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チャイルド44


トム・ロブ・スミス 田口俊樹訳   新潮社 

 聞いてるか。「ゴールデンスランバー」の主人公青柳雅春よ、聞いてるか。
冒険小説の主人公とは、この作品の主人公レオ・デミトフのような男をいうのだよ。
 青柳を追いかけているのは平和ニッポンの警察。レオを追っているのは、スターリン政権下のソビエトという国家そのもの。しかもレオは逃げるばかりではなく、連続殺人犯の追跡も行う。青柳よ、レオの爪のアカでも煎じて飲め。
 上巻ではレオはソビエト国家保安省のエリートとして登場する。独裁者スターリン政権下、ソビエトの経済は疲弊して国民は飢えていた。そのような状況下で、国家保安省の仕事は、スターリン政権を維持すること。それがなによりも優先される。共産主義に少しでも疑いを持つことは絶対にゆるされない。いったん、西側のスパイの嫌疑がかけられると、疑惑が晴れることは皆無。必ず処刑される。そんな中、幼い子供が犠牲になる連続殺人事件が発生。
 共産主義政権下では殺人事件はありえない。腐敗した西側の国とは違い、偉大な指導者スターリンが治世する、理想国家ソビエトでは殺人事件はあるはずがない。そのような事件の存在を認めることはソビエトという国家を否定すること。
 レオは、邪悪な部下の陰謀にはめられて、地方の警察署に左遷される。妻ライーサとともに、僻地の警察に赴任したレオは、本格的に幼児連続殺人事件を追う。それはすなわち、国家に対する反逆を意味する。
 下巻は、反逆者レオの逃亡と追跡が描かれる。レオの味方は、ライーサと警察署長ネステロフだけ。
 上巻では、矛盾と人権無視のゾビエト社会と、非情なエリートだったレオと、聡明な妻ライーサとの葛藤が、じっくりと描かれる。
 下巻では、スリル、サスペンス、スピードとエンタティメント小説の王道を行く面白さ。特に夫婦で収容所送りの列車から脱走するくだりは、大変な迫力。
 本のコピーで「魂をゆさぶる傑作」とい形容されるが、本作はかけねなしの「魂をゆさぶる傑作」である。今のところ、今年読んだ本のベスト1。本作が2009年度、小生が読んだベスト5の5位ぐらいならば、2009年の小生の読書生活は、ものすごく充実しているといえる。そうありたいものだ。
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4月23日(木) 阪神、やっと勝つ

 9回に岩瀬を使った落合監督。最後まで藤川を残しといた真弓監督。今シーズン初めて、真弓監督のピッチャーの使い方で勝つ。
 鳥谷、あっぱれ。ついでに桧山も。
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