

透明「恵那ちゃん


その場で泣き崩れる恵那ちゃんを
支えながら、何があったのかを聞き出す

恵那「しほちゃんが・・・ぐすっ

園に連絡があって・・・ぐすっ・・・
危篤だって・・・・

透明「


少し待っててくれるかな

恵那「うん・・・

・・・今日は・・・うん


この後の予約も遅いし、じゅうぶん行って
帰ってこれるな

透明「恵那ちゃん


私は恵那ちゃんを連れ、一路しほさんのいる
病院へ車を走らせる



しほさんは、1ヶ月ほど前から風邪をこじらせ
病院に入院していたようだ・・・。
透明「・・・よし


病院に着いた私達は、急いでしほさんの病室へ入る

辺りは重苦しい空気と家族の心配する感情が流れていた・・・。
透明「失礼します

信一「せ、先生

透明「しほさんは

信一「まだ、微かに意識はあるようですが・・・

恵那「しほちゃん・・・ぐすっ・・・

透明「少し、話をさせていただけますか

信一「どうぞどうぞ


私は、しほさんのベッドの側に行き、
彼女の耳元で呼びかける・・・。
透明「しほさん・・・透明です

しほ「・・・・・

その言葉を聞いてしほさんの意識が突然もどる

しほ「せ・ん・・せ・・い

微かな声が響く・・・。
ご家族「

恵那「

透明「ここにいますよ

よく頑張りましたね

しほ「・・・せんせい・・・・
わたし・・・もういくのかしら・・・。」
一瞬答えに詰まる

だが、嘘をついてはいけない気がした・・・。
透明「・・・ええ・・・でも、安心してください

私も旦那様もついていますからね

しほ「はぁ~・・・よかった・・・
もう、いいのね・・・・・・
あっちで・・・あのひとと・・・
あえるかしら・・・・・・・・・。」
透明「大丈夫ですよ

私には、しほさんの寿命が尽きかけているのが視える・・・。
必死に感情を抑えながら、しほさんの言葉に
返事を返してゆく・・・

しほ「・・・はぁ~・・・いいじんせいだった。
・・・かわいいこどもたちと・・・
わたしをしたってくれる・・・ひとたち・・・
・・・わたし・・・ぜいたくね・・・

透明「ぐっ


大好きなんですよ

しほ「・・・うふふっ・・・ありがとう・・・

そう言うと、しほさんは優しい笑みを浮かべながら
意識を失ってしまった。
皆、しほさんに心配かけまいと、涙をこらえながらも
しほさんの側から離れようとはしなかった・・・。
それから十数分後・・・。
しほさんは、優しい表情を浮かべたまま
この世を旅立っていった

信一「先生



ありがとうございました

透明「信一さん・・・私は、沢山のことを
しほさんから教えていただきました・・・・
お礼を言いたいのは私の方です

しほさんが、息を引き取ったとき、
旦那様が迎えにこられたのが視えました
旦那様は優しい表情でしほさんの手を引き
しほさんも本当に幸せそうでした・・・

こんなに、深く結びついたご家族を
私は見たことが無い

本当に本当に素晴らしい生き方を
されたことがよ~くわかります

ここに立ち会わせていただいたこと、
心から感謝しています

本当にありがとうございました

その後、私は泣きじゃくる恵那ちゃんを園まで送り
一人 次の鑑定へと向かっていた・・・。
私はその車中で色々なことを考える

この世に生まれて、人となりて生きて行くということは、
あの世に帰るときにこそ、その真価がとわれる

私はしほさんのように、よい人生だったと
胸を張り言える生き方が出来ているのか

沢山の想いを胸に抱えて納得して帰ることが出来るのか

今の私には答えが出ない・・・

けれど、いつの日か、しほさんのように
胸を張り、よい人生だったと言える生き方を
したいと心に誓う


改めて感じることが出来たことを、しほさんに感謝します

完
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