日22時50分]
鹿島岩政ラスト10秒で奇跡起こした/J1
前半、ボールを追う鹿島DF岩政(左)と柏FWフランサ(撮影・神戸崇利)
<J1:鹿島1-0柏>◇第16節◇20日◇日立柏
鹿島DF岩政がラスト10秒の奇跡を起こした。0-0でロスタイム4分も残りわずか。自陣から前線へ正確なフィードをFW田代の頭に合わせる。右サイドに走り込んだのは「練習が物足りないと感じたら居残りでやらないと追いつけないぞ」とカツを入れた、開幕当初は不遇を味わっていたFW佐々木。折り返しをFWマルキーニョスが押し込んで劇的な勝利が生まれた。
岩政はDF新記録の5試合連続得点は逃したが、晴れ晴れとした表情。「自分がゴールを決めるより鳥肌が立つ試合」。8戦負けなしで3位に浮上し、首位G大阪とも勝ち点8差。試合後のロッカー室ではオリベイラ監督がボードに順位を殴り書き「信じろ、夢をあきらめるな」と通訳に日本語で書かせた。10冠へ記録よりも価値のある1勝だった。
[2007年6月21日9時4分 紙面から]
岩政、5試合連続ゴール逃すも…鹿島がロスタイム弾で劇的勝利
J1第16節(20日、柏0-1鹿島、柏サッカー場)鹿島DF岩政が劇的勝利を演出した。0-0で迎えた後半ロスタイム、自陣からのロングパスがFW田代→FW佐々木とつながり、最後はFWマルキーニョスが右足でゴール。今季リーグ・ホーム戦無失点の柏から決勝点を奪った。「きょうは自分のゴールよりうれしい得点の形だったし、鳥肌が立つような試合だった」と笑顔の岩政。リーグ新記録となるDFとしての5試合連続ゴールは逃したが本職の守備でも今季4度目の完封に貢献。チームも3位に浮上した。
マルキーニョス残り1秒で決勝弾
<柏・鹿島>試合終了間際、鹿島・マルキーニョス(左)にゴールを決められ、ぼう然とボールの行方を見つめる柏GK・南(中央)と蔵川
【鹿島1―0柏】鹿島は残り1秒での劇的なゴールで、約2カ月ぶりの連勝を飾った。後半42分から途中出場し、「ファーストタッチから良かった」というFW佐々木がドリブルで右サイドを突破。折り返しをゴール前でFWマルキーニョスが合わせた。ベンチ前で歓喜の輪ができると、直後にタイムアップの笛。DF新記録の5試合連続ゴールを逸した岩政も「自分の得点より鳥肌が立った」と興奮を隠せなかった。アジア杯の日本代表に1人も選ばれず、93年のJ発足以来、国際公式大会で初めて代表ゼロとなったが、5月以降ナビスコ杯を含めて7勝3分けと10戦負けなし。順位も4位から3位に浮上し、一気に優勝戦線に食い込んできた。
[ 2007年06月21日付 紙面記事 ]
マルキーニョス、ロスタイム弾!鹿島3位浮上…J1第16節
後半44分、鹿島・佐々木(左端)からのクロスを合わせ決勝ゴールを決めたマルキーニョス(中は柏・蔵川)
◆J1第16節 柏0―1鹿島(20日・日立柏) ベンチ前はお祭り騒ぎだった。後半ロスタイム、ラストワンプレーでFWマルキーニョスの決勝弾が決まると、興奮したオリヴェイラ監督はベンチを飛び出して、サポーター席に走り出そうとした。ベンチ前には控え選手も入り乱れ、歓喜の輪が幾重にも広がる。3位浮上。鹿島が名門復活の兆しをみせた。
チームを救ったのはFW佐々木だ。後半42分、最後の切り札として登場すると、最後のワンプレーで右サイドをドリブル突破。DFを振り切り、ゴール前フリーのマルキーニョスに正確なボールで、おぜん立てした。佐々木の得点と言っても過言ではないアシストに「何とかしたかった」と笑みがこぼれた。
3冠を達成した00年、若手だったMF本山、小笠原、中田が台頭し、チームは常勝時代を築き上げた。佐々木はサテライトリーグで今季6試合7得点。若手のFW興梠も結果を残し始めている。「練習試合でも、練習でも得点すること。もっと出番を増やしたい」と佐々木。名門復活の日は近い。
(2007年6月21日06時03分 スポーツ報知)
【J1:第16節】柏 vs 鹿島:オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島)記者会見コメント [ J's GOAL ]
6月20日(水) 2007 J1リーグ戦 第16節
柏 0 - 1 鹿島 (19:04/柏/10,273人)
得点者:'89 マルキーニョス(鹿島)
●オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島):
「質疑応答からお願いしたいと思います」
Q:前半から数的有利になったにも関わらず、仕掛けが遅かったように思いますが?
