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4月8日(水) 阪神、広島に快勝。金本3連続ホームラン!

 まったく恐れ入った41歳だ。なに、金本のこと。きのう、あんな劇的なサヨナラ逆転ヒットを打ったかと思ったら、今日は3打席連続ホームラン。あの1985年バース、掛布、岡田の伝説の3連続ホームランを一人でやってしまったんだから。すごいとしかいいようがない。
 金本、今日は全打席打点。一人7打点。弟の新井もホームラン。阪神の8点は4番5番でたたき出したもの。広島も阪神とヒットの数は同じ11本。小生、ホームランは勝利にあまり貢献しないという持論だが、こんな試合を見せられると考えを改めなければいけないのかな。
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とつぜんリストラ風雪記 26 

とつぜんリストラ風雪記 25

 2005年1月15日にMK産業をクビになるが、2004年12月から本格的に求職活動を展開していた。2度目の求職活動である。2度目ともなると、慣れたもので、手順もコツも判っている。4年間の小生の求職活動中で、一番、充実して効率の良い活動をしたのはこの時期だった。

2004年11月19日(金)
 KJ電機に面接に行く。実はこの会社での面接は2度目。この年の4月23日に一度面接を受けている。その時はかなり良い感触を得た。不採用ではあったが、相手も良い印象を受けていたらしい。連絡して、2度目の面接ですが、というと相手も覚えていてくれた。なんでも、その時採用になった人が辞めたらしい。かなり期待が持てる。

11月22日(月)
 KJ電機から不採用の連絡。大きな期待を持っていたから、落胆も大きい。この会社とは縁が無かったという事だ。

11月26日(金)
 東大阪の金属加工会社に面接に行く。社長が面接をする予定だったが、急用とかで、80を越えた老婆が面接。社長の母親らしい。小生も沢山の人に面接をしてもらったが、この時の面接が、小生に面接してくれた人の最高年齢記録。老婆に書類を手渡して、15秒で面接を終わる。不採用。

12月9日(木)
 N電子より電話。この会社、小生宅のすぐ近所の会社。とつぜんリストラ風雪記17で紹介したエピソードの会社である。あの時、数ヵ月後、総務部長から電話があったと記したが、その電話がこの日の電話。面接をしたいとのこと。
 N電子の社長も総務部長も小生のことを覚えていてくれたのだ。4年間の求職活動中、実に沢山の会社と接触した。書類を送付しただけの会社から、面接をした会社まで。その中には、非常に不愉快な思いをさせ、怒りを覚えた会社もあった。また、逆に誠実な対応を見せ、ものすごく好感を持った会社もあった。このN電子は一番好感を持った会社。二番目は2回も面接の機会を与えてくれたKJ電機だ。結果として、この2社とは縁がなかったが、小生は、この2社の発展を心から祈っている。そして、あの会社とあの会社にはいまだにハラを立てている。N電子とKJ電機に栄光あれ。あの会社とあの会社に呪いあれ。

12月10日(金) 
 梅田ハローワークへ。この日は大漁。4件収穫有り。しかも4件とも、来週に面接となった。N電子の面接も含めて来週は5日を面接に費やす。MK産業に1週間休むと電話する。

12月13日(月)
 さあ、怒涛の面接5連チャンの始まり。いくらなんでも、どこかに採用されるだろう。
 U工業で面接。この面接で驚いたことがあった。交通費が出た。4年間の求職活動中で交通費がでたのは、この時だけだった。なんでも関東では面接に来た人に交通費を出す会社が結構あるらしい。

12月14日(火)
 枚方のT社で面接。昨日より少し手ごたえを感じる。神戸から枚方までの通勤は大変そう。

12月15日(水)
 M運輸で面接。仕事は半導体倉庫の管理。若い専務が面接をしてくれた。若いがなかなかしっかりした人物と見る。好感を持つ。

12月16日(木)
 向日町市のTM社で面接。神戸から向日町市までの通勤は大変そう。面接の場で、ダイカスト加工した製品をゴロリと机の上に出して、見積もりしてみろといわれる。小生の専門分野外。さっぱり判らない。時間と交通費のムダであった。

