<J1:鹿島5-1広島>◇第15節◇16日◇カシマ
職人芸だった。後半27分。3戦連発の供給源だったMF野沢の後方からのFKに、鹿島DF岩政大樹(25)がゴール前に突っ込む。頭を振ると、ボールはワンバウンドでゴール左に吸い込まれた。日本人DF史上初の4試合連続ゴールが生まれた瞬間だった。
「僕は闘莉王みたいに流れの中で点は取れない。チームのために後ろに残る。取るならセットプレーで」。試合前に予想していた通りの必殺のパターンで4連発。「今まで(の自分は)はあと1歩という選手なのにびっくり」と、おどけた。
今があるのは祖父母のおかげという。小学生のころは、祖父の義視さんに片道40分かけて車で練習場に連れていってもらった。練習後にのどを潤してくれたのはミカン農園で働く祖母の八重子さんがつくるミカンジュースだった。教師を務める両親に代わって2人の協力がなければサッカーを続けられなかった。
この日がアジア杯登録メンバーの提出締め切り。現代表発足当初には代表候補を意味するパスポートの提出も求められた。だが、いまだ声はかからない。「オシムさんは僕は好みじゃないと思う。足元もビルドアップもうまくない」。あきらめたわけではない。「結果を出し続けていたら呼んでくれる」。だから今年は公式戦10得点、1試合平均1失点以下と具体的な数値を目標にしている。
「おじいちゃん、おばあちゃんはオフサイドも分かるぐらいサッカーに詳しくなった。でもよく『代表に入ってね』と言われるんですよ」。ゴールを奪い続けることができるのは、駆り立てられる思いがあるからだ。【広重竜太郎】[2007年6月17日9時35分 紙面から]
4試合連続得点の鹿島DF岩政「10点くらいは取りたい」
第15節第1日(16日、カシマ)髪を短く刈った頭で、ぴたりとFKに合わせた。後半27分、鹿島のDF岩政が4試合連続となるゴールでネットを揺らした。「(点が)取れるときは取れるもの。(アシストした)タク(野沢)のボールも良かった」。試合の流れをぐっと引き寄せる得点を誇らしげに振り返った。
前半からゴールの気配は漂っていた。立て続けに2度、CKに完ぺきのタイミングで飛び込んだ。これらの好機は惜しくも逃したが、187センチ、85キロの大きな体には競り合いへの自信がみなぎっていた。
高い決定力には目を見張るものがある。「今季は目に見える結果を出したい。カップ戦と合わせて10点くらいは取りたいし、多ければ多いほうがいい」。25歳は頼もしい言葉で締めくくった。
鹿島・岩政がDFリーグ最多4戦連発!得意の頭で仕事きっちり
4戦連続ゴールで雄叫びを上げる鹿島DF岩政に、先制点の本山(右)が駆け寄る(撮影・小倉元司)
J1第15節第1日(16日、鹿島5-1広島、カシマスタジアム)鹿島DF岩政が元磐田アジウソンに並ぶ、DFとしてリーグ最多の4戦連発だ。2-1の後半27分、MF野沢のFKに得意の頭で合わせると、守っても1失点に抑え、5-1大勝に貢献。ゴール後には2度もDF大岩と間違ってアナウンスされたが、その名はJの歴史にしっかり刻まれた。
「自分がこういう試合で点が取れる選手なのかというのもあったし、いつもある程度までいくけどそこまでの選手だったから」
05年には川崎DF箕輪に競り負ける形で代表入りを逃した。アジア杯でも、登録に必要なパスポートを提出しているが、いまだに声はかからない。「足もとがうまくないので、自分はオシム好みの選手じゃない。結果を出し続けるしかない」。
サッカーを始めた小3からDF一筋だが、学生時代から誇った決定力をあらためて立証。チームも暫定3位に浮上した。25歳の頼れるDFは、誇らしげに胸を張った。(千葉友寛)
◆リーグ通算200試合出場でチームのリーグ戦ホーム通算500得点を決めた鹿島MF本山
「自分は記録とあまり縁がないと思っていたのでびっくりした。得点より勝てたことがうれしい」
★ラモス監督が神戸MF三浦にラブコール
