まさに、邪悪なるアウェイの地。
〈20年目の風 Jリーグ熟考:中〉身の丈伸ばせ、強くなれ
2011年3月2日10時53分
選手の待遇改善に取り組む日本プロサッカー選手会の清岡哲朗執行役員は、Jリーグ開幕前にJ1とJ2の26クラブを訪ねて選手たちの声を聞いた。「年俸が200万円を切る選手もいた。将来が不安だという声も聞いた。Jリーグが豊かにならないと日本のサッカーは発展しない」
Jリーグは日本のサッカーをプロ化したが、当初は「スポーツ文化」「企業メセナ」という意義を強調し、事実上の親会社だった出資企業に赤字補填(ほてん)を迫ったのが現実だった。スポンサー権、放送権、商品化権という大きな収入源をJリーグが一括管理する仕組みも、まだ弱かった各クラブの経営力を補った。
自立したクラブ経営を求める機運が高まったのは、1998年シーズンに横浜フリューゲルスが出資企業の撤退で消滅したことがきっかけ。各クラブの収入は全体的に見ると99年に底を打ち、08年にはブーム時代の9割まで回復した。
最近、鹿島を視察する関係者が増えている。クラブ別の経営状況が公開された05年度以降のJリーグ資料によると、鹿島は右肩上がりの増収を続けている。欧州の主要クラブと比較した自己分析で、試合日以外の収入とテレビからの収入が少ないと判断。それを念頭に事業拡大を進める。昨季からはJリーグで唯一、ホーム試合の映像制作に乗りだし、中継局から制作委託料を得ている。今季からは本拠・カシマスタジアムで健康関連事業を展開する。
鈴木秀樹事業部長は「鹿島は首都圏から遠い。観客を増やして収益を上げるという発想では限界がある。何が収益を生むのかを探らなければならない」と話す。
クラブの事情に合わせて身の丈を伸ばそうとすると、大きな収入源が一括管理されている今の仕組みは窮屈だ。「条件を満たしたクラブにはリーグが持つ権利を譲ってもいいのではないか」と鈴木部長は言う。弱小のJ2を見捨てるのかという反論には「格差によって上を目指すクラブも出てくる。成長の呼び水になるはず」と答える。
昨年からJ2の北九州は、戦績は最下位だったが経営面で成果を収めた。JFLだった前年は1億円の赤字だったが、広告料と入場料で収入を増やして黒字にした。
横手敏夫社長は「2万人収容の新スタジアムが5年後にできる。収入を今の2倍の6億円にすればJ1昇格を狙える戦力も整えられる。実際に山形は08年、6億円の収入でJ1に上がった」と語る。北九州の経営規模は鹿島の10分の1。だが、サッカービジネスを切り開いてチームを強くできるというビジョンは通じる。
危機を乗り切るための「身の丈にあった経営」から、収入を増やして戦力に投資する「身の丈を伸ばす経営」に時代は移った。伸び方は千差万別だ。Jリーグは今年、マーケティング委員会を設けてビジネスモデルの再検討を始める。
鹿島のクラブ運営・経営が注目を浴びておる。
確かに、大都市とは言えぬ土地で最高のクラブを運営しておるのは賞賛に値しよう。
モデルとして視察されるのは当然である。
更に鹿島の目は未来に向いておる。
映像の自主制作、非試合日のスタジアム活用、スタジアム近辺の活気、などなど枚挙に暇がない。
地元と密着し、鹿島アントラーズという文化を根付かせるため、日々努力を重ねておるのだ。
これは、他のクラブの追随を許すものではない。
簡単に多くの観客動員が見込めるクラブとは性質が異なるのだ。
危機感の持ち方が違う。
我等も危機感を持ち、一つ一つの試合を大事にすべくスタジアムに通いたい。
今、そこに鹿島がある幸せを噛み締めて。
2011年3月2日10時53分
選手の待遇改善に取り組む日本プロサッカー選手会の清岡哲朗執行役員は、Jリーグ開幕前にJ1とJ2の26クラブを訪ねて選手たちの声を聞いた。「年俸が200万円を切る選手もいた。将来が不安だという声も聞いた。Jリーグが豊かにならないと日本のサッカーは発展しない」
Jリーグは日本のサッカーをプロ化したが、当初は「スポーツ文化」「企業メセナ」という意義を強調し、事実上の親会社だった出資企業に赤字補填(ほてん)を迫ったのが現実だった。スポンサー権、放送権、商品化権という大きな収入源をJリーグが一括管理する仕組みも、まだ弱かった各クラブの経営力を補った。
