ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

イプセン作「幽霊」

2014-06-02 17:15:58 | 芝居
3月28日シアターコクーンで、イプセン作「幽霊」をみた(演出:森新太郎)。

愛のない結婚を否定しつつも世間体に縛られて放縦な夫のもとに留まり、夫亡き後も家名を守るため偽善に終始してきたアルヴィング夫人。
夫の偽りの名誉を称える記念式典を前に、可愛い一人息子のオスヴァルが、病を患って留学先から帰国する。
オスヴァルは夫人の召使いレギーネとの結婚願望を母親に打ち明けるが、彼女は亡き父が当時の女中に産ませた異母妹だった…。

状況が少しずつ明らかになってゆくが、しまいには救いのない結末が訪れる。まさに「親の因果が子に報い」。

チラシによれば、「1881年に発表され、当時の社会ではタブーとされる問題に果敢に切り込んだため、決して上演が認められなかった
イプセンの問題作」とのこと。タブーとは何だろうか。一家の主人が女中に手を出すことか。階級社会ゆえにそういうことが起こると、
レギーネの母のように、即何とかうまく隠してしまったのだろう。そう言えば、デンマークの哲学者キルケゴールの場合も、母は父の女中
だった(後に正妻になるが)。そのことを知って、彼は苦しんだのだった。

牧師マンデルス役の吉見一豊は、いつもながら達者な演技で安心して見ていられる。
夫人役の安蘭けいはうまいが、必要以上に笑いを誘うような演技が見られ、違和感があった。演出家の意図なのか。
レギーネ役の松岡茉優はなかなかの好演。
息子役の忍成修吾は体のバネが効いている。

タイトルの意味するところがイマイチよく分からない。セリフにもちょっと出てきたが。

若く健康で生命力に溢れたレギーネと、同様に若いにもかかわらず病のために未来に希望の持てないオスヴァルとの対比が鮮やか。


コメント
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