12月17日(金)
 N電子で面接。総務部長と数ヶ月ぶりの再会。まず、小生に声をかけてくれたことにお礼を述べる。資材部でアルバイトが必要になった。来てくれないかとのこと。もし、この時点でMK産業を退職していたのならば、すぐこの話に乗っただろう。しかし、MK産業には1月15日まで在籍できる。
 小生、ブランクは作らない求職活動をやっているつもり。絶対に1月15日までに再就職するつもりでいた。N電子は長期のアルバイトを希望。正月休みがあるから、この時点でOKしても1ヶ月足らずでせっかくのアルバイトを辞める事になる。急いでおられる様子。1月15日まで待ってくれなんぞという勝手なことはできない。いずれにしてもN電子に迷惑をかけることになる。丁重にお断りした。
 さて、来週には、怒涛の面接5連チャンの結果が出る。
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4月7日(火)その2 さすが金本、阪神劇的なサヨナラ勝ち

 今日は先日亡くなった、露の五郎兵衛師匠の追悼番組を「上方演芸ホール」でやっていたので、それを観ていた。演目は「猫の災難」非常にディープな大阪を感じさせる五郎兵衛師匠の落語だった。 
 と、いうわけで阪神VS広島は5回の表の栗原がホームランを打ったとこまで観て、いったんHDDに録画してあった落語を観る。
 で、落語を見終わって阪神VS広島に戻る。9回裏で8対10で阪神が負けている。1アウト1、2塁、バッター平野という場面だった。平野レフトフライ。鳥谷タイムリーで1点返す。2アウト1、2塁というところで金本。絶好のお膳立てができた。そしてフルカウント。あとストライク1つで試合終了阪神負け、というところで、さすがアニキ、打つんだなあこれが。11対10で阪神逆転サヨナラ勝ち。
 これが4番の仕事ですな。まことにあっぱれな41歳。 寝てたメンチも猛打賞のお寝覚め。オマリーさん、これで安心してアメリカへ帰れるな。
 しかし、金本。すごいとしかいいようがない。
 それはそれとして、ピッチャー陣、10点も取られたらアカンわ。矢野早よ帰ってきて。



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4月7日(火) 思い上がるなミシュラン

 世界的に有名なレストランガイド「ミシュランガイド」の日本版が、東京版に続いて、京都・大阪版も10月に発行される。
 ミシュランは、判断基準として「皿に乗った料理だけで判断する」また、「掲載拒否されても、読者に紹介しようとミシュランが判断すれば掲載する」といっている。
 法的には、看板を出して商売をしていたら、掲載拒否を求めるのは難しいらしい。拒否しているのに強引に掲載して、店の雰囲気が変わり、実質的な被害が出れば損害賠償を請求できるかもしれないとか。
 小生は、店が掲載拒否すれば掲載すべきではないと思う。だいたい、ミシュランの姿勢に非常に高慢なものが感じられる。「一般のグルメ雑誌とは違う」「ミシュランガイドに載せてやるんだ光栄と思え」「客が増えてありがたいだろう」と、ミシュランが思っていると、小生は感じるのだが。
「一般のグルメ雑誌とは違う」この言葉は、実際にガイドブックの発行責任者が口にした。どう違うのだろう。たかが、タイヤ屋がドライバー向けに、おまけで出していた本じゃないか。思い上がるな。
 ミシュランは1900年の発行。たかだか100年ほど。京都の料亭ともなると100年以上の歴史と伝統をもつ店がたくさんある。例えば南禅寺の瓢亭などは300年以上の歴史がある。そんな店をタイヤ屋が取材して正当な評価ができるのか。
 あまたある料亭レストランの中にはミシュランの価値観とは違う価値観の店があることを、ミシュランは理解しているのだろうか。納得のいく料理を、その店の考えを、本当に理解してくれる客に提供して行きたい。そのため、客数は多くを望まない。店を維持できるだけの客数があればいい。利潤より、店の雰囲気、納得のいく味を大切に守りたい。
 こういう店が嫌だといっているのにミシュランが強引に掲載したらどうなる。ミシュランに載っていたというだけで、ミーハーな客が一時にどっと押し寄せる。店主がなによりも大切に守りたい、店の雰囲気、納得のいく味が破壊されはしないか。掲載するならミシュランと同じ価値観を持った店主の店だけにすべきだ。価値観の違う店は掲載すべきではない。
 ミシュランのいう「皿に乗った料理だけで判断する」というのも疑問だ。料理は、ただ口に入れる食品だけで判断できるものではないだろう。店のインテリア。調度、スタッフの接客など、皿の上以外も判断材料に入れるべきだ。特に日本料理は非常に繊細で、座敷の雰囲気、床の間の軸、生け花、外に見える庭、鹿おどしの音、それになにより器、これらが有機的にからまって日本料理という総合芸術を形成しているのだ。ミシュランが当初相手にしていたガサツなヨーロッパの料理とは違うのだ。なんだか海原雄山みたいなこというけれど。
 小生は会社での昼食は愛妻弁当だ。もちろんおいしい。ところがこの弁当の味が違うことがある。作る人が同じだから同じ味のはずだが。
 小生は2002年にリストラされて、今の会社に落ち着くまで、5社の会社を転々とした。5社の会社で愛妻弁当を食べてきた。実は今の会社で食べる弁当が一番おいしい。
 3社目の会社では社員食堂で食べていた。なぜか判らないが、自席で食べることは禁じられていた。ここで食べた弁当は実にまずかった。この会社には気の合う人は一人いなくて、しかもこの社員食堂の雰囲気がじつに暗い。みんな押し黙って、もくもくと昼食を食べていた。ここで食べる弁当は砂を噛むようだった。
 このように、食べ物は様々な要素で味が大きく違うのだ。それを「皿に乗った料理だけで判断する」なんぞいっているとは、料理というものを理解しているとは思えない。
 
