ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

立石涼子さん追悼

2020-08-14 10:48:36 | Weblog
立石涼子さんが亡くなられたと知って驚いている。
まだ68歳。数々のシェイクスピア作品で、欠かすことのできない役者さんだった。
初めて見たのは2010年3月、埼玉での「ヘンリー六世」(蜷川幸雄演出)だったか。
グロスター公爵夫人エリナーという高貴な役で、フランスからお輿入れした(成り上がり者の)王妃マーガレット(大竹しのぶ)に憎まれ、罠にかけられ、
夫と共に滅びてゆくという重要な役回り。
張りのある甘い声が魅力的だった。
そう言えば、その時の夫グロスター公爵役は、先年舞台上演中に突然死された中嶋しゅう氏だった。
この人についても、いずれ改めて書くことになるかも知れない。

それから忘れ難いのは2012年4月に見た「ガラスの動物園」(テネシー・ウィリアムズ作、長塚圭史演出、シアターコクーン)。
夫が失踪し、貧しい暮らしの中、過去の華やかな思い出に浸る母アマンダ役で、社会的適応性のない娘(深津絵里)の将来を案じ、息子(瑛太)と対立。
「(私に無駄に)散財させて(どうしてくれるのよ)!」というセリフなど、未だに耳に残っている。
先の見通しの立たない哀れな娘のために画策する母親役がぴったりで、胸が締めつけられた。

その後も2012年の冬に「日の浦姫物語」、そして2013年春、埼玉で「ヘンリー四世」(蜷川幸雄演出)を見た。
「ヘンリー四世」では、下町の怪しい店の女主人クイックリー夫人役。
やんごとなき貴婦人から、こうした下賤な女まで演じ分けられる人は、なかなかいない。
今思い浮かぶのは、那須佐代子と大竹しのぶくらいだ。

最後に見たのは、2018年の「近松心中物語」(いのうえひでのり演出、新国立劇場中劇場)。
遊女梅川(宮沢りえ)に惚れた挙句、ついに封印切りしてしまう義理の息子・忠兵衛(堤真一)のとばっちりを受けて、お縄を頂戴する哀れな老母の役だった。
役柄とは言え、いつもよりずっと老けて見え、もっと若くて溌剌とした役の方が似合うのにもったいない、とその時は思ったが、もしかすると、体調も
既にあまりよくなかったのかも知れない。
これからもう二度とこの人を見ることがかなわないのかと思うと、本当に悲しい。
立石涼子さん
あなたに出会えたこと、感謝しています。
いくつもの素敵な舞台をありがとうございました。
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