自立したクラブ経営を求める機運が高まったのは、1998年シーズンに横浜フリューゲルスが出資企業の撤退で消滅したことがきっかけ。各クラブの収入は全体的に見ると99年に底を打ち、08年にはブーム時代の9割まで回復した。
最近、鹿島を視察する関係者が増えている。クラブ別の経営状況が公開された05年度以降のJリーグ資料によると、鹿島は右肩上がりの増収を続けている。欧州の主要クラブと比較した自己分析で、試合日以外の収入とテレビからの収入が少ないと判断。それを念頭に事業拡大を進める。昨季からはJリーグで唯一、ホーム試合の映像制作に乗りだし、中継局から制作委託料を得ている。今季からは本拠・カシマスタジアムで健康関連事業を展開する。
鈴木秀樹事業部長は「鹿島は首都圏から遠い。観客を増やして収益を上げるという発想では限界がある。何が収益を生むのかを探らなければならない」と話す。
クラブの事情に合わせて身の丈を伸ばそうとすると、大きな収入源が一括管理されている今の仕組みは窮屈だ。「条件を満たしたクラブにはリーグが持つ権利を譲ってもいいのではないか」と鈴木部長は言う。弱小のJ2を見捨てるのかという反論には「格差によって上を目指すクラブも出てくる。成長の呼び水になるはず」と答える。
昨年からJ2の北九州は、戦績は最下位だったが経営面で成果を収めた。JFLだった前年は1億円の赤字だったが、広告料と入場料で収入を増やして黒字にした。
横手敏夫社長は「2万人収容の新スタジアムが5年後にできる。収入を今の2倍の6億円にすればJ1昇格を狙える戦力も整えられる。実際に山形は08年、6億円の収入でJ1に上がった」と語る。北九州の経営規模は鹿島の10分の1。だが、サッカービジネスを切り開いてチームを強くできるというビジョンは通じる。
危機を乗り切るための「身の丈にあった経営」から、収入を増やして戦力に投資する「身の丈を伸ばす経営」に時代は移った。伸び方は千差万別だ。Jリーグは今年、マーケティング委員会を設けてビジネスモデルの再検討を始める。
鹿島のクラブ運営・経営が注目を浴びておる。
確かに、大都市とは言えぬ土地で最高のクラブを運営しておるのは賞賛に値しよう。
モデルとして視察されるのは当然である。
更に鹿島の目は未来に向いておる。
映像の自主制作、非試合日のスタジアム活用、スタジアム近辺の活気、などなど枚挙に暇がない。
地元と密着し、鹿島アントラーズという文化を根付かせるため、日々努力を重ねておるのだ。
これは、他のクラブの追随を許すものではない。
簡単に多くの観客動員が見込めるクラブとは性質が異なるのだ。
危機感の持ち方が違う。
我等も危機感を持ち、一つ一つの試合を大事にすべくスタジアムに通いたい。
今、そこに鹿島がある幸せを噛み締めて。
小笠原なくして鹿島の悲願はなし得ない
王座奪回、アジア制覇を狙うベテランの決意
2011年3月2日(水)
■予想外の苦境に見舞われた2010年
ACL初戦・上海申花戦の遠征メンバーから外れた小笠原だが、J開幕には間に合うようだ【写真:北村大樹/アフロスポーツ】
2009年にJリーグ3連覇を達成し、MVP受賞という最高のシーズンを送った小笠原満男。しかし2010年は予想外の苦境に見舞われた。
「国内だけじゃなく、アジアも制したい」と闘志を燃やしていたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)は、5月のラウンド16で浦項スティーラーズ(韓国)に苦杯を喫し、早々と夢がついえた。この直前に一縷(いちる)の望みを託していたワールドカップ・南アフリカ大会の日本代表から落選。2つの大きなショックを乗り越えようと、気持ちを奮い立たせてJリーグ4連覇に挑んだが、夏ごろから予想外にパフォーマンスが低下した。途中交代が増え、小さなけがとコンディション不良に苦しむようになる。
オズワルド・オリヴェイラ監督は「彼は精神的に影響をもたらす選手。簡単には代えられない」と絶大な信頼を寄せ続けたが、結局のところ、チームを優勝には導けなかった。鹿島は予想外の4位に沈んでしまう。何とか天皇杯を制覇することでACL出場権は確保したものの、小笠原にとっては「不完全燃焼」が色濃く残る1年だったに違いない。