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仁義なき戦い


監督 深作欣二
出演 菅原文太、金子信雄、松方弘樹、梅宮辰夫、内田朝雄、田中邦衛

 高倉健の「昭和残侠伝」藤純子の「緋牡丹博徒」に代表される、勧善懲悪、様式美の任侠映画から脱し、「実録路線」のヤクザ映画の嚆矢となった映画。この映画に善玉、悪玉はいない。観客が感情移入しやすいように、主人公サイドの人間、それと敵対する人間に分類されているだけ。と、いうより、登場人物全員が悪役といっていいだろう。
 オープニングは終戦直後の広島の闇市。原爆という巨大な暴力にさらされたばかりの広島で、食い詰めた復員兵、街の女、ガラの悪い進駐軍など欲望むき出しの群集がうごめいている。
 進駐軍が女を集団で襲う。それを助けようとしてアメリカ兵に喧嘩をふっかける主人公。いきなり暴力シーン。この群集シーン、暴力シーンは手持ちカメラで撮影され、画面がグラグラ揺れる。異様な迫力。乗り物酔いに似た感じになる。
 主人公、広能昌三は呉の山守組に入る。その後山守組は、組長山守義雄の才覚、組員広能、坂井らの働きで、他の組との抗争を繰り広げながら、大きな組へと成長して行く。この映画、ストーリーを紹介してもあまり意味はない。あの組とこの組は敵対していて、その組とは友好関係。この組は、あの組の傘下ではあるが、この組の幹部は、あの組と敵対しているその組の若頭と兄弟分。同じ組でも、いくつかの派閥に分かれていて内部抗争をやっている。そして、友好関係だったのが、次のシーンでは誰かの裏切りで敵対するし、殺し合いをやっていたのが、仲良く手打ちをしている。
 ストーリーを追う必要はない。欲望をぎらぎらたぎらせた、男たちの殺し殺され、裏切り、裏切られを見ていればいい。暴力シーンはひたすらみっともなくこっけいだ。主に凶器は拳銃を使っているが、飛び道具でありながら、ごく至近距離から何発も撃つ。あたかも、拳銃をドスのように使う。
 この映画の登場人物は、こんなことをしなくては、終戦直後の混乱期を生き延びれなかったのだろう。しかし、小生の親たちは、こういうことをしなくても生き延びて、小生たちを産んだ。ところが「仁義なき戦い」を繰り広げたヤクザたちは、これしか生き延びるすべを知らなかったのだろうか。別の方法もあったろうに。それを観ていると、大変に哀しく、かつ滑稽で可笑しい。この映画、活劇ではなく悲喜劇として観た方が正解かもしれない。

