Le ton fait la chanson,le ton ne fait pas la chanson.

<創る>がテーマのアイディア帳。つくるココロを育てます pour votre creation d'avenir

『 OKINAWAパン 』

2009-10-15 | ●Conte 物語の部屋

    朝イチで、軟骨ソーキ(そば)を食べるために、ある市場に出かける。 まだシャッターの開かない長い長い商店街を抜けると、年季を感じる市場が現れる。 そのチョイスした店は、市場の外にあり、24時間営業。 屋台のようなタイプの店舗だ。

    夫婦らしき2人で店を切り盛りしていた。 大鍋で取られるそばのダシの横に、大量のかつお節(沖縄らしく、たぶん血合い抜きのもの)が置かれていた。

    カウンターでは、明け方の仕事帰りのタクシー運転手もソーキそばを食べている。 吹きっさらしのその店は、雨の時はどういう風にするんだろうといらぬ心配をしていると、注文した軟骨ソーキが私の前に運ばれてきた。

  朝の静かな光が道路を照らし始める。 

   ソーキを食べ終え、市場の中を通ってみる。 噂の(単に私の中で。)島人参が売っているのを見たり、袋に大量につめこまれている野菜。 これは買って帰るのもなんだな。。  そのまま市場を抜けると、○○パンと書かれた赤色の店舗が目に入ってきた。 店の前に並べてある、グレーのパン用コンテナの中に、袋に入った沢山のパン。 店の中は倉庫のようになっていて、パンはあくまで店の外で売られていた。 しかし店主らしき人は見当たらない。

    

  私は、ゆっくり、店との距離を詰めた。(簡単にいうと、店に近づいた。)

  端の方のコンテナをちょっと見ていると、反対端のコンテナのほうに、おじさんの客が近づいてきた。 倉庫っぽい店の中をのぞく。 やはり店主らしき人はいないようだ。 すると、パンやの隣の金物屋の店頭に立っていたおじさんが、パン屋のほうにやってきた。 そして、パン屋の店の中に向かって、「オーイ。おきゃくさーん。(沖縄のイントネーションで)」と言った。 しかし気配なし。

  おじさんの客は、金物屋のおじさんに、「いつも、食パン買ってるんだけど。」と話始める。 その後2人は20秒ほど話していたが、私にはさっぱり、何を言ってるのか判らなかった。  プチ異国気分。 まもなく、客のおじさんは、食パンを買い、金物屋のおじさんにお金を渡して帰っていった。 次は私の番。 どれを買おうか、パンを吟味していると、「パン、1つ80円だよ。」 。。。2秒の沈黙。 一つ一つのパンの袋には、100円と書かれていたからだ。 私は、「100円って書いてありますよ?」。。。1秒の沈黙。 すると、おじさん、「店の人が帰ってくる前だったら、80円でいいよ^-^」 一瞬にして、その言葉の意味を理解した。 隣の金物屋のおじさんは、隣の店のよしみでいつもパンを当たり前のように80円で買っているからこう言ってしまったに違いない。  「わー。ありがとう☆」私はその恩恵に預かって、2個パンを買った。  

 次回、もし来ても、同じことは2度と起こらないであろうことは断言できる。  ちょっとした偶然の積み重ね。 そしてそれは必然である出来事。

                



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