迎えた2011年。プロ14年目の今季こそ、前年まで達成できなかったACL制覇とJリーグタイトル奪還を是が非でも果たす……。そう誓った小笠原は2月の始動時から追い込みをかけた。宮崎キャンプでは精力的に走り込み、1年を通して落ちない体力を養おうと努めた。だが、その気合がカラ回りしたのか、2月下旬に入って右ひざ腸脛(ちょうけい)じん帯炎を発症。痛みをこらえて強行出場したフジゼロックススーパーカップ・名古屋グランパス戦でも途中で状態が悪化し、後半29分に自ら交代を申し出る羽目になった。キャプテンを失った影響もあったのか、チームはPK戦で敗れ、新シーズンの出はなをくじかれてしまった。
「勝ちたかったね。チームとしていい部分もあったけど、現状で満足してちゃいけないよね。けがの方は疲労性の痛みらしいです。まあ、大丈夫だと思いますよ」
本人は楽観的な見通しだったが、残念ながら2日のACL初戦・上海申花戦は遠征メンバーから外れた。今週末のJ1開幕を控え、オリヴェイラ監督も大事を取ったという。
小笠原自身は「けがなんか怖がってちゃいけないし、いい準備をして常にピッチに立てるようにやるだけ。全部出たいからね」とシーズンフル稼働への意気込みをあらわにするものの、指揮官は選手を効果的にローテーションさせ、戦力を維持しながら、タフなシーズンを乗り切っていくつもりのようだ。
■違った選手と組むことで多彩なオプションも
有望な新戦力を数多く補強した今季の鹿島にはそれが可能である。小笠原が担うボランチのポジションだけを見ても、まず今年1月のアジアカップに出場した日本代表の本田拓也が清水エスパルスから移籍。増田誓志もモンテディオ山形から戻ってきた。将来を嘱望されるルーキー・柴崎岳も加わり、中田浩二、青木剛というベテランを含めるとかなり充実した陣容になっている。オリヴェイラ監督は中田浩二を主にセンターバックで起用する意向というが、選手層が厚くなったのは間違いない。
「クラブもこれだけ選手を入れ替えて活性化を図ろうとしているんだから、みんなで競争し合って出た選手が一生懸命やることが大事。そういう意識を練習から持てば、試合でもいいものを出せると思うし。ボランチにしてもいろいろな組み合わせが考えられる。今までやっている選手との慣れも大事だけど、やっぱり新しいパワーも必要。今までの11人がずっと続くわけじゃないし、違ったバリエーションができるのも面白いんじゃないかな。おれ自身も楽しみだね。自分はローテーションでいいと思ってないし、全部出るつもりで準備するけど、チーム全体で戦っていけるようにはしたいですね」と小笠原も大きな期待を口にする。
例えば、小笠原と本田拓なら、どちらもパスがさばけて運動量も豊富。お互いにアップダウンを繰り返しながら攻撃参加することもできる。小笠原と増田が組んだ場合は、増田の方がやや攻撃的なため、小笠原は後ろでバランスを取りながら攻撃の起点としてチーム全体を動かすのではないか。このように昨季とは違った選手と組むことで、鹿島に多彩なオプションが生まれる可能性は高い。小笠原の新たな一面も見えてくるかもしれないだけに、非常に興味深い。
■唯一最大の不安材料はマルキーニョスが抜けた穴
鹿島の課題はマルキーニョスの穴をどう埋めるか。小笠原ももっとゴールに絡みたい【写真:北村大樹/アフロスポーツ】
柴崎ら若い世代が大量に加入したことも、今年32歳になるベテランに、少なからず刺激を与えている。
「グラウンドでは若い古いとか年齢は関係ない。彼らも新人っていう意識じゃなくて、力になってもらわないといけないし。もちろん、おれらも頑張らなきゃいけない。全員がチームの一員ですからね」と柴崎ら若手にプロの自覚を促すことも忘れない。
時には若手が小笠原らの若いころの話を聞いてくることもあるというが、「話より実際に感じることの方が多いから」と小笠原は言う。より多くのことを自分の背中からくみ取ってほしいという希望があるのだろう。
さかのぼること13年前の1998年春。小笠原、本山雅志、中田浩二、曽ヶ端準ら79年生まれの選手6人が鹿島に入団した。タレントぞろいの“黄金世代”にあって、小笠原は4月のガンバ大阪戦で早々とJリーグデビューを飾っている。ビスマルク、増田忠俊ら経験豊富なMF陣の間に徐々に割って入り、3年目には完全にレギュラーをつかんでいた。今年の高卒新人の中でも非常に高い評価を受ける柴崎らが本物なら、小笠原や本田拓ら年長者がズラリと並んでいても、自ら堂々とチャンスをもぎ取っていくはずだ。それだけの力強い追い上げを小笠原は期待している。