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4月5日(日) 阪神、開幕3連戦負け越し

 阪神VSヤクルト。7対6で阪神の負け。う~む、開幕3連戦で早速負け越しか。去年は開幕以来、1ヶ月以上負け越しがなかったのに。でも、ま、阪神タイガーということを考えるとこれが普通か。去年が異常に良すぎたんやな。
 ま、真弓さんも初めてのことやし、ボチボチやったらえんとちゃうやろか。
試合そのものは、追いつ追われつのシーソーゲームで、おもろい試合やったな。
打線は6点取っとんやから合格やろ。先発ピッチャーがあかんねんやな。昨日の能見、今日の福原。
 福原初回にいきなりデッドボール。寝とる福地にボールぶつけて起こしよった。WBC休暇中の青木も起こしよった。で、こっちの寝とる人、メンチはお目覚めかと思うようなファールを打ったけど、寝言やった。
「あんたどんな夢見てたん」

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あさりご飯


 春はアサリがおいしゅうございます。昔は潮干狩りによく行きました。初夏の一日、夢中になってアサリを掘ったものでございます。潮干狩りは時が経つのを忘れますね。縄文人の血が騒ぐのでございましょうか。
 きょうはアサリご飯をいただきます。小鍋に昆布を敷いて、水を入れて、砂抜きをしたアサリを入れます。加熱します。アサリが口を開けてきたら、そのアサリはすぐ鍋から出します。貝類は加熱しすぎると固くなります。取り出したアサリは身を取っておきましょう。
 さて、このアサリのゆで汁でご飯を炊くわけです。土鍋に米とアサリのゆで汁を入れます。味付けは塩、酒、薄口醤油。あとはいつものようにご飯を炊きます。炊き上がったら、アサリのむき身、青ネギを散らして、お茶碗によそいます。アサリの旨味がご飯に染み込んで、実においしい炊き込みご飯です。
 
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4月4日(土)その2 阪神VSヤクルト、阪神負け

 阪神VSヤクルト。5対1で阪神負け。真弓阪神初敗北。といいつつも開幕2戦目だが。ロケットスタートとはいかなかった。残念。
 阪神先発、能見。もひとつピリッとしない。押さえそうな雰囲気はするのだが押さえられない。これと逆なのはヤクルト先発の由規。コントロール悪く、打てそうで打てない。
 阪神打線、由規のコントロール悪さに助けられて、チャンスを作るのだが、あと1本が出ない。6番のメンチが打っていたら、勝っていたかもというチャンスが2度あったが。あえなく三振。とても打てそうにない。
 去年のフォードといい、阪神の外人はハズレ続きだな。真弓さんメンチ、あきまへんで。

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春のお弁当

 今日はお弁当を作りましょう。出来上がれば、これを持って、芦屋川にお花見に行きましょうか。
 
ご飯は豆ご飯です。豆はえんどう豆。えんどう豆、うすいともいいます。よくサヤからむいたのが売ってますが、あれはさけましょう。鮮度が良くないです。必ずサヤに入ったのを買って来て、調理する直前に自分でサヤから取り出しましょう。おいしい豆ご飯をいただくため、少しの手間を惜しんではいけません。
 
土鍋に米、水、塩、昆布、酒、豆を入れます。強火。蒸気を吹いてきたら、弱火で10分。火を止め、10分蒸らします。
 
おかずは、鶏手羽の唐揚げ、アスパラガスのくるみ和え、フキの葉の佃煮。
 
まず、鶏手羽の唐揚げ。手羽の先っちょは切り落とします。醤油、酒に漬けて下味を付けて、塩コショウします。コショウは黒こしょうの方が私はいいですね。片栗粉をまぶしてカラリと揚げます。
 
アスパラガスをゆでます。くるみをすり鉢で砕きます。西京みそ、砂糖、薄口醤油、それに辛子を少し入れて、ゆでたアスパラガスを和えます。
 
次にフキの葉の佃煮です。長いフキを買って来たら葉はどうしています?佃煮にするとおいしいですよ。フキの葉をさっと塩ゆで。冷水に浸してアクを抜きます。鍋で醤油、味醂、砂糖、出汁を煮たてて、葉を入れて水分が無くなるまで煮つめます。

                  

  さてさて、春らしいお弁当ができました。お花見に行こうと思いましたが、もひとつお天気が良くありません。お弁当は家で食べて、家の近くの公園に桜を見に行きました。

 