「選手たちには、駆け引き、あるいは流れの中でいろんな部分があるということを説明してきました。
ここ日立台でやるとき、レイソルは今季4戦全勝、10得点無失点という結果を残している。サポーターの応援を強みにしてくる。そういう流れの中で、相手のサポーターに押され、そのプレッシャーから慌てたプレー、質の悪いプレーや、急いでしまって精度に欠けたプレーをしないように心がけよう、自分たちのプレーをしっかりとやろうと、今週このゲームに向けたトレーニングをする中で選手たちに話してきました。また相手が10人になったからといって、そこで慌てて前へ前へと急いでしまったら、ゲームプランが崩れてしまうから、落ち着いてやっていこう、そういう想定もあるんだということも話していました。予想されたことが起きてしまいましたが、そこでうまく選手たちがその状況を理解し、落ち着いて消化できたんじゃないかと思います。
ハーフタイムに、戦術的なポジショニングを変えました。ひとつは田代選手をワントップにして、両センターバックを引き付ける、もうひとつは、マルキーニョス選手をサイドに展開させ、逆サイドに本山選手あるいは野沢選手を配置して、ワイドに開かせる。そうすることによって、(柏の)両サイドバックが上がれない状態をつくり出す。同時に中盤の配置を変えることによって、中盤を支配することを、狙いとして選手たちに伝えました。
一人少ない相手は徐々に運動量が落ちていくだろうから、こちらが相手を押し込んでいく時間帯が増えるだろうというのが私の予想でした。そこで増田選手に代えて興梠選手を送り出し、野沢選手のポジションを一つ下げて、興梠選手にサイドを突破させる、あるいはサイドで相手を引きつけて、2対1、3対1の数的有利の状況を作るということを求めました。その状況がだんだん増えていくと、相手が自陣(鹿島陣内)にボールを運ぶ回数も減っていくだろうと。そうすれば、セットプレーなり流れの中からの得点チャンスにつながっていくから、慌てずにやろうという話をしました。
だんだん相手がハーフラインを越える回数が少なくなってきましたし、相手が11番(阿部吉)を入れましたが、彼のスピードを生かすだけで、裏のボールをケアすれば何も問題ないだろうと。最後、相手はもう(前に)来ないだろうということで、佐々木選手を入れて勝負に出ました。
やはりその時間帯で先制点が取れてなかったわけですから、攻撃的な選手を投入していって、チャンスをうかがうという形でやっていきたいと。最後はいい形で点を取って勝利することができました。
監督として、勝ったときの話をするのは簡単なことです。使える手を全て使って、結果が出ればそれは采配が功を奏したという(プレスの)皆さんの解釈になると思いますけど、今日、もしこれだけ手を尽くして勝利することができなかったら、逆に「采配が的中しなかった」と言われてしまうでしょう。皆さんと今後お付き合いする中でいい関係を築き上げていきたいので、単純に勝ったときだけ褒めてもらうんじゃなくて、負けた時もそれだけのことをやったんだということを、詳細にわたって理解してもらえればと思います。
選手たちにも話をしていたのですが、やはりサッカーは最後まであきらめずに戦うべきスポーツであると。2節前、大分戦で勝利を手中にしかけていたところで、残り10秒で失点してしまって引き分けました。今回は残り10秒で勝利を手にしました。サッカーは最後まで集中を切らさずにプレーすることがいかに大切かということを教わりました。
大分戦では勝利を確実にするためにいろいろな手を尽したにもかかわらず、引き分けてしまった。今日は勝利を手にするためにいろいろな手を尽くし、勝利することができた。両極端の状況です。サッカーはこれほど面白いスポーツであり、選手たちは、たった10秒の中にいろいろな意味の教訓があることを学んだと思います」
以上
【J1:第16節】柏 vs 鹿島:試合終了後の各選手コメント [ J's GOAL ]
●本山 雅志選手(鹿島):
「自分が交代してから流れがよくなった。後半は、相手が1人抜けて中盤が間延びしてしまった。攻める時間が長かったが、課題が残った。
誕生日だったけど、シュートは1本しか打てなかった。入ればいいなあと思ったけど。サポーターの声援は、うれしく、照れくさかった。
最後は勝点1かと思っていたが、3を取れたことは大きい。うれしいです」
●マルキーニョス選手(鹿島):
「最高のゲームとなった。この流れを崩さないように、次節ホームでも勝ちたい。レイソルがこのスタジアムで強いことは知っていたが、選手皆が集中して、勝つことができた。相手が1人減ってから、いくつかチャンスがあったのに決められなかったことが悔しい。でも最後に決めることができて本当に良かった」
●岩政 大樹選手(鹿島):
「こういう勝ち方はチームの流れが良くないとできないこと。(中断まで)残り2試合ホームとなるので、チームはさらに団結できる。うれしいことです。
相手が1人減り、引かれて攻めにくい部分があった。皆が(田代)有三を生かしたプレーをさせたがっていた。