陣容的には確実に昨季を上回った鹿島だが、1つだけ大きな不安材料がある。昨年限りで退団し、ベガルタ仙台に新天地を求めたエースFWマルキーニョスの穴をどう埋めるか。それはチームの成否を占う重要なテーマである。
07年のオリヴェイラ監督就任とともに鹿島へ移籍してきたマルキーニョスは、過去4シーズンでリーグ戦59得点をマークした。毎年10点以上をコンスタントに挙げ、08年には21ゴールで得点王にも輝いている。肝心な場面では、必ずと言っていいほど彼が点を取り、窮地を救ってきた。
ゼロックス杯の対戦相手、名古屋のDF増川隆洋も「マルキーニョスは常にゴールを狙っていたし、シュートを打つ数も多かった。彼がいたときに比べると鹿島には怖さが感じられなかった」とズバリ指摘した。オリヴェイラ監督も「昨年から続いていることだが、決定的な得点ができていない。昨年の12引き分けというのもそれが響いている」と珍しく弱音を吐いている。マルキーニョスが去ったことでその傾向がより強まる恐れもある。フィニッシュの問題は今のチームに重くのしかかっているのだ。
■小笠原自身ももっとゴールに絡んでいい
「周りからはマルキに依存していたって見えるかもしれないけど、マルキ1人でサッカーをしていたわけじゃない。ウチは誰が中心とかいうチーム作りをしていないし、みんなで攻めてみんなで守っていけば、十分カバーできると思うよ」と小笠原は周囲の不安を一蹴した。キャプテンが言うような理想像に近づくためには、興梠慎三、大迫勇也のさらなる成長、新助っ人・カルロンの日本への適応、山形から戻った田代有三の大ブレークが欠かせない。
興梠はすでにプロ7年目。長友佑都(インテル)、本田圭佑(CSKA)、岡崎慎司(シュツットガルト)ら同期の面々は日本代表の中核に成長している。もはや若手とは言えない年齢だけに、確固たる存在感を示す必要がある。プロ3年目の大迫もそろそろレギュラーに定着すべき時期に来ている。そして田代も昨季、山形で挙げた10得点は維持したいところ。彼ら3人がコンスタントに結果を出せば、カルロンが日本サッカーに適応する時間を稼げるのではないだろうか。
「ゼロックスでも惜しいチャンスはいっぱいあった。全部入っていたら10点以上入っていたわけだからね(苦笑)。ゴールを決めるのは永遠の課題。チャンスを作れていなかったら問題だけど、いいところまではいっているし、とにかくあとは決めること。それをしっかりやれれば解決できると思います」
こう話す小笠原自身ももっとゴールに絡んでいい。「ボランチはがっつりボールを取って攻めの起点になる仕事。まず守備から入らないといけないから」と、彼はしばしば言うが、ボランチに移った07年以降、J1で毎年3~5得点しか取っていないのはどうも物足りない。今季はボランチの組み合わせも変わるだけに、状況に応じてもっとゴールに向かう回数を増やすべきだろう。
30代になって体力が低下したり、アグレッシブさを失う選手は少なくない。だが、同期の遠藤保仁のように、いまだ日本代表の絶対的中心に君臨する選手もいる。小笠原も無尽蔵な運動量とタフなメンタリティーをまだまだ示せるはず。その圧倒的な存在感なくして、鹿島の王座奪回、悲願のアジア制覇はあり得ない。
<了>
悦っちゃんによる満男のコラムである。
昨季の悔しさ、今季に賭ける思いが伝わってくる。
今日の試合に満男は不在となるが、出場する選手たちはこの思いを胸に戦うこととなろう。
気持ちを一つとし、アジアの頂点を目指したい。
悲願のアジア制圧を満男と共に果たしたいのだ。
気合いを入れ直したい。
王座奪回、アジア制覇を狙うベテランの決意
2011年3月2日(水)
■予想外の苦境に見舞われた2010年
ACL初戦・上海申花戦の遠征メンバーから外れた小笠原だが、J開幕には間に合うようだ【写真:北村大樹/アフロスポーツ】
2009年にJリーグ3連覇を達成し、MVP受賞という最高のシーズンを送った小笠原満男。しかし2010年は予想外の苦境に見舞われた。
「国内だけじゃなく、アジアも制したい」と闘志を燃やしていたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)は、5月のラウンド16で浦項スティーラーズ(韓国)に苦杯を喫し、早々と夢がついえた。この直前に一縷(いちる)の望みを託していたワールドカップ・南アフリカ大会の日本代表から落選。2つの大きなショックを乗り越えようと、気持ちを奮い立たせてJリーグ4連覇に挑んだが、夏ごろから予想外にパフォーマンスが低下した。途中交代が増え、小さなけがとコンディション不良に苦しむようになる。