J2東京Vのラモス監督が友人である鹿島のオリヴェイラ監督に招待されて鹿島-広島戦を観戦。クラブと監督を批判して謹慎処分を受けた神戸MF三浦について「クラブが必要としていないなら無償で出せばいいじゃん。引退? 海外移籍? アホか」とまくし立て、「お金はないけど欲しい」とラブコールを送った。
DFタイ!岩政4戦連続ゴール
<鹿島・広島>後半27分、ゴールを決めた岩政(左)
【鹿島5-1広島】鹿島のDF岩政が、Jタイ記録となるDFの4試合連続ゴールを決めた。2―1の後半27分、MF野沢のFKから得意の頭で決めた。「(記録は)意識した。それまでもチャンスがあって、もう決められないかと思ったけど、最後に決められて良かった」と98年のアジウソン(磐田)以来、史上2人目の記録を喜んだ。
今年でプロ4年目。2年目で定位置を確保し、毎年ハイペースで得点を記録。それでも代表とは無縁。それだけに今年は結果を残すことにこだわった。「僕はオシムさん好みの選手ではない。だから、目に見える結果でアピールし続けるしかない」。次節は新記録がかかる柏戦。「タイ記録で十分。僕はDFだから失点をなくしたい」。目標の代表入りに向け、ひたすらチームでアピールを続ける。[ 2007年06月17日付 紙面記事 ]
鹿島・岩政JタイDF4戦連発…J1第15節
◆J1第15節 鹿島5―1広島(16日・鹿島) 鹿島DF岩政大樹(25)が広島戦で4試合連続得点となるゴールを決め、98年に磐田DFアジウソン(現磐田監督)が記録したDF連続試合得点のリーグ記録に並んだ。
あと一歩の男が大記録に並んだ。「自分はこういう場面で決められない人間だと思っていた。ビックリですよ」岩政が後半27分、野沢のFKを頭で合わせ、4試合連続得点。DFアジウソンが98年に記録したDFとしてのリーグ連続得点記録に並び、思わずガッツポーズを繰り出した。
いつもあと一歩。岩国高(山口)時代の98年には、全国高校サッカー選手権の県大会決勝で敗退。U―22日本代表入りしたカタール国際大会(03年)では準優勝、04年アテネ五輪も招集されなかった。鹿島に入団した04年からは、タイトルをひとつも獲得できていない。
「今回はいつも以上に記録を意識しました。自分がこういうときに、できる人間かどうかって。楽しみました」。新潟戦(5月19日)から3試合連続得点で迎えた広島戦で記録弾。小学校時代からDFながら「いつもチーム内得点王だった」背番号3は胸を張った。
今後は、初の日本代表入りも期待されるが、「オシムさん好みじゃないんで。足元…うまくないし。(オシム監督の)次もチャンスはある」。7試合負けなしの鹿島に岩政あり。チームにとっても、岩政にとっても大きな一歩となった。(2007年6月17日06時03分 スポーツ報知)
今季最多の5失点
●…広島は鹿島に今季最多の5失点を喫し、今季初の3連勝を逃した。前半15分、MF本山に抜け出されて先制点を許した。同33分、DF森崎和のパスをFW平繁が流し、さらにFW佐藤が右へつないで最後はMF柏木が決めて追い付いた。後半5分、FWマルキーニョスのシュートがMFに当たる不運で再びリードされると、同27分にはFKからDF岩政が4試合連続の得点。同40分にはFW田代、ロスタイムにはMF興梠にもゴールを奪われて万事休した。
▽後半、攻守後手に回る
後半のロスタイム、鹿島のMF興梠が、誰もいない広島のゴールへ、ゆっくりとボールをけり込んだ。J2降格が決まった2002年11月30日の札幌戦以来の5失点目だった。“がっくり”感はない。誰もが、あぜんと、その光景を見守るしかなかった。
前半は勢いがあった。MF青山がボールを散らして大きく展開、MF森崎浩は積極的にミドルシュートを放った。2トップの好判断からMF柏木がゴール。「いい距離感でプレーできた」と、柏木は振り返った。
ところが、15分間のハーフタイムを挟んで後半は一変した。運動量ががくっと落ちた。「一歩、二歩が遅れた。修正できないまま45分間が過ぎた」とDF森崎和。DF盛田は「後ろから追いかける守りになった。誰がどこをマークするのか、はっきりしなかった」。漫然とした守りは次々と破られた。攻撃では「パスの出しどころがなくなった」と森崎浩が首をひねった。
