goo

アバター


監督 ジェームス・キャメロン
出演 サム・ワーシントン、シガニー・ウィーバー、ゾーイ・サルダナ

 この映画を観て、まず最初に思ったこと。ああ、わが神戸出身の横山光輝は偉大だな。キャメロンは宮崎駿のファンだとか。この映画も「もののけ姫」の影響を受けているとか。確かに思い当たるところがある。ところが、横山光輝はずうっと前に「伊賀の影丸」で、この映画を支える大きなアイデアと同様のアイデアを、忍法という形で考え出している。
 一つは「影丸旅日記の巻」の夢之丞が使う忍術。これなどはこの映画のアバターそのものである。アバターは眠っている時にしか使えない。夢之丞の忍術そのまま。もう一つはネタばれになるので、どんな忍法かいえない。ヒントは「由比正雪の巻」の伊賀の忍者が使う忍法。
 3D映画として大ヒットして話題となった映画である。めったに映画館で映画を観ない小生も、この映画だけは観てやろうと思っていた。ところが、なんやかんやと諸般の雑事に紛れて見逃してしまった。このたび自宅でDVDを観た。だから小生は3Dでこの映画を観ていない。
 結論からいう傑作だ。3Dでないというハンデをつけても傑作である。ストーリーは、アメリカのイラク戦争への皮肉ともとれるもの。惑星パンドラ。ものすごく貴重なレアメタルが存在する。そのレアメタルの埋蔵地の上に、パンドラの原住民ナヴィが集落を作っている。地球人は最初は平和的な外交交渉でナヴィを立ち退かそうとするが、この地は彼らにとって大切な土地、頑として立ち退かない。そこで車いすの元海兵隊員ジェイクが、アバターとなって、ナヴィの集落に入り込む。ナヴィたち、特に族長の娘と接するうちにジェイクの心に変化が・・・。
 外交交渉は行き詰まり、地球人たちはついに空爆を開始する。圧倒的な軍事力の前にナヴィたちは絶体絶命の危機に。その時・・・。
 というようなストーリーだが、この映画のウリはなんといっても壮大かつ精緻なビジュアル。野田昌宏の名言「SFは絵だね」その「絵」がすごかった。
 惑星パンドラの美しい大自然。空中に浮かぶ巨石のシーンなどは、あたかもルネ・マグリット「ピレネーの城」思わせる。森の動物たち。空を飛ぶ鳥などの生き物のデザインもいい。カワイイ系の動物を出して、商品化権でもうけようなんてセコイことを考えていないのがいい。徹底的に凶暴な野生の動物なのだ。ナヴィの集落を空爆するシーンは、コッポラの「地獄の黙示録」を越えているかも。
 傑作ではあるが。不満が三つ。まず地球人側の兵器が弱い、弓矢で射ぬかれるヘリコプターの風防ガラス。サイのバケもんに蹴倒されるパワードスーツ。弱すぎ。
 次に地球人側の軍事責任者である大佐がアホすぎる。自軍が劣勢になっても、なんの手も打たない(某球団の監督?)撤退の時期を逸している。最後には相手に「サシでこい」なんて司令官のやることじゃない。
 最後にこれが一番大きな不満。ナヴィが危機におちいった時「エイワ」が助けてくれる。「エイワ」?どんなもんが出てくるかと期待した。「もののけ姫」のダイダラボッチか、大魔神か、火の玉球児か、ゴジラみたいなもんが山から出てくるか、はたまたカミカゼが吹くか。たしかに、なんぞが出て来てナヴィに加勢、地球軍をやっつけるが、なんとも地味。出てくるもんがアレでもいいが、なんせクライマックスである。派手に陽気にワーと出てくるべきである。これでもかとというぐらい、派手に壮大にたいそうに、花火大会のラストのように、この映画一番の映像で観客を圧倒すべきであった。 
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 阪神3連敗。... 藤川、打たれ... »
 
コメント
 
 
 
アバター。 (せぷ)
2010-08-23 22:42:00
『アバター』は二回、劇場に観に行きましたよ。
といっても二回目は好きで観に行ったわけじゃないのですが。笑。

『アバター』を劇場で観損ねたとのこと、残念でしたね。
『アバター』は3Dで観てこそ価値のある作品だと思います。
迫力が五割は違うのではないでしょうか。
たぶん今DVDで『アバター』を見ても、あ、こんなもんだっけ?と思うのでは、って思います。

SFアクション映画であれば、『第9地区』もお薦めです。
純粋に作品の出来でいえば、『アバター』より『第9地区』の方が上なんじゃないかって思います。
 
 
 
せぷさん (雫石鉄也)
2010-08-24 09:13:22
「アバター」私は、普通のDVDで観たのですが、映像は充分にすごかったです。
この映画、私は本文で傑作といいましたが、手ばなしの傑作というわけではありません。
「映画は絵だ」ということなら傑作です。
「映画はシナリオだ」ということなら、水準作ですね。
「第9地区」私も気になっていた映画です。いずれDVDで観たいと思っております。
 
コメントを投稿する
 
現在、コメントを受け取らないよう設定されております。
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。