オズワルド・オリヴェイラ監督は「彼は精神的に影響をもたらす選手。簡単には代えられない」と絶大な信頼を寄せ続けたが、結局のところ、チームを優勝には導けなかった。鹿島は予想外の4位に沈んでしまう。何とか天皇杯を制覇することでACL出場権は確保したものの、小笠原にとっては「不完全燃焼」が色濃く残る1年だったに違いない。
迎えた2011年。プロ14年目の今季こそ、前年まで達成できなかったACL制覇とJリーグタイトル奪還を是が非でも果たす……。そう誓った小笠原は2月の始動時から追い込みをかけた。宮崎キャンプでは精力的に走り込み、1年を通して落ちない体力を養おうと努めた。だが、その気合がカラ回りしたのか、2月下旬に入って右ひざ腸脛(ちょうけい)じん帯炎を発症。痛みをこらえて強行出場したフジゼロックススーパーカップ・名古屋グランパス戦でも途中で状態が悪化し、後半29分に自ら交代を申し出る羽目になった。キャプテンを失った影響もあったのか、チームはPK戦で敗れ、新シーズンの出はなをくじかれてしまった。
「勝ちたかったね。チームとしていい部分もあったけど、現状で満足してちゃいけないよね。けがの方は疲労性の痛みらしいです。まあ、大丈夫だと思いますよ」
本人は楽観的な見通しだったが、残念ながら2日のACL初戦・上海申花戦は遠征メンバーから外れた。今週末のJ1開幕を控え、オリヴェイラ監督も大事を取ったという。
小笠原自身は「けがなんか怖がってちゃいけないし、いい準備をして常にピッチに立てるようにやるだけ。全部出たいからね」とシーズンフル稼働への意気込みをあらわにするものの、指揮官は選手を効果的にローテーションさせ、戦力を維持しながら、タフなシーズンを乗り切っていくつもりのようだ。
■違った選手と組むことで多彩なオプションも
有望な新戦力を数多く補強した今季の鹿島にはそれが可能である。小笠原が担うボランチのポジションだけを見ても、まず今年1月のアジアカップに出場した日本代表の本田拓也が清水エスパルスから移籍。増田誓志もモンテディオ山形から戻ってきた。将来を嘱望されるルーキー・柴崎岳も加わり、中田浩二、青木剛というベテランを含めるとかなり充実した陣容になっている。オリヴェイラ監督は中田浩二を主にセンターバックで起用する意向というが、選手層が厚くなったのは間違いない。
「クラブもこれだけ選手を入れ替えて活性化を図ろうとしているんだから、みんなで競争し合って出た選手が一生懸命やることが大事。そういう意識を練習から持てば、試合でもいいものを出せると思うし。ボランチにしてもいろいろな組み合わせが考えられる。今までやっている選手との慣れも大事だけど、やっぱり新しいパワーも必要。今までの11人がずっと続くわけじゃないし、違ったバリエーションができるのも面白いんじゃないかな。おれ自身も楽しみだね。自分はローテーションでいいと思ってないし、全部出るつもりで準備するけど、チーム全体で戦っていけるようにはしたいですね」と小笠原も大きな期待を口にする。
例えば、小笠原と本田拓なら、どちらもパスがさばけて運動量も豊富。お互いにアップダウンを繰り返しながら攻撃参加することもできる。小笠原と増田が組んだ場合は、増田の方がやや攻撃的なため、小笠原は後ろでバランスを取りながら攻撃の起点としてチーム全体を動かすのではないか。このように昨季とは違った選手と組むことで、鹿島に多彩なオプションが生まれる可能性は高い。小笠原の新たな一面も見えてくるかもしれないだけに、非常に興味深い。
■唯一最大の不安材料はマルキーニョスが抜けた穴
鹿島の課題はマルキーニョスの穴をどう埋めるか。小笠原ももっとゴールに絡みたい【写真:北村大樹/アフロスポーツ】
柴崎ら若い世代が大量に加入したことも、今年32歳になるベテランに、少なからず刺激を与えている。
「グラウンドでは若い古いとか年齢は関係ない。彼らも新人っていう意識じゃなくて、力になってもらわないといけないし。もちろん、おれらも頑張らなきゃいけない。全員がチームの一員ですからね」と柴崎ら若手にプロの自覚を促すことも忘れない。
