会計スキル・USCPA

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ポール・ライアン 共和党副大統領候補に ほんまかいな,そうかいな

2012-08-15 01:15:06 | 政治


いや、びっくりしたのなんのって。

ミット・ロムニーが副大統領候補に,共和党下院予算委員長のポールライアンを選んだって。

なんでびっくりか。
そもそも,ポール・ライアンは,あのギングリッジさえも,右派と呼ぶ,つまり,超右派で,

ギングリッッジの失言

ライアンの予算案を『右派のソーシャルエンジニアリング』と呼んだくらいなんですな。

その予算案っていうのは,メディケアをバウチャーシステム切り替えて民営化する,みたいなハナシなんですな。

この共和党予算案ですが,

老人達の反発を呼んで,ニューヨークの補選で,共和党候補が負けちゃった,と言われた位で。

ニューヨーク26区 潮目は変わったか←これにアップしている最後の動画はめちゃ面白いです。

とに角,共和党の極端な右方シストを象徴するような人で,副大統領に選ばれると聞くとちょいと驚いてしまうんですね。全国レベルの選挙に勝つにはマジョリティを取らねばならず,そのためにはセンターライトを狙わねばというのはギングリッジが言ってるんですよね。

だから,ロムニーの戦略としては,共和党候補として選ばれるまでは,我慢して右派におもねっておいて,本選で真ん中よりに戻して,オバマから離れた民主党支持者や,インディペンデントを狙うというのが,選挙戦略だろう,みたいなハナシもあったわけですが,

ここで,逆張の大ばくちに出たって感じですかね。


オバマケアでオバマから離れた老人の支持もこれで期待できなくなり,中絶や移民への姿勢で女性やマイノリティの票も厳しい,となると,こら共和党に勝ち目なしか,と思って,

ネットで,Face the nationとThisweekを久々にちょっとだけのぞいてみたら,

意外に,保守系の論者が勢いづいているんですね。


イデオロギー的に中途半端なロムニーに退屈していたところに,若くてハンサムで,あえて強烈な右路線を主張している,しかも実務にも強く詳細を把握してディベートにめちゃ強い男が,相棒としてやってきた,という感じで,期待感がひしひしと感じられたりして。

これだけ,右過ぎ,と言われ続けているわけですが,ちょいと中道に戻すなんて簡単でしょうし,ロムニーが中道色を出すと,本性が現れたと身内から批判されるだけでしょうが,ライアンなら大丈夫ぽいですな。ロムニーにはロムニーの予算案があるんで,そっちを支持すれば,共和党案には必ずしもこだわる必要もないかもですしね。主張をちとマイルドにするだけで,意外感が出て,支持が増えるかもですな。

いずれにせよ,中道的な副大統領候補を選ぶより,こっちの方が正解だったかも,と二つの番組をながめてみて,直観的に感じましたね。理屈で考えると,ムリムリな感じがするにも関わらずですね。このあたりは,ロムニーのホントにすごいとこ,なのかも。


保守サイドの反応は,そうだとして,ですよ。

もっと意外なことには,

アクセルロッドのようなオバマ陣営のアドバイザー達が,苛立っている感じが画面を通して伝わってくるような気がするんですな。

THISWEEKにアクセルロッドが出てるんですが,いつもよりこころなしか,苛立っている。FaceTheNationに出てるオバマ陣営の女性もナンカ落ち着かない感じです。

なんかあせってる感じがするんですよね。よくわかりませんが。


で,この動画です。

Paul Ryan 'Would Have to Consider' VP Nod


この動画,ことし3月にアップされてて,まだ,共和党でだれが本選にでることになるのかが決まるはるか前のころのハナシですが,


But one commentator who isn't shy about hiding his excitement for a Paul Ryan VP run? Fox's Chris Wallace ― who before interviewing Ryan on Sunday ― stopped by New York Fox affiliate WNYW.

Foxのクリス・ウォレスが,ポールライアンが副大統領候補になると良いんじゃないか,と言ってたというんですな。

"...when I seen him in meetings with President Obama on healthcare, the one guy that Obama won't mess with is Paul Ryan ... He knows you don't mess with Paul Ryan. He knows more about the budget than you do."

