妙子
2005年05月24日 | 詩
雨が降り出した夕暮れ、妙子は母の帰りを待ちます
しんとした青い闇が、家の中に流れ込んできます
トタンの屋根を雨が叩き、ガラス戸の向こうに人の気配はありません
妙子は古びた人形を抱いたまま、廊下に立って庭を眺めます
柿の木も、胡瓜と茄子の苗木も、雨煙りのなかで青白くゆれています
隣の家もしんと静まり返っています
妙子は居間に戻って、仕舞い忘れられた炬燵に入ります
炭火が入れられていない炬燵の中は、ひんやりとして、湿っています
人形に子守唄を歌おうと思いましたが、うまく声が出てきません
妙子は炬燵にもぐりこみ、仰向けになって天井を眺め、雨の音を聞きます
あたりは暗くなり、白い指で玄関がからりと開けられるのを、待っています
母が帰ってきたら、思い切り泣いてやろうと、妙子は思います
しんとした青い闇が、家の中に流れ込んできます
トタンの屋根を雨が叩き、ガラス戸の向こうに人の気配はありません
妙子は古びた人形を抱いたまま、廊下に立って庭を眺めます
柿の木も、胡瓜と茄子の苗木も、雨煙りのなかで青白くゆれています
隣の家もしんと静まり返っています
妙子は居間に戻って、仕舞い忘れられた炬燵に入ります
炭火が入れられていない炬燵の中は、ひんやりとして、湿っています
人形に子守唄を歌おうと思いましたが、うまく声が出てきません
妙子は炬燵にもぐりこみ、仰向けになって天井を眺め、雨の音を聞きます
あたりは暗くなり、白い指で玄関がからりと開けられるのを、待っています
母が帰ってきたら、思い切り泣いてやろうと、妙子は思います