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4月4日(土) 桂米團治独演会

 昨日、桂米團治独演会に行く。会場は芦屋のルナホール。午後6時半から。なんでも、米團治さん、襲名披露公演が3月でひとおとり終わり、米團治になって初めての独演会とか。演目は「七段目」と大ネタ「地獄八景亡者戯」
「七段目」は、米團治さんの芝居噺だけに安心して聞けるだろう。問題は「地獄八景」だ。上方落語屈指の大ネタ。師匠米朝が発掘し十八番にしていた大ネタ。冒険である。襲名披露のおりの、やはり大ネタ「百年目」は、あまり良いできではなかった。小生は、米朝師匠の「地獄八景」は生でも聞いたしDVDでも持っている。枝雀師匠の「地獄八景」もDVDで持っている。この両師匠の「地獄八景」とどう違うか、米團治色を出しているか。どう演ずるのか楽しみ。
 前座は
 桂吉の丞  時うどん
 桂宗助   天狗裁き
 吉の丞さんの「時うどん」うどんを食べる所作はよかったが、目線の使い方がまずい。うどん屋と客の会話で、両者の目線が水平。これだと噺が2次元だ。客は客なんだから、うどん屋より上だろう。すると客の目線は下向き、うどん屋の目線は上向きとすべきだった。
 宗助さんの「天狗裁き」オーソドックスな「天狗裁き」どこかに一工夫欲しい。とはいいつつも、この噺はあまり工夫する余地のない噺だが。
 米團治さんの「七段目」やっぱりうまい。笑わせられた。芝居噺はおおぎょうで、たいそうな歌舞伎の芝居のマネのシーンと、若だんさんや、番頭、丁稚、親だんさんらの地のシーンとの対比が面白いのだが、米團治さんはこの切り替えが実にうまい。米團治さんの芝居噺はいつものことながら笑わせられる。
 さて、「地獄八景」心配半分興味半分で聞く。結果をいう、合格。よくできていた。枝雀師匠みたいに「地獄八景」を全て米團治バージョンにはしていなかったが、米朝「地獄八景」をベースに米團治さん独自のくすぐり、工夫もあった。これでよかったと思う。100%米團治「地獄八景」だと失敗していたかも知れない。
 ともかく、この日の米團治さんの「地獄八景亡者戯」は成功である。その証拠に、終わった後の客の拍手が証明している。しばらく鳴り止まなかった。
 うまくなったな桂米團治さん。襲名してから一回り大きくなった。
 面白い落語を聞いて、気持ち良くホールを出ると、桜が咲いている。芦屋ルナホールは芦屋川のすぐ横。芦屋川は関西でも有数の桜の名所。夜桜を見てブラブラ。夕食は芦屋市内の串カツ屋。串カツでビール、冷酒。気持ち良く家に帰ると、金本がバースディーホームランを打って阪神が開幕戦勝利している。
 面白い落語を聞いて、夜桜を見て、串カツでビール、阪神勝利。至福の春の夜であった。
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ゴールデンスランバー


