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阪急 苦楽園口


 兵庫県西宮市には西宮七園という土地がある。甲子園、香櫨園、甲陽園、甲東園、昭和園、甲風園、苦楽園の七つ。いずれも高級住宅地。この駅は、その名の通り七園のうちの苦楽園への入り口。この駅より北西へ坂道を登ると、そこが苦楽園。大きな家が立ち並ぶお屋敷町である。高級住宅地。お金持ちの町だ。ちなみにこの苦楽園の西隣が、関西の超高級住宅地として有名な芦屋市六麓荘。
 苦楽園、六麓荘といった町は鉄道の駅から遠い。不便なところだ。六麓荘は一番最寄の駅が阪急芦屋川。歩けば30分ぐらいかかるだろう。それもかなりの登り坂だ。苦楽園はこの駅から坂道を登って20分ぐらい。このあたりの住民は鉄道の駅は関係ない。みんな自家用車を持っている。中にはおかかえ運転手を雇っている人もいる。
 この苦楽園は、小生の勤務先だったことがある。H屋D堂という下半身の病気専門の薬を通信販売している宗教っぽい薬屋のPR誌の編集をしたことがある。その編集部がこの苦楽園にあった。
 なぜこんな高級住宅地に薬屋のPR誌の編集部があったかというと、ここにH屋D堂の当主の自宅があったから。お寺まがいの当主の自宅はバス道沿いにあり、編集部はそこからかなりきつい坂道を上がったことろにあった。毎朝、バスを降りて、H屋D堂専用駐車場からベンツで送ってくれた。歩けないことはないが、かなりきつい。この駐車場には、ベンツやロールスなんぞという高級車がズラリ。中にベンツのオープンカーがあり、この車は当主が、自宅から編集部に行くの専用の車。
 この編集部がある建物。PR誌の編集だけにつかわれるわけではない。西宮は苦楽園の高台にある。迎賓館のような使われ方も。ちょっとした高級クラブのような部屋があり、そこからの眺めは西宮市内が一望できて絶景である。ここで忘年会をやったことがある。料理人が出張してきて、そこで料理してくれる。カラオケもあり、当主の息子(ご次代様と呼ばせていた。世襲なのだ)が友だちと時々大騒ぎしている。
 H屋D堂の薬は大変高価。薬の通信販売を申し込むと「当主親書」というDMが送られてくる(小生もその原稿を書いていた)。重症と思われる患者には「短期集中療法」というのをすすめる。その通りすると100万単位のお金がいる。そのものすごく高い薬を売っているから、こんなぜいたくができるのかな。そのわりには小生らの給料はものすごく安かった。
 一般市販薬で、安価で優秀な薬が開発されるか、非常に高い治癒率の治療法が確立されることを望む。H屋D堂のご当主は、下半身病気根絶をなにより願い、日々精進しているのだから、そのような薬、治療法が開発され、その病気が世界からなくなれば本望だろう。
 出勤時はJR芦屋からバスで出勤していたが、帰りは下り坂だから、歩いてこの阪急苦楽園口まで行って、電車で帰っていた。
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