さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【読書録】中原の虹(2)

2024-03-18 23:57:01 | 読書録

浅田次郎/講談社

「蒼穹の昴」1〜4巻、「珍妃の井戸」「中元の虹(1)」を通じて、大きな存在感を放っていた偉大なる西太后が本巻でついに没する。映画ラストエンペラーの最初の場面を思い出しながらも、巨星の最後をじっと見守っている気分で読んだ。

著者は西太后を、中国三大悪女などとは思っていない。もし彼女の存在がなかったら、清はもっと早くに滅びてしまっていたであろう。それを頑張ってながらえさせたのだ・・という立場を取る。

また悲劇の皇帝として知られる光緒帝については、そもそもその改革が性急すぎたことが失敗だったとしている。

だから光緒帝=善:西太后=悪の図式で考えてしまうと、この小説を理解できないことになる。

では西太后の死に際し、幽閉されていた光緒帝は解放されることなく、彼が西太后の死の直前に死んでしまったのはなぜか。

こちらも西太后による毒殺説ではなく、自死説をとる。(実際、ヒ素で亡くなったことは証明されているが、犯人はわかっていない。)

秦建国時の話と、滅亡に瀕する時の話、はたまた張作霖の野望と子に託す夢を被らせながら描いており、袁世凱がとってもちっぽけに見える。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする