巨星墜つ

2011年07月29日 08時23分03秒 | その他のかけら

小松左京氏が亡くなった。

心の成長期である十代、
SF小説は僕にとって心の糧だった。

忘れもしない中学生1年生の教室で、
同級生の大城君から勧められた1冊の本、
筒井康隆の『将軍が目醒めた時』が、
僕とSF小説との本格的な出会いだった。

それから筒井康隆をはじめ、
日本SF界第一世代、第二世代の作家たちの作品を貪るように読んだ。

その中に小松左京氏の作品もあった。

筒井、小松両氏の小説はすべて読んでいる。
そして現在にいたるまで繰り返し読んだ回数も、
お二人の小説が群を抜いている。

いわば筒井康隆の小説は僕の心の血であり、
小松左京の小説は僕の心の肉だった。

数年前、『日本沈没』の再映画化の折、
小松左京氏にお会いすることがあった。

自分の日々を記録した、
『規則と不規則のあいだ』を読み返したら、
2006年6月30日と同年7月2日のことだった。

放送作家という仕事をやっていてよかった。
心からそう思った出来事の一つだ。

あの時、もし過去に呼びかけることができるなら、
中学生時代の自分の自慢してやりたいと思ったものだ。
「今、小松左京さんと会って一緒に酒を飲んでいるんだぞ」と。

ちなみに7月2日のことは、
小松左京氏の日記『臥猪庵hic』にも書かれていて、
僕も登場する。
なんとも光栄な話である。

小説家への最大の追悼はその作品を読むことだと思う。

今日からしばらく小松左京氏の作品を読み返そう。

さて何から読もうか。