ダニーロが入ってからは、自分は意識的に下がってプレーした。全体に守備は良かった。セットプレーから1本、得点のチャンスがあったが、外したときは『今日は0対0か』と思った。マルキーニョスのゴールは、自分がゴールするより、鳥肌が立つくらいうれしかった」
【J1:第16節 柏 vs 鹿島 レポート】最後の最後に集中が途切れた柏。スコアレスドロー寸前、鹿島がドラマチックな勝利を掴む [ J's GOAL ]
6月20日(水) 2007 J1リーグ戦 第16節
柏 0 - 1 鹿島 (19:04/柏/10,273人)
得点者:'89 マルキーニョス(鹿島)
サッカーはこの上なく面白く、エキサイティングで、時に残酷だ。この日の日立台には、そんなサッカーの魅力と怖さが詰まっていた。
立ち上がりは鹿島が優位に試合を進めた。6分と9分、いずれも鹿島がセットプレーのチャンスを得る。キッカーは野沢。アウェイ側ゴール裏を赤く染めた鹿島サポーターは、岩政コールでJリーグ新記録(DF選手として5試合連続得点)への期待を煽る。
しかし4試合連続ゴール中の岩政には、柏守備陣の中心である古賀がぴたりとマークに付き、容易にシュートを打たせない。
次第に、フランサにボールが入るようになった柏がペースを握り始める。こうなると「フランサ劇場」の幕開けだ。19分、フランサが自陣に流れたボールをクリアした場面では、ルーレットで相手選手との間に体を入れてボールをキープ。菅沼へパスを通し、自らも上がって中央でセンタリングを受け、ループ気味のシュート。これはGK曽ヶ端がキャッチしたが、スタンドは大いに沸いた。
21分の鈴木へのワンタッチパス、26分の大谷への浮き球パス。いずれも、驚異的な視野の広さを生かしたトリッキーなプレーで「魔法使い」ぶりを存分に発揮する。
だが、ショータイムは39分にあっけなく幕を下ろす。フランサが2枚目のイエローカードで退場してしまうのだ。以後50分以上にわたって、柏は10人での戦いを余儀なくされる。
後半に入ると鹿島が数的有利を生かし、圧倒的にゲームを支配する。セットプレーの機会も幾度となく生み出し、柏ゴールを脅かす。しかし柏守備陣は集中を保ち続ける。特に古賀のディフェンスは特筆もので、ハイボールにも裏へのパスにもドリブルにも、粘り強くかつ的確に対応し、ゴールを死守する。
オズワルド オリヴェイラ監督は、興梠、ダニーロと攻撃的な選手をピッチに送り込み、ゴールをこじ開けに行く。83分にはダニーロのクロスにマルキーニョスがヘッドで合わせ、右ポストを直撃。決定的な場面だったが、柏が九死に一生を得る。
そして87分、オリヴェイラ監督は最後のカードとして、スピードに優れる佐々木を投入。89分にはコーナーキックから、この日初めて岩政がヘディングシュートを放つも、ファーサイドのマルキーニョスのハンドでチャンスをつぶしてしまう。
4分間のロスタイム。石崎監督は満を持してドゥンビアを送り込む。数的不利の中、FWにはファーストディフェンダーとしての役割も求められるが、プレスに行けないドゥンビアは諸刃の剣。慎重に投入のタイミングを計っていた石崎監督は、ドゥンビアのワンプレーに賭けたのだ。
しかし石崎監督の賭けは不発に終わった。長いロスタイムが終わろうかというタイミング、曽ヶ端のボールを受けた岩政が前を見据える。ラストプレー、前線の田代へロングフィード。
その時だった。それまで抜群の集中を保っていた柏守備陣に一瞬の綻びが生じた。
田代の近くに位置していた大谷と小林祐三が見合ってしまう。その一瞬の迷いが田代にフリーでのヘディングを許す。前線へすらすと、佐々木がそのボールをかっさらって猛然とドリブル、そのスピードに大谷は追いつけず、フリーでセンタリング。中央のマルキーニョスは、冷静に合わせるだけだった。
直後に長いホイッスルが鳴り響き、次いで鹿島サポーターの歓喜の叫びが日立台に溢れた。
オリヴェイラ監督の言葉を借りれば、「残り10秒」で勝点2を逃した大分戦の教訓を生かし、最後の最後まで諦めず集中した鹿島が、価値ある勝利を掴んだ。
逆に、「たった10秒の中にさまざまな教訓がある」ことを思い知った柏。石崎レイソルの若き戦士たちが、この苦い敗戦を真の教訓として生かすことができるか。それは、今後の彼らの戦いにかかっている。
以上
2007.06.21 Reported by 横井孝佳( 文化工房 )
劇的勝利もそれ以前に決定機を外しまくった故に他ならない。
確かに現場は選手との近さと密集によって熱狂の渦と化した。
至福の時が最後の最後にやってきたのである。
マルキーニョスのヘディング然り野沢のシュート然り、入って当然のシュートがことごとく嫌われたことはこのスタジアムに潜む魔力なのかも知れない。
我等が打ち砕くまで今季無失点・無敗を誇っていたことも頷ける。
が、それを凌駕する岩政のロングパス・田代の高さ・佐々木の突破とクロス・マルキーニョスのポジショニングであった。
我等は一つの勝利を積み重ねただけでなく、神話を造っているのである。
不敗神話を壊すという神話を。