1週間で3試合をこなす日程の初戦でつまずいた。淡々と試合を振り返るイレブンの姿は、敗戦のショックを物語っていた。(広重久美子)
鹿島が後半猛攻 鹿島怒とうの5G 鹿島5-1広島
2007/06/17(日) 本紙朝刊 スポーツ A版 13頁
司令塔野沢 タクトの先で次々ゴール
【評】鹿島が後半の猛攻で快勝した。1-1の後半5分にマルキーニョスがドリブルから右足で勝ち越し点。同27分に岩政の4試合連続ゴールで突き放すと、さらにその後も2点を加えた。広島は後半に運動量が落ち、防戦一方となった。
鹿島を勝利に導いたのは紛れもなく司令塔・野沢拓也だった。自らの得点こそなかったが、3アシスト、4得点に絡む活躍を見せた。背番号8の足元から繰り出されるパスはまるでオーケストラの指揮者のようだ。そのタクトを振った先から次々とゴールが生まれた。
「練習でやってることを、試合で何度もつくれたのがよかった」と試合後、涼しげに振り返ったが、そのすべてが味方を思いやる美しいパスだった。前半15 分に本山からのパスをダイレクトでさばき、先制点をアシストすると、後半27分はFKからゴール前へ走りこんだ岩政の頭にピンポイントで合わせた。同40 分には田代のゴールの起点となり、終了間際には相手パスをカットし、DF裏へ飛び出した興梠へ絶妙なスルーパスを出し、5点目を演出した。
先制点を奪った本山が「いいボールを出してくれて、あとは触るだけだった」と話せば、興梠も「タクさんがいいボール出してくれたので」と振り返った得点シーン。野沢とのコンビで4戦連続ゴールを奪った岩政も「タクさまさま。僕は触るだけだったんで、彼を褒めてください」と絶賛した。
野沢の復帰とともに停滞していた中盤に安定感が出てきた鹿島。復帰直後は従来の感覚を取り戻すのに苦労したと話していたが、試合を重ねるごとに輝きは増し続けている。それでも、「(調子は)まだまだ。自分でも決められるチャンスあった」と反省し、「連戦が続くので、しっかり全員でサッカーをやって、6月も負けなしでいきたい」とすぐに表情を引き締めた。タクトの先に見えているのは勝利、そして10冠しかない。
鹿島、リーグ500得点 本山が決めた今季初ゴール
○…J1鹿島のリーグ戦ホーム通算500得点のメモリアルゴールを決めたのは、広島戦でリーグ通算200試合出場を果たした本山雅志(27)。「こういうのは、あまり縁がないんですけどね」と話しながらも、リーグ戦初得点も重なり満足そうな表情を見せた。
「ボールは回っていたが、裏に抜ける動きが少なかった」と、前半15分に野沢とのワンツーからDFラインの裏へ飛び出し先制点。その後は、中盤のバランスが乱れたこともあって、守備に奔走する場面もあったが、最後まで献身的なプレーでチームを引っ張った。「勝たなきゃいけない試合だったので、その気持ちが出ていた」と最後まで笑顔が絶えなかった。
岩政一色の紙面である。
確かにDF登録で4戦連発は素晴らしい記録であろう。
たたえるべき事実である。
が、ジーコのハットトリックから始まったホーム得点が500点のメモリアルに達成したことの方が重要であると言いたい。
聖地に響き渡る祝砲を二人のクラッキ(天才)が奏でた事実を大きく報道すべきであった。
茨城新聞だけは鹿島の王様野沢の復活を取り上げておるがそこではないのである。
「本山と野沢を同時に機能させる」
この命題こそここ数年の鹿島アントラーズに課せられた大いなる課題なのである。
2005年トニーニョ・セレーゾは野沢をFWに上げ華麗な攻撃陣で魅了したが、青木が欠けると失速した。
2006年アウトゥオリは本山をトップ下に固定してから快進撃を見せたが、時既に遅かった。
そして今季、負傷から癒えた野沢と開幕からキレを持続している本山のハーモニーはホーム500得点を産み出したのである。
負傷者は多く予断を許さない状況である。
が、観るに値するチームが完成しつつある。
共に戦おうではないか、クラッキ二人を擁した戦う集団として。