時には若手が小笠原らの若いころの話を聞いてくることもあるというが、「話より実際に感じることの方が多いから」と小笠原は言う。より多くのことを自分の背中からくみ取ってほしいという希望があるのだろう。
さかのぼること13年前の1998年春。小笠原、本山雅志、中田浩二、曽ヶ端準ら79年生まれの選手6人が鹿島に入団した。タレントぞろいの“黄金世代”にあって、小笠原は4月のガンバ大阪戦で早々とJリーグデビューを飾っている。ビスマルク、増田忠俊ら経験豊富なMF陣の間に徐々に割って入り、3年目には完全にレギュラーをつかんでいた。今年の高卒新人の中でも非常に高い評価を受ける柴崎らが本物なら、小笠原や本田拓ら年長者がズラリと並んでいても、自ら堂々とチャンスをもぎ取っていくはずだ。それだけの力強い追い上げを小笠原は期待している。
陣容的には確実に昨季を上回った鹿島だが、1つだけ大きな不安材料がある。昨年限りで退団し、ベガルタ仙台に新天地を求めたエースFWマルキーニョスの穴をどう埋めるか。それはチームの成否を占う重要なテーマである。
07年のオリヴェイラ監督就任とともに鹿島へ移籍してきたマルキーニョスは、過去4シーズンでリーグ戦59得点をマークした。毎年10点以上をコンスタントに挙げ、08年には21ゴールで得点王にも輝いている。肝心な場面では、必ずと言っていいほど彼が点を取り、窮地を救ってきた。
ゼロックス杯の対戦相手、名古屋のDF増川隆洋も「マルキーニョスは常にゴールを狙っていたし、シュートを打つ数も多かった。彼がいたときに比べると鹿島には怖さが感じられなかった」とズバリ指摘した。オリヴェイラ監督も「昨年から続いていることだが、決定的な得点ができていない。昨年の12引き分けというのもそれが響いている」と珍しく弱音を吐いている。マルキーニョスが去ったことでその傾向がより強まる恐れもある。フィニッシュの問題は今のチームに重くのしかかっているのだ。
■小笠原自身ももっとゴールに絡んでいい
「周りからはマルキに依存していたって見えるかもしれないけど、マルキ1人でサッカーをしていたわけじゃない。ウチは誰が中心とかいうチーム作りをしていないし、みんなで攻めてみんなで守っていけば、十分カバーできると思うよ」と小笠原は周囲の不安を一蹴した。キャプテンが言うような理想像に近づくためには、興梠慎三、大迫勇也のさらなる成長、新助っ人・カルロンの日本への適応、山形から戻った田代有三の大ブレークが欠かせない。
興梠はすでにプロ7年目。長友佑都(インテル)、本田圭佑(CSKA)、岡崎慎司(シュツットガルト)ら同期の面々は日本代表の中核に成長している。もはや若手とは言えない年齢だけに、確固たる存在感を示す必要がある。プロ3年目の大迫もそろそろレギュラーに定着すべき時期に来ている。そして田代も昨季、山形で挙げた10得点は維持したいところ。彼ら3人がコンスタントに結果を出せば、カルロンが日本サッカーに適応する時間を稼げるのではないだろうか。
「ゼロックスでも惜しいチャンスはいっぱいあった。全部入っていたら10点以上入っていたわけだからね(苦笑)。ゴールを決めるのは永遠の課題。チャンスを作れていなかったら問題だけど、いいところまではいっているし、とにかくあとは決めること。それをしっかりやれれば解決できると思います」
こう話す小笠原自身ももっとゴールに絡んでいい。「ボランチはがっつりボールを取って攻めの起点になる仕事。まず守備から入らないといけないから」と、彼はしばしば言うが、ボランチに移った07年以降、J1で毎年3~5得点しか取っていないのはどうも物足りない。今季はボランチの組み合わせも変わるだけに、状況に応じてもっとゴールに向かう回数を増やすべきだろう。
30代になって体力が低下したり、アグレッシブさを失う選手は少なくない。だが、同期の遠藤保仁のように、いまだ日本代表の絶対的中心に君臨する選手もいる。小笠原も無尽蔵な運動量とタフなメンタリティーをまだまだ示せるはず。その圧倒的な存在感なくして、鹿島の王座奪回、悲願のアジア制覇はあり得ない。
<了>
悦っちゃんによる満男のコラムである。
昨季の悔しさ、今季に賭ける思いが伝わってくる。
今日の試合に満男は不在となるが、出場する選手たちはこの思いを胸に戦うこととなろう。
気持ちを一つとし、アジアの頂点を目指したい。
悲願のアジア制圧を満男と共に果たしたいのだ。
気合いを入れ直したい。
鹿島 2日上海申花戦 ACL ボランチ本田、初出場へ
