大津初戦PK敗退/高校サッカー
試合後、大津DF植田主将(中央右)は、涙を流すGK小川(同左)の肩を抱いてねぎらった
<高校サッカー:旭川実0-0(PK3-2)大津>◇31日◇1回戦◇ニッパ球
J1鹿島入団が内定しているDF植田直通、MF豊川雄太(ともに3年)を擁する大津(熊本)が初戦で姿を消した。
立ち上がりから攻勢に出たが、シュートがクロスバーに2本阻まれるなど苦しんだ。スコアレスドローのままPKまでもつれると、5人目の豊川が失敗。その瞬間に敗戦が決まった。平岡和徳監督(47)は「(得点を)取り切れなかったことが大きかった」と肩を落とした。
[2012年12月31日17時16分]
U19代表植田の大津 初戦PK戦敗退
2012年12月31日
相手と競り合う大津の主将・植田(左)=ニッパツ三ツ沢球技場(撮影・北野将市)
「全国高校サッカー第2日・1回戦、旭川実0-0(PK3-2)大津」(31日、三ツ沢)
U‐19日本代表DFの植田直通を擁する大津(熊本)が、旭川実(北海道)にPK戦で敗れた。
植田はJ1鹿島入団が内定している。前半から植田を中心とした堅い守りで主導権を握った大津だったが、シュートをクロスバーに2度当ててしまうなど、決定力を欠いた。試合終盤には植田をセンターフォワードに上げ、同じく鹿島入団が内定しているMF豊川雄太と2人でゴールを狙うも、届かなかった。
PK戦では大津の1番手・植田は左サイドに決めたものの、2人目・DF山下、4人目・MF上田が失敗。外すと負けが決まる場面で5人目の豊川がシュートを左ポストに当ててしまい、初戦敗退が決まった。
旭川実は4人中3人が成功。1人目の高橋が止められた際には、相手GK小川がシュートより先に前方に動いていたと判定され、やり直しに。けり直しのPKを冷静に流し込んだ。
“超高校級DF”大津・植田初戦で涙
2013年1月1日
うなだれるイレブンを背に、真っ先にキーパーをねぎらいに向かう大津の植田(右端)=撮影・北野将市
「高校サッカー選手権・1回戦、旭川実0(3PK2)0山形中央」(31日、ニッパ球)
J1鹿島への加入が内定しているU‐19日本代表DF植田直通(3年)を擁する優勝候補の大津(熊本)は、PK戦2‐3で旭川実(北海道)に敗れた。
敗れた直後にもかかわらず、植田は顔色を変えずに最後のキッカーになったMF豊川(3年)に歩み寄った。自分と同じJ1鹿島に入団する仲間を抱きかかえ、胸を張ってピッチを後にした。
186センチの長身と、50メートルを6秒1で走るスピードを兼ね備えた超高校級DFとして大会前から注目を集めた。この試合でも空中戦はほぼ100%競り勝ち、最終ラインからロングキックで攻撃を組み立てた。
1年生で出場した2大会前の選手権では自分のクリアミスから失点し、開幕戦で駒沢大高に1‐2で敗れ涙した。「今の自分はやれるという思いはある」と開会式で話した通りに、主将としてチームを率い、PK戦も1人目に登場し冷静に決めた。精神、技術の両面で成長した姿を見せることはできた。
残り10分を切ったころからFWにポジションを変えたが、得点はならなかった。「情けなくてすいません。前(FW)に出たら点を取るしかない。情けないです」とほとんど取材に応じず、スタジアムを去った。ほろ苦い思い出を胸に、Jリーガーとして再出発する。
▼[選手権]注目DF植田擁する大津が初戦敗退、青森山田はPK戦で野洲を下す…1回戦結果
第91回全国高校サッカー選手権は31日、各地で1回戦を行った。
第1試合から熱戦が繰り広げられ、8試合中5試合でPK戦までもつれ込んだ。ニッパツ三ツ沢球技場では鹿島アントラーズへの入団が内定しているDF植田直通(3年)とFW豊川雄太(3年)を擁する大津(熊本)が旭川実(北海道)にPK戦の末敗れ、初戦で姿を消すこととなった。
