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お薦めの一冊 (アブダビ)
2016-12-16 00:38:12
仁義なき戦いシリーズは、人のよく解らん抗争を、単純化して捉える時に役立つ。
これはカリスマ予備校講師の書いた「やりなおす経済史。本当はわかってない人の日2時間で読む教養入門」を読んだときにも感じました。
経済史を仁義に例えて語る入門書ですが、2000年代のリーマンショック、世界同時不況、ギリシァ問題の章題が、
「親分重態、オジキは仲間割れで、抗争は地みどろ地獄へ」(笑)
人の歴史を理想や知的好奇心でなく、「業と欲望」から切り取る時に、「仁義」は実に日本人には解りやすいテクストなのですね。
仏の従兄弟の旦那も大の日本カルチャーマニアですが、健さんとは別な衝撃を受けたそうです。健さんに憧れ「任侠」て文字を第二の家紋として使う勘違い白人には衝撃だったようで。

枕が長引きましたが、今回のお薦めは、
ちくま文庫の、
神架恭介「仁義なきキリスト教史」です!
キリスト教=キリスト組。信徒=ヤクザという設定で、全編を広島弁で描いたキリスト教史。
なんせイエスの、
「主よ、主よ、何故に我を見捨てたもう?」
が本書では、
「おやっさん、おやっさん、なんでワシを見捨てたんじゃあ!」になる(笑)
本屋の平積で帯にある、
「あいつら、言うてみりゃ人の罪でメシ食うとるんで」
には大爆笑して他客にうろんな奴目線を送られました。(神道の氏子さんには解んねーだろうな!彼らには原罪て意識がないから)
基本的にはキリスト教成立(イエスはユダヤ教の異端であって、キリスト教徒ではない!)の時期が重点なのですが、私には中世・近世が面白かった!

ルターが、を卑劣な親分衆の前で、祭壇にぶっ放す菅原文太に見えるし、彼が農民反乱を武力鎮圧した人であるコトも書いてある。
「十字軍」が、(ムスリムへの)聖地奪還の大儀に始りながら、ビザンチン(東ローマ)皇帝(オーソドックス)と、ローマ法王(カトリック)の、
「銭の切れ目」で、キリスト教徒同士の「殺しあい」になっていく姿。
金子信雄扮する親分と、下の武闘派の断裂を思わせ、まるで「広島死闘編」です(笑)

知人のプロテスタント牧師や、カトリックのシスターは、「我々を愚弄している」とオカンムリですが、「敬虔でない」私には大いに笑えました。

まぁ難点を言うと、「仁義」は欲望で人を斬るには良い題材なのですが、剥出しに生きる人は社会の小数なので(そういう事にしておく)、
せっかくルターを扱いながら、「異端」の問題を語るに弱いこと。
まー、バチカンに刃向かう奴を「異端」としてきたのですけど、「新教」が「生き延びた」為に、「異端が異端でなくなった」!
これはアメリカの宗教右翼である福音派が、常にUSAの対外的膨張に果してきた意味が解らなくなる。
軍事や経済をメインにする「歴史」は、実は「宗教や文化や言語」を仲立ちとする歴史と実は「力の論理」では一体なのですが、
後者は「思想闘争」があるので、専門書を読まないと理解がしにくい!

つまり、私は「国家」と「山口組」とは大差のない集団と思うてます。
ヤクザと国家を一緒にするな!
かように保守も左派も言うのでしょうが、南米で麻薬組織がスラムに教会や病院や学校を建てて、地元民に慕われている姿を見ているので、
ヤクザと国家は基本的に同じと思う。
シマの中からショバ代(税金)を取り、シマの外からの侵略に武装で対処する。同じでしょ?
両者の違いは「通貨の発効」だけです!
でも通貨の発行は、「歴史に基づく信頼性」が背景にあって、そこには「歴史的な信用」つまり、文化のような「認知度」がある。
その点で「ヤクザに例える事」の限界性があると言わざる得ません!

とはいえクリスチャンでない方に、「仁義なき戦い」を観るノリで、キリスト教の 2000年史を楽しんで頂くには良書かと!
この著者、良いセンスをしています!
願わくば狂信的な連中に刺されない事を祈ります。日本でなきゃ出版できないエンタメ宗教史
。是非にお薦め!
こういう本を喜んでいるから、俺は教会から嫌われるんだろうな(笑)
カトリックもプロテスタントもオークションも
基本的に良い人ばかりなんです!
でも「善人」って息苦しいんですね!
その辺で不良クリスチャンとしては、なかなかの「お薦め本」です!
 
 
 
アブダビさん (雫石鉄也)
2016-12-16 10:17:08
ヤクザも国家も宗教も、しょせん、人間がやることですから、どれも似たようなものでしょう、
 
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