ヘルスケアに関するオバマ大統領とのミーティングで,ポール・ライアンを見かけた。オバマがかかわろうとしなかった一人の男,それがポール・ライアンだ。オバマはポール・ライアンと関わらない方が良いってことを知っているのさ。彼は予算について誰よりも詳しいってこと。


つまり,オバマは,ポールライアンに一目を置いていて,議論になるとやっかいだ,ということが良く分かっているということですな。オバマにとってイヤな相手なわけで。

多分,オバマ自身が,この決定に苛立っているんじゃあるまいか,それがアドバイザー達に伝わって,しかも,全く彼が選ばれることを予想できず,準備もしてなかったんであせっている,

と勝手な想像をしているんですけどね。

オバマの政治勘は第一級なんで,本当に苛立っているとしたら,ロムニーの選択はとりあえず成功って感じですかね。

今は,新キャラの登場に沸き立っているだけかも知れないんで,これがどう転がっていくかは追っかけてみないとわかりませんが,


いずれにせよ,退屈で死にそうになっていた大統領選が,これでまた,格段に面白くなることは間違いないですな。




ニューヨーク26区 潮目は変わったか

2011-06-01 01:15:00 | 政治
ちょっと前のことですが、ある選挙区の下院議員がスキャンダルで辞任に追い込まれたんで、補選が行われたんですな。

で、民主党の女性候補が勝った。


Democrat Kathy Hochul wins NY-26 [NBC: 5-24-2011]


この選挙、ただの補欠選挙じゃなくて、全米ってか、全世界注目の的になっていたんでした。

なんでか。

このレイチェル・マドウの番組を見てみるとよくわかります。

HILLARY USED TO EXPLAIN NY 26 - BACHMANN DEFENDS ENDING MEDICARE - HERMAN CAIN ATTACKS HILLARYCARE


これ、MSNBCの番組なんですが時々ここでもご紹介していますね。

完全にリベラル側に立ってますが、良くまとまってて、とても勉強になります。ジョン・スチュワートが、自分から電話をかけてインタビューに応じるぜ、とやったのもこの番組で、多分、沢山の人が見ている、評価の高い番組なんでしょうな。

で、この選挙なんですが、ニューヨーク26選挙区で行われていて、歴史的に共和党が強い地盤。ニューヨークと言えば、東部のリベラル地盤って感じなんですが、この26選挙区だけば、線引きが保守的な選挙民のいるところを囲い込んでいて、ずっと共和党候補が勝ってきた、年寄りの多い地盤なんだそうで。

こないだの中間選挙で共和党がティーパーティの風に乗ってぼろ勝ちしたこともあって、当然今回も勝つと思いきや、世論調査では、どうも、民主党候補が少し優位に立っている。今回の選挙は、民主党候補が勝つんじゃないか、
キャーッ、て感じです。

で、ホントに民主党候補が勝ってしまった。

この番狂わせに全米が注目しているのは、当然、来年の選挙を占うことになるからですね。
で、なんで、共和党候補が負けたのか。

この、共和党の、人気のある、若くてハンサム、弁舌さわやか、テレビ映りの良い、共和党大統領候補にだってなりかねないとこまで来ているお兄ちゃんの出した、共和党赤字削減案が、年寄りを怒らせちゃった、ってことでしょうか。

Paul Ryan: The President's Plan Does Not Save Medicare


詳しくは知らないんですが、メディケアシステムをぶっ壊して、民間の保険に切り替えさせる、つまり民営化するような案らしいんですな。

こういうなにがなんでも支出カット、という姿勢の背景には、当然ティーパーティの影響もあるには違いないんですが、この極端な共和党案に、老人達が反発して民主党候補を勝たせてしまった。

これが、どんだけ大きな意味を持っているかと言えば、こないだのエコノミストの記事を思い出すと良くわかります。

米国ベビーブーマーの政治パワー ロンドンエコノミスト


保険制度改革の中で,

オバマ大統領は,老人達を悪影響から守ろうとした。労働者は,雇用主が保険を提供している場合は,税金優遇が切り詰められ,金持ちは投資収入からメディケア税を払うことになるが,老人達はメディケアの拡大と適用される薬品のカバー範囲が広がった。
にもかかわらず,老人達は,オバマの改革に対しては反対の立場を変えることがなかった。『老人達はすでにヘルスケア保障を得ているのです。そして,人口の16%にあたる追加の保障を与えることが,老人達の利益を損なわないとは考えられないのです』
と,まあ前回の選挙では,共和党が,そこを突いて、老人達の支持を勝ち得たということなんですがね。


つまり、ベビーブーマーが引退する時代になって、老人世代の数が増えて政治パワーが大きくなっている中、

オバマケアで、オバマさんが老人達に脅威を与えてしまい、共和党支持に回らせて、前回の中間選挙で民主党がポロ負けした、という分析です。

これが、今回のボール・ライアンのムチャぶりによって、今度は、老人達は、民主党支持に回るようになったかもしれない、ということを意味するからなんですね。

ひょっとしたら、潮目が変わったかもしれないってことでして。

ドナルドトランプをやっつけたり、ビンラディンを殺したりして、最近、オバマさんの人気も回復してきているようで、民主党に風が吹き始めた、かも。



それにしても、この動画笑えます。

Liberal Group's Medicare Ad Shows Paul Ryan Throwing Grandma Off The Cliff


老人が、ボールライアンに擬せられた親切そうな若者に安心して車いすを押してもらっていると、海まで連れてこられて、突き落とされて・・・。