第2試合では優勝候補の青森山田と野洲(滋賀)が初戦から激突。1点ずつを取り合ってPK戦までもつれ込んだ一戦は、4-2でPK戦を制した青森山田が2回戦進出を決めた。
2回戦は1月2日に行われる。
以下、試合結果
[ニッパツ三ツ沢球技場]
旭川実 0-0(PK3-2) 大津
西目 1-3 米子北
[相模原麻溝公園競技場]
東邦 0-0(PK3-5) 鵬翔
帝京大可児 1-0 和歌山北
[駒沢陸上競技場]
修徳 2-0 鳴門
青森山田 1-1(PK4-2) 野洲
[フクダ電子アリーナ]
常葉学園橘 0-0(PK4-5) 長崎総合科学大附
創造学園 2-3 香川西
[浦和駒場スタジアム]
鹿島学園 3-4 鹿児島城西
前橋育英 5-1 宮古
[埼玉スタジアム2002]
正智深谷 2-2(PK3-4) 京都橘
仙台育英 5-1 高知
[市原臨海競技場]
盛岡中央 1-1(PK4-5) 聖光
山形中央 0-2 滝川二
[江戸川区陸上競技場]
日本航空 2-3 佐賀商
[写真]初戦で姿を消すこととなった大津高。DF植田直通(右)は泣き崩れる味方選手を抱きかかえる。
▼[選手権]大津は豊川のPK失敗で早すぎる終戦…植田「情けない」
[12.31 全国高校選手権1回戦 旭川実0-0(PK3-2)大津 ニッパ球]
乾いた音が響き渡った。PK2-3で迎えた大津(熊本)の5人目。MF豊川雄太(3年=鹿島アントラーズ内定)のキックが左ポストを直撃する。勝者となった旭川実(北海道)の選手が喜びに沸く中、豊川は呆然とピッチに立ち尽くした。
豊川のもとへ歩み寄り、励ますDF植田直通主将(3年=鹿島アントラーズ内定)。しかし、膝から崩れ落ちた豊川はチームメイトに支えられ、選手が整列するピッチ中央へ戻っていった。
「ちょっとしゃべれないです……」。ミックスゾーンを急ぎ足で通り抜けた豊川はスタジアム外で待つ応援団のもとへ行き、涙ながらに頭を下げて回った。憮然とした表情で姿を現した植田も「情けないです。話す気分じゃない」とだけ言葉を残し、選手権の舞台から去った。
植田、豊川という鹿島入り2選手を擁し、優勝候補の一角にも挙げられていた大津の早すぎる敗退。前半から試合を支配しながらシュートが2度クロスバーに阻まれる不運もあり、後半は攻め急ぎから拙攻を繰り返した。終盤は植田も前線に上がるパワープレーを仕掛け、豊川と2トップを組んだが、1点が遠い。
0-0のまま突入したPK戦では、プレッシャーのかかる一人目を務めた植田は落ち着いて決め、その重責を果たしたが、最後に豊川がまさかの失敗。前回出場した10年度大会に続く初戦敗退となった。
平岡和徳監督は「どんなプロでもPKを外す」と豊川をかばった。「それ(PK失敗)でサッカーを終わらす選手は一人もいない。彼のキャリアの中で、今日の経験がこれからの成長に糧になってくれれば」。最後の選手権は悔しい幕切れとなった。それでもサッカー人生は続く。来年はプロの世界に挑戦する植田と豊川。悔しさをバネにはい上がる教え子たちのさらなる飛躍を願った。
(取材・文 西山紘平)
植田くんと豊川くんの大津高校は初戦敗退。
これは残念である。
我ら以上に植田くんと豊川くんは無念であろう。
高校日本一の夢は破れた気持ちは当事者でなければわかるまい。
とはいえ、彼らはJリーガーとして日本一を目指すチャンスを得ておる。
最もタイトルに近いクラブへ入団できる選手は少ないのだ。
来年からは臙脂のユニフォームを身に纏い、日本一を、そしてアジアの頂点を目指そうではないか。