【写真説明】
ACLで移籍後初の公式戦出場が期待される本田
サッカーのアジアクラブ王者を決めるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は2日、各地で1次リーグ第1戦を行う。悲願の初優勝を狙う鹿島は中国・上海市の虹口スタジアムで上海申花と対戦する。キックオフは現地時間午後8時(日本時間午後9時)。ひざに不安を抱える小笠原がメンバーに入らず、ボランチの本田が移籍後公式戦初出場へ近づいた。本田は「ACLは初めての経験なので試合に慣れたい」と口にした。
本田はアジアカップ日本代表優勝メンバー。清水時代は主にワンボランチで、球際の強さ、長短精度の高いパスで攻守に貢献してきた。
満男の欠場に対して、ヒゲくんの出場を期待する茨城新聞である。
今季、大型補強の目玉であるヒゲくんが公式戦に出場するとなれば、大きな話題となろう。
粘り強い守備と長短のパスで中盤を制するヒゲくんが、勝利に貢献する姿を早く観たい者も多いはずである。
アジアの頂点を目指すには、必要な戦力であるところを魅せて欲しい。
それが、今夜であるならば、とても嬉しい。今夜の試合は注目である。
ヒゲくんに期待したい。
【写真説明】
ACLで移籍後初の公式戦出場が期待される本田
サッカーのアジアクラブ王者を決めるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は2日、各地で1次リーグ第1戦を行う。悲願の初優勝を狙う鹿島は中国・上海市の虹口スタジアムで上海申花と対戦する。キックオフは現地時間午後8時(日本時間午後9時)。ひざに不安を抱える小笠原がメンバーに入らず、ボランチの本田が移籍後公式戦初出場へ近づいた。本田は「ACLは初めての経験なので試合に慣れたい」と口にした。
本田はアジアカップ日本代表優勝メンバー。清水時代は主にワンボランチで、球際の強さ、長短精度の高いパスで攻守に貢献してきた。
満男の欠場に対して、ヒゲくんの出場を期待する茨城新聞である。
今季、大型補強の目玉であるヒゲくんが公式戦に出場するとなれば、大きな話題となろう。
粘り強い守備と長短のパスで中盤を制するヒゲくんが、勝利に貢献する姿を早く観たい者も多いはずである。
アジアの頂点を目指すには、必要な戦力であるところを魅せて欲しい。
それが、今夜であるならば、とても嬉しい。今夜の試合は注目である。
ヒゲくんに期待したい。
柴崎、青森山田卒業式で「攻守もっと鍛える」…鹿島
卒業式に出席し、卒業証書と学園理事長賞を授与された柴崎
鹿島の新人MF柴崎岳が1日、青森山田高の卒業式に出席した。卒業証書と学園理事長賞を授与された。中学から6年間通った母校での生活について「サッカー漬けの毎日だった」と、さらり。ACL帯同メンバーから外れたこともあり「攻撃でも守備でも、足りないものをどんどん鍛えて補っていきたい」と向上心を胸に巣立った。
(2011年3月2日06時01分 スポーツ報知)
青森山田高卒業式、柴崎が櫛引がぽっちゃりが新天地へ決意
卒業式で校歌を斉唱する櫛引(左)と柴崎
青森山田高の卒業式が1日、同校体育館で行われ、J1・鹿島入りしたMF柴崎岳、清水入りしたGK櫛引政敏、ゴルフのぽっちゃり王子こと古田幸希らが出席した。数多くのプロを輩出する強豪・東北福祉大(仙台)に進む古田は、「卒業は寂しい。複雑な気持ち」と、しみじみと話した。
全国から生徒が集まる同校の中で、3人は地元・青森出身でクラスメート。それぞれ故郷を離れるが、柴崎が「県民の皆さんに、たくさん応援してもらった。鹿島でプレーしている姿を見せたい」と言えば、櫛引は「小学生の頃から(青森)山田のサッカーを見て育った。今度は自分が青森の子供に夢を与える」とキッパリ。2人に刺激を受けたか、古田も「石川(遼、19)君が目標。高校でやったことを大学につなげる」と、決意を口にした。地元愛を胸に、3人が新天地へと羽ばたいた。
(2011年3月2日12時07分 スポーツ報知)
卒業式に出席した柴崎である。
サッカー漬けであった学生生活とは、これで別れを告げたこととなる。
一つの節目を越え、一つ成長する事となろう。
これからは、オンとオフの使い道を覚え、集中力を養っていくのだ。
柴崎のこれからに期待大である。
卒業式に出席し、卒業証書と学園理事長賞を授与された柴崎