伊坂幸太郎      新潮社

 小生はSF者ではあるが、冒険小説も大好きである。西村寿行、田中光二たちの冒険小説はほとんど読んだかな。だから、この作品を冒険小説として期待して読んだ。こういう小生の好みをご承知おきの上、以下のレビューをお読み頂ければ幸いである。
 この作品、山本周五郎賞、本屋大賞、このミステリーがすごい1位。えらく評判がいい。と、いうことは少なくとも、これらの賞の審査員諸氏は、この作品を読んで面白かったのだろう。しかし、小生はまったく面白くなかった。
 話は首相暗殺の濡れ衣を着せられた、主人公の青柳雅春が逃げ回る話。まず、青柳がさめている。口では自分に理不尽な濡れ衣を着せた相手に対して怒っているが、それが読んでいて伝わってこない。
 西村寿行あたりの主人公なら、怒りに燃え上がり、触れば火傷しそうなほど。冒険小説の主人公は、そうでなくては。伊坂は徹底したエンタティメントを目指してこの作品を書いたそうだが、小生はまったくノレなかった。主人公の青柳に感情移入できない。これはエンタティメント小説としては致命的な欠陥である。
 それに青柳の考えが気に食わない。逃げる。ともかく逃げる。どのようなみっともない姿になっても逃げて生きる。冒険小説の主人公であるなら、逃げるな。生きるために一時は逃げても、最後には敵に立ち向かえ。逃げるなバカ。
 相手は巨大な巨象。こちらはアリ。いずれアリは巨象に踏み潰されるだろう。例えそうであっても、踏み潰される直前、ひと噛みなど巨象に噛みつこうと思わないか。例えひとしずくなと、象に血を流させて死んでやろうと思わないか。冒険小説の主人公なら、そう思って欲しい。この小説の主人公青柳には冒険小説の主人公の資格はない。
 青柳が逃亡するに際して、様々な人が協力するが、それらの人がなぜ青柳に肩入れするのか判らない。首相暗殺の容疑者として、警察が威信を賭けて追っている青柳を、さして青柳に義理があるとは思えない人たちが、自分の生活を犠牲にしてまで逃亡を手助けする。しかも、実に都合よく青柳に手をかす。ストーリーに説得力がないこと大である。
 首相暗殺事件の真相も黒幕も結局、最後まで判らずじまい。そのへんのことも、きっちり書けとのヤボはいわない。しかし、少なくとも感情移入させて読ませて欲しかった。
 冒険小説を欲するのであれば、西村寿行、田中光二、山田正紀、船戸与一、アリステア・マクリーン、ギャビン・ライアルあたりを読むべきであった。それを伊坂に求めた小生の間違いであった。
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親切な男