期待しておる。
試合後、大津DF植田主将(中央右)は、涙を流すGK小川(同左)の肩を抱いてねぎらった
<高校サッカー:旭川実0-0(PK3-2)大津>◇31日◇1回戦◇ニッパ球
J1鹿島入団が内定しているDF植田直通、MF豊川雄太(ともに3年)を擁する大津(熊本)が初戦で姿を消した。
立ち上がりから攻勢に出たが、シュートがクロスバーに2本阻まれるなど苦しんだ。スコアレスドローのままPKまでもつれると、5人目の豊川が失敗。その瞬間に敗戦が決まった。平岡和徳監督(47)は「(得点を)取り切れなかったことが大きかった」と肩を落とした。
[2012年12月31日17時16分]
U19代表植田の大津 初戦PK戦敗退
2012年12月31日
相手と競り合う大津の主将・植田(左)=ニッパツ三ツ沢球技場(撮影・北野将市)
「全国高校サッカー第2日・1回戦、旭川実0-0(PK3-2)大津」(31日、三ツ沢)
U‐19日本代表DFの植田直通を擁する大津(熊本)が、旭川実(北海道)にPK戦で敗れた。
植田はJ1鹿島入団が内定している。前半から植田を中心とした堅い守りで主導権を握った大津だったが、シュートをクロスバーに2度当ててしまうなど、決定力を欠いた。試合終盤には植田をセンターフォワードに上げ、同じく鹿島入団が内定しているMF豊川雄太と2人でゴールを狙うも、届かなかった。
PK戦では大津の1番手・植田は左サイドに決めたものの、2人目・DF山下、4人目・MF上田が失敗。外すと負けが決まる場面で5人目の豊川がシュートを左ポストに当ててしまい、初戦敗退が決まった。
旭川実は4人中3人が成功。1人目の高橋が止められた際には、相手GK小川がシュートより先に前方に動いていたと判定され、やり直しに。けり直しのPKを冷静に流し込んだ。
“超高校級DF”大津・植田初戦で涙
2013年1月1日
うなだれるイレブンを背に、真っ先にキーパーをねぎらいに向かう大津の植田(右端)=撮影・北野将市
「高校サッカー選手権・1回戦、旭川実0(3PK2)0山形中央」(31日、ニッパ球)
J1鹿島への加入が内定しているU‐19日本代表DF植田直通(3年)を擁する優勝候補の大津(熊本)は、PK戦2‐3で旭川実(北海道)に敗れた。
敗れた直後にもかかわらず、植田は顔色を変えずに最後のキッカーになったMF豊川(3年)に歩み寄った。自分と同じJ1鹿島に入団する仲間を抱きかかえ、胸を張ってピッチを後にした。
186センチの長身と、50メートルを6秒1で走るスピードを兼ね備えた超高校級DFとして大会前から注目を集めた。この試合でも空中戦はほぼ100%競り勝ち、最終ラインからロングキックで攻撃を組み立てた。
1年生で出場した2大会前の選手権では自分のクリアミスから失点し、開幕戦で駒沢大高に1‐2で敗れ涙した。「今の自分はやれるという思いはある」と開会式で話した通りに、主将としてチームを率い、PK戦も1人目に登場し冷静に決めた。精神、技術の両面で成長した姿を見せることはできた。
残り10分を切ったころからFWにポジションを変えたが、得点はならなかった。「情けなくてすいません。前(FW)に出たら点を取るしかない。情けないです」とほとんど取材に応じず、スタジアムを去った。ほろ苦い思い出を胸に、Jリーガーとして再出発する。
▼[選手権]注目DF植田擁する大津が初戦敗退、青森山田はPK戦で野洲を下す…1回戦結果
第91回全国高校サッカー選手権は31日、各地で1回戦を行った。
第1試合から熱戦が繰り広げられ、8試合中5試合でPK戦までもつれ込んだ。ニッパツ三ツ沢球技場では鹿島アントラーズへの入団が内定しているDF植田直通(3年)とFW豊川雄太(3年)を擁する大津(熊本)が旭川実(北海道)にPK戦の末敗れ、初戦で姿を消すこととなった。
