ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

井上ひさし作「たいこどんどん」

2011-06-10 21:49:28 | 芝居
5月24日シアターコクーンで、井上ひさし作「たいこどんどん」を見た(演出:蜷川幸雄)。

井上が自らの小説「江戸の夕立ち」を劇化した1975年の作品とか。
江戸末期。薬種問屋の跡取り息子と忠実なたいこ持ちとが、ひょんなことから品川沖を漂流。東北の港に流れ着いた二人の行く手には波乱の運命が待ち受ける。

舞台奥が時々全面鏡になる。これは蜷川さんのよくやる手だが、この芝居には合わないのではないだろうか。

太鼓持ちの桃八役の古田新太は、相変わらず達者な演技で楽しませてくれるが、冒頭の自己紹介のくだりが聞き取り辛い。意外と滑舌が悪いようだ。
セリフは聞こえてなんぼのものなのだから、ぜひとも練習して改良してもらいたい。

若旦那役の中村橋之助は声があまりよくないが、桃八に迷惑ばかりかける情けない優男の雰囲気をよく出している。

色気と言えばこの人、鈴木京香さんだが、彼女は二人が行く先々で出会う女性を何役も演じ分けて大活躍。
しかも今回彼女が東北弁を流暢に話すのを聴くという得難い経験ができた。
美しく色気たっぷりで、しかもいつもながら凄味のある役がまたぴったり。
今までテレビ女優だと思っていたが、初めてみた舞台は立派なものだった。

山賊に捕まり絶体絶命という時に、桃八が山賊の頭に「考え物」つまりクイズを出す。それが面白い。まるでアラビアンナイトのようだ。

音楽は民謡はいいが、オリジナルの合唱曲が最悪。聞くに堪えない。
民謡の合唱が多く、その歌詞が(日本語なのに)字幕で出るのがありがたい。

東北の猥雑で泥臭い風土が印象深い。思いっきり卑猥な言葉も呆気に取られているうちに過ぎてゆく。
東北弁の快い波に揺られ翻弄されて・・いやあ、えがったえがった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする