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ヒックとドラゴン


監督 クリス・サンダース、ディーン・デュボア
出演(声) ジェイ・バルシェル、ジェラルド・バトラー、クレイグ・ファーガソン

 今年は卯年、来年は辰年。来年は竜の年である。東洋の竜と西洋のドラゴンではまったくコンセプトが違うモンスターらしい。この映画、よくできている。少年の成長の物語であり、人間と自然の闘争と融合の物語である。映像はダイナミックで迫力がある。映画には二つの側面がある。物語としての側面、見世物としての側面。本作はその両面で、高得点をつけてもいいだろう。「アバター」は完全に見世物としての映画として勝負して、圧倒的な映像で勝負して高得点をつけている。小生は傑作と評価した。だが物語としては少々弱かった。体操競技に例えるのなら、種目別では「アバター」が上だが、個人総合では本作が上だ。だが、小生は東洋人として本作を否定する。
 バイキングの村バーク島の建物は常に新しい。村には常に火を吐くドラゴンが襲来。家は燃え、大きな被害がでる。バイキングたちの仕事はドラゴン退治。そんな村の族長の息子ヒックは落ちこぼれバイキング。ひ弱でとてもバイキングらしくない。村一番の勇者の父も頭が痛い。そんなヒックがひょんなことで、一頭のドラゴンを捕まえる。ヒックはドラゴンと心を通わせる。そして、そのドラゴン=トゥースと心を通わせ、トゥースの背に乗って大空を自由に飛翔できるようになる。そして、村の人々もそれぞれ自分のドラゴンを飼うようになる。
 ドラゴンは映画の冒頭では害獣だった。それが終わりではペットとなっている。東洋では竜は畏怖の対象だが、西洋ではたんなる野生動物らしい。東洋では自然は、恐れ、崇め、感謝すべき存在だが、西洋では征服し、屈服させ、服従させる対象だ。
 これ、別にドラゴンでなくとも成り立つ話では。ヒグマの襲来になやむアイヌの村があった。一人の少年の働きで、ヒグマを調教できるようになり、ヒグマを家畜として使うようになった。
 ようは、バイキングがドラゴンを家畜化したというだけの映画である。ドラゴン=自然の象徴と見るのなら、犯してはならない大自然を開発して都市を築いてきた、西洋的な文明観がプンプンする。
 続編が作られるのなら、日本でも韓国でも中国でもいい。東洋人に作らせてほしい。家畜となったドラゴンが大自然の誇りを取り戻し、人間に反旗をひるがえす。そしてドラゴンは解放され大自然へと回帰していく。
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