第2試合では優勝候補の青森山田と野洲(滋賀)が初戦から激突。1点ずつを取り合ってPK戦までもつれ込んだ一戦は、4-2でPK戦を制した青森山田が2回戦進出を決めた。
2回戦は1月2日に行われる。
以下、試合結果
[ニッパツ三ツ沢球技場]
旭川実 0-0(PK3-2) 大津
西目 1-3 米子北
[相模原麻溝公園競技場]
東邦 0-0(PK3-5) 鵬翔
帝京大可児 1-0 和歌山北
[駒沢陸上競技場]
修徳 2-0 鳴門
青森山田 1-1(PK4-2) 野洲
[フクダ電子アリーナ]
常葉学園橘 0-0(PK4-5) 長崎総合科学大附
創造学園 2-3 香川西
[浦和駒場スタジアム]
鹿島学園 3-4 鹿児島城西
前橋育英 5-1 宮古
[埼玉スタジアム2002]
正智深谷 2-2(PK3-4) 京都橘
仙台育英 5-1 高知
[市原臨海競技場]
盛岡中央 1-1(PK4-5) 聖光
山形中央 0-2 滝川二
[江戸川区陸上競技場]
日本航空 2-3 佐賀商
[写真]初戦で姿を消すこととなった大津高。DF植田直通(右)は泣き崩れる味方選手を抱きかかえる。
▼[選手権]大津は豊川のPK失敗で早すぎる終戦…植田「情けない」
[12.31 全国高校選手権1回戦 旭川実0-0(PK3-2)大津 ニッパ球]
乾いた音が響き渡った。PK2-3で迎えた大津(熊本)の5人目。MF豊川雄太(3年=鹿島アントラーズ内定)のキックが左ポストを直撃する。勝者となった旭川実(北海道)の選手が喜びに沸く中、豊川は呆然とピッチに立ち尽くした。
豊川のもとへ歩み寄り、励ますDF植田直通主将(3年=鹿島アントラーズ内定)。しかし、膝から崩れ落ちた豊川はチームメイトに支えられ、選手が整列するピッチ中央へ戻っていった。
「ちょっとしゃべれないです……」。ミックスゾーンを急ぎ足で通り抜けた豊川はスタジアム外で待つ応援団のもとへ行き、涙ながらに頭を下げて回った。憮然とした表情で姿を現した植田も「情けないです。話す気分じゃない」とだけ言葉を残し、選手権の舞台から去った。
植田、豊川という鹿島入り2選手を擁し、優勝候補の一角にも挙げられていた大津の早すぎる敗退。前半から試合を支配しながらシュートが2度クロスバーに阻まれる不運もあり、後半は攻め急ぎから拙攻を繰り返した。終盤は植田も前線に上がるパワープレーを仕掛け、豊川と2トップを組んだが、1点が遠い。
0-0のまま突入したPK戦では、プレッシャーのかかる一人目を務めた植田は落ち着いて決め、その重責を果たしたが、最後に豊川がまさかの失敗。前回出場した10年度大会に続く初戦敗退となった。
平岡和徳監督は「どんなプロでもPKを外す」と豊川をかばった。「それ(PK失敗)でサッカーを終わらす選手は一人もいない。彼のキャリアの中で、今日の経験がこれからの成長に糧になってくれれば」。最後の選手権は悔しい幕切れとなった。それでもサッカー人生は続く。来年はプロの世界に挑戦する植田と豊川。悔しさをバネにはい上がる教え子たちのさらなる飛躍を願った。
(取材・文 西山紘平)
植田くんと豊川くんの大津高校は初戦敗退。
これは残念である。
我ら以上に植田くんと豊川くんは無念であろう。
高校日本一の夢は破れた気持ちは当事者でなければわかるまい。
とはいえ、彼らはJリーガーとして日本一を目指すチャンスを得ておる。
最もタイトルに近いクラブへ入団できる選手は少ないのだ。
来年からは臙脂のユニフォームを身に纏い、日本一を、そしてアジアの頂点を目指そうではないか。
期待しておる。