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とつぜんコラム№118 首相を育てよう

 ご本人はそんなつもりはさらさらないかとご推察申し上げるが、どうも周囲がそれを許さないらしい。野党ばかりか、身内の民主党内部からも早期退陣を求める声が巻き起こっている。
 菅総理のこと。みなさん、菅さんには一刻も早く首相を辞めてもらいたいらしい。1分1秒でも菅さんが首相でいることががまんできないようすだ。菅さんさえ辞めれば震災復興も原発事故も赤字財政も、なにもかもうまく行くらしい。
 菅さんもずいぶん嫌われたようだ。正直、菅さんがなぜこんな嫌われるのか判らない。企業からやましい金をもらったとか、公私混同して身内を重用したとか、別段悪いことをしたわけではないだろう。しいていうなら、何かをしたから悪いのではなくて、何もしないから悪いのだ、ということだろうか。それにしても「菅はなっとらん」「菅ではダメだ」「菅さえ辞めれば」と、少し異常な感じがする。国民は本当に菅さんはダメだと思っているのだろうか。自民党公明党の野党と、民主党の小沢一味の思惑と、これらの連中の意を受けたマスコミの「菅ダメ」の大合唱についつられて「菅は降ろせ」の風潮に乗せられているような気がする。
 菅さんは確かに従来の首相とは少々毛色が違う。有名政治家の世襲ではない。官僚出身でもない。市民運動家出身で、あの市川房江さんの弟子ともいうべき人である。だから、今までの首相とは勝手が違う。どう扱ったらいいか判らない首相に見えたのだろう。こんな扱い難い首相ではダメとなったのではないか。
 小生は菅首相続投でも悪くはないかと思うが、現実問題として、近いうちに辞任となるだろう。で、菅さんの次はだれがなる。岡田さんか枝野さんか、また前畑さんか、ひょっとすると大連立で暫定的に谷垣さんかもしれない。いずれにしても、だれが次期首相になるにしても、何ヶ月がまんできるかな、みなさん。半年も経たないうちから、××はだめた。××では本格的な復興はできない。となるのではないか。だったら菅さんのままでもいいのではないのか。
 もうこんな首相のつまみ食いはやめようではないか。最低でも2年は首相を務めてもらおうではないか。昔の政治家のように歴史に名を残すような大宰相なら、首相に就任した時にはすでに完成された政治家であったのだろう。そのような人物ならば、助走期間なしにいきなり首相としての仕事ができるだろう。ところが今の政治家に、そのような、できあがった「首相」を求めても、ないものねだりである。
 未完成の首相ならば、国民みんなで育てることが必要ではないのか。未完成の人物を首相にまつりあげておいて、首相として完成していないからダメだ。これでは1年程度で首相がコロコロ替わるのも当然だ。こんなにトップが替わる国と、腰をすえた外交ができるであろうか。イギリスあたりから「日本の首相は回転ドア」といわれるのもムベなるかな。
 なあ、みなさん。次の首相はだれがなるか知らないが、だれがなっても、ここはひとつ長い目で見てやろうじゃないか。地位が人を育てるという言葉がある。数ヶ月で拙速に判断せず、じっくり見てやろうじゃないか。どうせだれが首相になっても同じ、という人が多いだろう。だれがやっても同じなら、その時の首相に続投してもらってもいいのでは。次の人で良くなるという保証はない。次の人で悪くなるかもしれない。首相の試食はもう存分にやっただろう。
試食もこれだけやれば無料ではなくなる。
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