無知の知

ほたるぶくろの日記

太一か大一か

2010-03-20 23:19:05 | 日記

この辺りではだいぶん桜のつぼみが膨らんできました。うっすらと色が見えているものもあります。確実に暖かくなってきて春が進んでいるのを感じます。例年この時期は身体の代謝の調整がはじまるせいか心理的にも落ち着かなくなるのですが、今年はかなりたんたんとしています。職場や家族、親類縁者には様々の動きがあって何かと忙しくもあるのですが、大事にはならずに済んでいます。
また、陰で助けて頂いている方々のことへ思いが及ぶようになったのも大きな変化でしょうか。沢山のかたの御蔭をいただいていることに気がつきますと、自分ができることをそっとやることもごく当たり前のことと思えるようになりました。そうして身の回りがすこしずつ穏やかで動きやすい環境になっているようです。
話しは変わりますが、先日、伊勢神宮の神職にあった方の書かれたもの(*)を読んでいて驚いたことがあります。式年遷宮に従事されるのは約10年間で述べ24万4千5百人。その中で神宮式年造営庁造営課に所属する方の作業服は常に白装束で、白い帽子やヘルメットの正面には「太一」という徽章がついているそうです。ご存知の通り「太一」は古代中国における哲学的概念であり、北極星、天帝をさします。そしておそらくはその思想が道教とともに日本に入り、天照太御神のことを指し示す言葉となったと考えられています。このことから、「太一」とは外来思想だという考え方があり、明治五年以降前回の平成五年の式年遷宮までは「大一」とされていたそうです。それが今回、平成17年からの造営では古くからの由緒を大事にし、「太一」に戻されたということでした。(*矢野憲一『伊勢神宮の衣食住』角川ソフィア文庫、平成20年)