All Photos by Chishima,J.
(沿岸を飛ぶ2羽のウミガラス冬羽 以下すべて 2012年1月 北海道厚岸郡浜中町)
(NPO法人エトピリカ基金会報「うみどり通信」第4号(2012年3月)掲載の「2011年霧多布沖合調査②」を分割して掲載、写真を追加)
冬は船の確保が問題となります。海に出ない船は陸に上げてしまい、残っている船は皆、漁に大忙しだからです。そんなわけでこの回は、沖でタコ漁に従事する船に便乗させてもらっての調査となりました。午前4時前、真っ暗な岸壁から乗り込んだ船は氷を割りながら出港。寒くて暗い海でのタコ漁開始です。長いロープの仕掛けにタコがかかっていると、甲板で待ち受ける漁師さんが竿でそれを外します。時には1m以上あるようなミズダコもおり、まさに格闘です。普段なかなか見る機会のない、漁師さんの仕事を間近に見られたのもこの日の収穫でした。晩酌の肴として大好物のタコを、一層美味しく感じられるようになりました。
漁の最中や移動中の調査だったので、鳥はいつもより少なめでしたが、ウミガラス(オロロン鳥)が多く観察されました。近縁種のハシブトウミガラスや、それとの識別ができなかったものも含めると200羽近いウミガラス類が出現しました。道東では30年前に繁殖が絶え、天売島でも激減してしまったウミガラスですが、冬にはロシア等北方で繁殖するものが多数、越冬のためやって来ているようです。帰路は既に陽の大きく傾いた沿岸部で、多数の海ガモ類やケイマフリを観察しながら、12時間近い厳寒の調査を終えました。
巨大なミズダコが夜明け前の船上に引き上げられる
(2012年3月16日 千嶋 淳)
*本調査は地球環境基金の助成を得て、NPO法人エトピリカ基金が実施しているもの
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