鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

十勝の自然51 札内川

2015-09-13 21:54:55 | 十勝の自然

地表の水が枯れた札内川 2012年8月 北海道河西郡中札内村)

(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん 2015年8月4日放送)


 帯広市街の東を流れ、郊外で十勝川に合流する札内川。日高山脈の札内岳付近に端を発する全長82kmのこの川は、十勝の人には馴染みが深いかと思いますが、その語源をご存知ですか?「サツ・ナイ」とはアイヌ語で「乾いた・川」を意味する言葉です。
 長いこと普段から水量が少ないため、その名前があるくらいに思っていました。ところが、数年前の8月上旬、中札内村の上札内橋から見た札内川の姿には目を疑いました。本来川が流れている部分には一滴の水も無く、乾いた石の河原がどこまでも続いていたのです。
 渓流が平野へ出て地形が扇状に広がるこのあたりでは、上流から運ばれて来た砂や小石が大量に積もります。隙間の多い砂や小石は水を通しやすく、普段から水が地下へ染み込んでいます。その結果、夏や冬の水が少ない一時期には、すべての水が地下へ染み込み、地上の流れが完全に消えてしまうのです。地下の水は下流側で大部分が地上に復帰するため、帯広周辺で水が涸れることはありません。
 かつて札内川流域では「川狩り」といって、河原で食事を楽しむ文化があったそうです。現在でもジンギスカンや水遊びを楽しむ人は少なくありません。暑い夏は川と親しむ絶好のシーズンですが、流れが速い場所、急に深くなる場所もあるので、安全には十分気を付けましょう。また、RV車で中州を走り回る人もいますが、植物を踏み荒らすだけでなく、イカルチドリなど河原に住む鳥たちを脅かすことにもなるので、厳に慎んで下さい。


(2015年8月1日   千嶋 淳)



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