鹿島の新人MF柴崎岳が1日、青森山田高の卒業式に出席した。卒業証書と学園理事長賞を授与された。中学から6年間通った母校での生活について「サッカー漬けの毎日だった」と、さらり。ACL帯同メンバーから外れたこともあり「攻撃でも守備でも、足りないものをどんどん鍛えて補っていきたい」と向上心を胸に巣立った。
(2011年3月2日06時01分 スポーツ報知)
青森山田高卒業式、柴崎が櫛引がぽっちゃりが新天地へ決意
卒業式で校歌を斉唱する櫛引(左)と柴崎
青森山田高の卒業式が1日、同校体育館で行われ、J1・鹿島入りしたMF柴崎岳、清水入りしたGK櫛引政敏、ゴルフのぽっちゃり王子こと古田幸希らが出席した。数多くのプロを輩出する強豪・東北福祉大(仙台)に進む古田は、「卒業は寂しい。複雑な気持ち」と、しみじみと話した。
全国から生徒が集まる同校の中で、3人は地元・青森出身でクラスメート。それぞれ故郷を離れるが、柴崎が「県民の皆さんに、たくさん応援してもらった。鹿島でプレーしている姿を見せたい」と言えば、櫛引は「小学生の頃から(青森)山田のサッカーを見て育った。今度は自分が青森の子供に夢を与える」とキッパリ。2人に刺激を受けたか、古田も「石川(遼、19)君が目標。高校でやったことを大学につなげる」と、決意を口にした。地元愛を胸に、3人が新天地へと羽ばたいた。
(2011年3月2日12時07分 スポーツ報知)
卒業式に出席した柴崎である。
サッカー漬けであった学生生活とは、これで別れを告げたこととなる。
一つの節目を越え、一つ成長する事となろう。
これからは、オンとオフの使い道を覚え、集中力を養っていくのだ。
柴崎のこれからに期待大である。
鹿島が“ニセ情報”「小笠原は夜に合流予定」
ACL1次リーグH組 鹿島―上海申花戦 (3月2日 上海虹口足球場)
2日のACL1次リーグ初戦・上海申花戦(上海)に向けて、鹿島のオリベイラ監督が情報戦を仕掛けた。
今遠征は大黒柱のMF小笠原が右膝痛で同行を回避。1日の公式会見で中国人記者から「公式練習で(小笠原)主将の姿がなかったが?」との質問を受けた指揮官は「夜に合流する予定」と言い切った。だが、関係者によると小笠原に上海入りの予定はなく、なりふり構わぬ姿勢で相手をかく乱した形だ。
鹿島はアジア連盟の公式大会に過去8回出場しているが、98~99年アジアカップウィナーズ杯の3位が最高成績。悲願のアジア制覇に向け、今オフには即戦力候補4人を補強して選手層を厚くした。上海申花とはACLで過去3度対戦して1勝1分け1敗と五分。日本代表DF伊野波は「しっかりと勝利を収めて帰りたい」と力を込めた。
[ 2011年3月2日 06:00 ]
監督の粋なコメントに翻弄されてしまうスポニチである。
とはいえ、小笠原満男の欠場は大きなニュースであろう。
相手も、そして中国メディアも注目しておる。
しかしながら、今季の鹿島はそれをものともせぬ選手層を誇っておる。
代役となるであろう、誓志に、そして相棒となる青木に期待しておる。
楽しみな一戦である。
ACL1次リーグH組 鹿島―上海申花戦 (3月2日 上海虹口足球場)
2日のACL1次リーグ初戦・上海申花戦(上海)に向けて、鹿島のオリベイラ監督が情報戦を仕掛けた。
今遠征は大黒柱のMF小笠原が右膝痛で同行を回避。1日の公式会見で中国人記者から「公式練習で(小笠原)主将の姿がなかったが?」との質問を受けた指揮官は「夜に合流する予定」と言い切った。だが、関係者によると小笠原に上海入りの予定はなく、なりふり構わぬ姿勢で相手をかく乱した形だ。
鹿島はアジア連盟の公式大会に過去8回出場しているが、98~99年アジアカップウィナーズ杯の3位が最高成績。悲願のアジア制覇に向け、今オフには即戦力候補4人を補強して選手層を厚くした。上海申花とはACLで過去3度対戦して1勝1分け1敗と五分。日本代表DF伊野波は「しっかりと勝利を収めて帰りたい」と力を込めた。
[ 2011年3月2日 06:00 ]
監督の粋なコメントに翻弄されてしまうスポニチである。
とはいえ、小笠原満男の欠場は大きなニュースであろう。
相手も、そして中国メディアも注目しておる。
しかしながら、今季の鹿島はそれをものともせぬ選手層を誇っておる。
代役となるであろう、誓志に、そして相棒となる青木に期待しておる。
楽しみな一戦である。