 携帯電話が鳴った。間違い電話だった。電話をポケットに戻して駅に向かった。その時、後ろから呼び止められた。
「手袋落としましたよ」
 中年の男が、私の手袋を持って小走りに寄って来て、手渡してくれた。
「ありがとうございます」
 私は、軽く頭を下げた。さっき電話を出した時に、落としたのだろう。
「いえ」
 男はそれだけいうと歩き去った。サラリーマンと思われる。私より少し年上。50代後半ぐらい。気さくな感じで好感が持てる男だった。
 電車が来た。いつもは座れるが、今日は妙に混んでいる。座れない。吊革を持って立つ。文庫本を読む。私はいつも電車では読書している。
 ページをめくるため、手を吊革から離した時、電車がゆれた。バランスを崩して倒れそうになった。後ろから背中を支えてくれた人がいた。倒れずにすんだ。
「どうも、ありがとうございます」
 振り返ってお礼をいった。手袋を拾ってくれた男だった。
「あなたもこの電車ですか」
 男は気さくに声をかけてくれた。
「重ね重ねありがとうございます」
「いえいえ、同じ電車とは偶然ですね」
 二人とも吊革につかまって言葉を交わした。天気の話、景気の話、なにくれとない会話をした。男は、非常にフレンドリーで、初対面の人物とは思えぬ自然な会話ができた。
 電車が次の駅に着いた。
「それじゃ、私はここで降りますから」
 男は、軽く手を振って電車から降りた。朝から気持ちの良い経験をした。私と同じ駅から乗った。乗車時間も同じだ。これからも電車内で会うこともあるだろう。良い友人になれそうだ。
 私はめったに残業はしない。毎日、この時間に電車を降りる。駅前の駐輪場に向かう。駅から自転車で5分走ったところがわが家だ。前のカゴにカバンを入れて自転車を引っぱり出す。出ない。両隣の自転車のハンドルが、私の自転車のハンドルにひっかかっている。片方を押して外すと、片方が深くくい込む。誰かに片方を押さえてもらわないと外れそうにない。事務所を見るが、管理人は席を外している。困った。
「私がこっちを押さえておきます。あなたはそっちを押しながらご自分の自転車を引き抜いてください」
そういうと男は左の自転車を押さえてくれた。いわれた通りすると、自転車は簡単に抜けた。男の顔を見てハッとした。あの男だった。不思議なこともあるものだ。同じ男に1日に3度も親切にされた。不思議といえば不思議だが、この駅の利用者で、電車での目的地が同じ方向なら、こういうこともありうる。
「ありがとうございます。あなたもここから自転車ですか」
「はい。そうです」
 見ず知らずの人物とはいえ3度も親切にされた。小さな親切だが、親切は親切だ。それに非常に好もしい人物だ,
「そこで軽く一杯やりませんか」
 もちろん飲み代は私が持つつもりだ。
「そうですね。では軽く」
 駅前の小さな居酒屋に入った。彼はよく飲み、よく食べた。実に楽しい酒だった。なんということもない話をした。天候の話。不景気の話。プロ野球の話。同じプロ野球チームのファンであることがわかった。そのチームの話題で盛り上がった。
 1時間ぐらい二人で飲んでいただろう。それではこのへんでということになった。私が先に立ちレジに行った。彼が財布を出そうとした。
「あ、いいです。私が誘ったんだから私が持ちます」
「それは悪い、ワリカンということで」
「いえいえ。今日は何度も親切にしていただてますし」
「そうですか。今度は私に出させてくださいね」
 居酒屋の前で別れた。 
 それから、しばらく彼とは会うことはなかった。
 部長に呼ばれた。例の件に違いない。
「どうするんだ君。あそこがヤバイことは判っていたはずだが」
 私が担当する取引先のK電気が倒産した。毎月、安定した売上げを見込める、私の持っている得意先ではAランクである。ところが、ここ数ヶ月は売上げが減少し、K電気が危ないらしいとの噂が営業マン仲間で飛び交っていた。部長からもそれとなくK電気を切るようにいわれていた。
 ところが、K電気の購買課長とは長年の付き合い。発注があれば受注せざるを得ない。それに、私自身、こんなに早くK電気が倒産するとは思っていなかった。不幸中の幸いだが、購買課長から納品を先延ばしにしてくれとの連絡があった。自分の会社が倒産するとはいえないが、購買課長として、私がこうむる被害を最小限に防いでくれた。
 商品はわが社の倉庫にある。K電気に代わる売り込み先を見つければ、部長は不問に付すといってくれた。わが社でもリストラの噂が出ている。このミスをどうにかしなければ、私も決して安泰ではない。あらゆるつてを頼って売り込み先を探した。飛び込みで営業もした。しかし、2000個もの電磁リレーを一括して必要とする会社はない。万策つきた。
「係長電話です。外線2です」
 隣の女子社員が面倒そうにいった。
「どこから」
「さあ、リレーの件とおっしゃてます」
「はい。電話かわりました」
「私、NI電機のYと申します。初めてお電話します。OM社に電話したところ、御社にOMのリレーMY24DC24Vを2000個納入したと聞きました。もし、それがまだ在庫がありましたら、弊社にお売りいただきたいと思いまして」
 JRのA駅を降りて、線路沿いに西へ行く。踏み切りがある。そこを南へ真っ直ぐ。ホームセンターの隣。ここだ。NI電機。フォークリフトが忙しくトラックから荷を降ろしている。配電盤を造っている会社だとYはいっていた。
 正門を通ると、工場の入り口がある。発電所用の配電盤が何本か立てられていて、従業員が配線作業に勤しんでいる。今時、ある程度の受注量を確保していると見る。工場の向こう側からはクレーンの音が聞こえる。そちらでは完成品の搬出作業をしているようだ。
 階段を上がった2階が事務所だ。ムダ話をしている社員はいない。FAXしている者。電話を架けている者。声が聞こえてくるが、発注した物品の督促をしているようだ。
 私は仕事柄、このような工場には数多く訪問しているが、真っ当で健康な会社と見た。なんとか得意先として確保したいものだ。
 女子社員に名刺を渡して来意を告げると、応接室に通された。贅沢ではないが整理整頓が行き届いた応接室だ。ほどなくすると私より、いくぶん若い作業服の男が入ってきた。名刺をくれた。Yだ。肩書きはNI電機資材部購買課長。
「いやあ助かりました。短納期の仕事が入りまして、発注元がリレーはOMのMY24DC24Vを指定していまして、1週間で2000個必要だったんです。で、見積もりは持って来ていただけましたか」
 もちろん見積書は用意してある。少々高い見積もりでも、商談は成立するだろう。しかし、このNI電機は息の長い取引先にしたい。私なりに適正な価格を設定したつもりだ。
 見積書をだす。Yが目を通す。
「これで結構です。ではMY24DC24V、2000個発注です。実はもう注文書は作ってあるのです。あとはこれに単価を記入して、部長の印をもらうだけです。ちょっとお待ちください」
 Yは出て行き、15分ほどで戻ってきた。
「おまたせしました」
 単価、と合価、それに部長印を押した注文書を渡した。
「部長がごあいさつしたいといってます。実はあなたがこのリレーをさばきたがっておられることは部長から聞きました。私はOMに確認の電話を入れただけです」
「部長さんはなぜご存知だったんですか」
「わかりません」
 部長が入ってきた。あの男だった。
「おとうさん。こんどの日曜は家にいる」
 娘が聞いた。
「いる。なんだ」
「ちょっと人を連れてくるから、あってくれる」
 娘が彼氏を連れてきた。
 とんとん拍子に話が進んだ。女房が彼氏を気に入ったことが、話の大きな推進力となった。
 そして、今日。ここはこの街では一番の中華料理屋。私、女房、娘の3人で、彼氏の家族を待っている。
 来た。父親は、あの男だった。
 
