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京都SFフェスティバル2014 極私的レポート

 星群が京都で例会をやっていたころは毎月、いや、星群祭直前ともなると毎週のように京都へ行っていたが、最近はあまり京都へは行かない。それでも、毎年、10月のこの時期は京都へ行く。
京都SFフェスティバルである。10月11日。今年も行ってきた。会場はいつもの京都教育文化センター。京大病院の前である。もよりの駅は京阪神宮丸太町。神戸から行くには不便なとこである、神戸から京阪に乗ろうと思えば、大阪は亰橋か北浜まで行かなければならない。遠回りである。JRで行く。JR京都からタクシーに乗る。
開会の11時を数分過ぎて到着。こんな時間に着くと、毎年なら座れないが、今年は空席があり座れた。
 最初の企画。「アニメとサイエンス・フィクション、その系譜」
 出演:山川賢一氏 稲葉振一郎氏
 アニメ、特撮関連の番組とSF的側面から見た考察。ほとんど山川氏ひとりでしゃべっている。アニメも特撮にも興味のない小生は、やくたいもないことを若いヤツがうだうだしゃべっているだけ。ときおり庵野は、これについてはこういっている、と言及。庵野秀明のことだと思うが、庵野って基準となるような、そんなエライご仁だったかな。企画も終わろかいなという段になって稲葉氏がだらだらとしゃべりはじめる。定刻をすぎても終わらない。こっちはハラへって、早よメシ食いに行きたいのに。
やっと稲葉のだらだらしゃべりが終わる。いつものメンツといつものレストラン十両へ。このへんでは適当な昼食を食べられるところはここしかない。いつもは空いてるのだが、なぜかこの日は満員。一番早そうなモノということでサービスランチ和食を注文。メインのサンマが品切れサバの塩焼きにしてくれとのこと。しゃあないな。結局、小生のが一番あと。
 午後の一番目は「ショートショートの縦*横*高さ」ショートショート作家のきまぐれ放談。
 出演:井上雅彦氏、江坂遊氏、太田忠治氏、田丸雅智氏。
 司会は一番若い田丸氏。最初に江坂氏がショートショートの歴史概略について講義。江坂氏もチャチャヤングを聞いていたそうな。ショートショートコーナーにも投稿したそうだが採用されなかったとのこと。
そのあと、ショートショートの魅力を、読者側、書き手側からの考察。江坂氏によればショートショートの魅力は「量」読むにしても書くにしても「量」がこなせる。井上氏はショートショートは居合だとのこと。一瞬でスパッと斬る。最近はショートショートが見直されているとのこと。ショートショート好きの小生としてもうれしいことだ。
 企画その3は「精神医学とSF」
 出演:風野春樹氏、宮内悠介氏
 現在、火星の精神病院を舞台にした作品を執筆中の宮内氏と、精神科医でSFブックレビュアーの風野氏の対談。主に宮内氏が精神医学のSFネタについて風野氏に聞くという展開だが、お二人ともおしゃべりは決してうまいとはいえず、会話がしばしば途切れて、気まずい沈黙が流れる。この企画は失敗であった。
 さて、最後の企画「いい女VSいい女」スリップストリーム文学の西と東 
 出演:岸本佐知子氏、藤野香織氏
 翻訳家の岸本氏と芥川賞作家の藤野氏の対談。この企画が一番楽しめた。企画のタイトル通り、いい女お二人の対談。しかしこんなタイトルの対談に平然と出る二人はさすがモノ書き。そんなもん気にしちゃいない。実際、お二人ともほんとにいい女なんだからシャレが通じる。
まず、お二人ともスリップストリームとはなんかよう判らんとのこと。大森望に聞くと、「あんたらがやってる仕事だ」ということだそう。
 二人のおススメ本のリストが先に配られている。それで、それぞれの本について紹介しつつ、つっこみあいつつ話を進める。この二人の好きな本というのが妙な本ばかり。ホラーにようなオカルトのような、なんとも分類不能な本。異様な本の話でいい女二人が大盛り上がり。抱腹絶倒の対談であった。いい女は知性がある。知性がある女はいい女である。
と、こういうわけで今年の京都SFフェスティバルも無事終わった。京都大学SF研究会の諸君、どうもご苦労様。来年も楽しみにしてるぞ。    
   
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北国の帝王


監督 ロバート・アルドリッチ
出演 リー・マービン、アーネスト・ボーグナイン、キース・キャラダイン

 ハリウッドのおっさん映画の最高峰というと、なんといっても「ワイルドバンチ」初老の盛りを過ぎた強盗団のおっさん4人が200人のメキシコ軍相手に大たちまわりする名作西部劇であった。
 その「ワイルドバンチ」に並ぶおっさん映画といえば、この「北国の帝王」だろう。加齢臭をプンプンさせながら、リー・マービン、アーネスト・ボーグナインというハリウッドきっての濃いおっさん二人がガチンコ対決。
 時は、不景気まっただ中1930年代。アメリカはオレゴン。山の中を蒸気機関車が走る。ホーボーと呼ばれる宿無し職無しの流れ者のおっさんが汽車に飛び乗る。もちろんタダ乗り。それを見つけた鬼瓦みたいな車掌が、ハンマーでおっさんの頭をどついて、汽車からたたき落とす。おっさん汽車にひかれて真っ二つ。
 この鬼瓦車掌はシャックといって「タダ乗りは絶対ゆるさん。俺の列車にタダ乗りするヤツはブチ殺す」演じるはボーグナイン。
 一方、タダ乗り名人として、ホーボー仲間の尊敬を集めるのはA・ナンバーワンとよばれる初老のおっさん。演じるのがマービン。このA・ナンバーワンだけが、シャック鬼瓦車掌の19号列車にタダ乗りする。
 絶対タダ乗りさせない車掌VSどんな汽車にも必ずタダ乗りするホーボー。ま、この映画、ようするにこの二人の対決を描いたもの。この二人のあいだで未熟な若造がちょろちょろするが、化けもんみたいなおっさん二人とは勝負にならない。
 汽車のタダ乗り。こんなことに男の意地をかけて、ええ年こいたおっさんふたりが血みどろのケンカをくりひろげる。ま、あほらしいちゃ、こんなあほらしい話もないが、そこは、それ、マービン、ボーグナインという重量級役者の芸で魅せられてしまう。マービンのシブさと、大目玉をむいたボーグナインの顔芸で大いに楽しめる。これぞ「男」の映画ぞ。
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