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4月1日(水)その2 4月になりました

 今日から4月。春本番です。「1月はいぬ、2月は逃げる、3月は去る、4月は死ぬ、などといいまして」なんていうのは、この時期の朝礼なんかの言葉の定番ですが,こんな定番なことをいっても面白くありません。また、4月は新たなスタートの月、会社は新年度が始まり、学校も新学期が始まります。フレッシュな新入生、新入社員が希望に胸を膨らませて、新たな旅立ちをしております。なんぞといっても、空々しいだけです。
 かといって、4月1日だからエープリルフールだといって、くだらん冗談をいってもしらけるだけです。だいたいが、年中エープリルフールみたいなニュースばっかりなんだから、わざわざ悪ふざけをする必要もないでしょう。
 4月の最初の日だから、それらしい日記を書きたいのですが、ここ神戸は空は曇っているし、まだまだ寒い。桜は4分咲というところか。春爛漫の心浮き立つポカポカ陽気までまだかかりそうです。それでは、あまりにさみしいから街をよく観察しました。今年はじめてツバメが飛んでいるのを見ました。やれやれ、やっと春らしい話題ができました。
 だいたいが、このところ訃報ばかり書いているし、あまり明るい気分になれない。懐具合はあいかわらず手元不如意だし、新型インフルエンザが大流行するとか、北朝鮮がミサイルを撃つとか、景気は回復する様子はなく、失業者が街にあふれるとか、麻生さんは相変わらず首相やってるし、良いことないなあ。
楽しみは、米團治さんの独演会と阪神タイガースだけか。
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4月1日(水) 土屋耕一氏の訃報に接する

 昨日の日記で、二日続けて訃報を書かねばならないとなげいたが、三日連続の訃報となる。
 コピーライターの土屋耕一氏が亡くなった。土屋耕一氏は1970年代、日本を代表するコピーライターであった。糸井重里、仲畑貴志たちが頭角を現す以前は、最もコピーライターらしいコピーライターだった。
 土屋以前のコピー、というより広告文は、固い文語調の、国語の教科書に載っているような文章で、一生懸命消費者を説得する広告文であった。それを、土屋は消費者に話しかけるような、口語体の/感性に訴えかけるようなコピーを書き始めた。今、目にするコピーらしいコピーを確立したのは土屋だった。
 小生がコピーの勉強をしに、夜間、久保田宣伝研究所(現宣伝会議)コピーライター養成講座(情熱の17期のみなさんお元気ですか)に通っているころ、一番のあこがれのコピーライターは土屋耕一氏だった。
 土屋耕一氏の代表作として

こんにちは土曜日くん 伊勢丹
おれ、ゴリラ、おれ、社長の代理 明治製菓
君のひとみは10000ボルト    資生堂

など多数。
 特に衝撃的だったのは「こんにちは土曜日くん」だった。今でこそ週休二日はあたりまえだが、当時は少数派で、やっと土曜休みが定着しかけていた状態だった。その時代の流れを先読みして、「土曜日」に人格を持たせて、喜んで人々が迎え入れている様子を表現して、それをデパートの宣伝のキャッチフレーズに使う。その着眼点、発想力、しかも、そのクリエイタ-土屋の感性を、見事にクライアントの伊勢丹のビジネスに有機的にからめている。なんと見事なコピーであることか。
 稀代のコピーライターであった。土屋耕一氏のご冥福をお祈りする。
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