![1 1](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/59/a58140e44db41243e0d9714d862d0d24.jpg)
Photo by Chishima,J.
(ミツユビカモメ 2006年3月 八戸~苫小牧航路)
八戸~苫小牧航路 2006年3月10日
鳥:アカエリカイツブリ カンムリカイツブリ ウミウ ヒメウ スズガモ クロガモ ウミアイサ オオセグロカモメ シロカモメ カモメ ウミネコ ミツユビカモメ ウミガラス ハシブトウミガラス ウミスズメ エトロフウミスズメ コウミスズメ ハシボソガラス
海獣:キタオットセイ
カンムリカイツブリ(冬羽)
2006年3月 八戸~苫小牧航路(以下すべて同じ)
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Photo by Chishima,J.
ヒメウ
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Photo by Chishima,J.
札幌に用事があったついでに久しぶりに冬の航路に乗ってみた。今年は流氷の勢力が非常に弱いので、あまり多くの海鳥は期待できないことが予測されたが、種・個体数ともこの時期としては少なめだった。特に、通常だったら八戸近海と苫小牧近海で海鳥出現のピークがあり、中間の沖合では鳥が少ないというパターンを示すのだが、今回は苫小牧沿岸に近付いても明瞭なピークがなく、おかしいなと思っているうち港に到着してしまった。
ウミネコ(成鳥)
北海道では大部分が夏鳥で、3月上旬春の空気を従えて渡来する。
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Photo by Chishima,J.
それでも八戸沖を中心に、比較的多数のハシブトウミガラスやエトロフウミスズメ、コウミスズメなど外洋性の海鳥を楽しむことができた。最優占種はミツユビカモメでほぼ常に視界の片隅を飛翔していたほか、数十~百羽程度の中規模の群れもいくつも見かけた。苫小牧沖はコアホウドリやイシイルカの越冬海域となっているが、餌資源の分布が変化していたのかいずれの姿も見られなかった。また、3月ともなるとオオミズナギドリやウトウが北海道の近海にも帰り始めるが、こちらには少々早かったようだ。
ハシブトウミガラス
冬期の北日本の太平洋上ではウミガラスよりはるかに多いが、岸近くで見ることは少ない。
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Photo by Chishima,J.
コウミスズメ
スズメくらいの大きさの小型ウミスズメ類で、海上を飛翔するのもひらひらと力弱く感じる。
![6 6](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/71/affe7c4f7ddb7bea48957ae9758a3c1f.jpg)
Photo by Chishima,J.
エトロフウミスズメ
コウミスズメなどに比べると密集した群れを作る。このような群れが集まって、数千羽にもなると黒い雲のようで圧巻。
![7 7](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/1b/67fd47a1c79f2bed814fb1aa1c37907b.jpg)
Photo by Chishima,J.
ミツユビカモメの小群
海岸にはあまり近付かないが、冬期の三陸沖や常盤沖では最優占種のひとつ。
![8 8](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/f6/10b49c4e11acb4a774fa91e01a38b4d6.jpg)
Photo by Chishima,J.
ハシブトウミガラスやエトロフウミスズメといえば、冬の後半の北海道沿岸における海鳥群集の主要種であり、この度のオホーツク海側での油汚染鳥の大量漂着でも多数が死亡した種である。大量死が最初に報道された時、「死亡しているのはウミスズメなどで…」となっていたので不思議に思った。厳冬期におけるウミスズメの分布の中心は三陸沖などもっと南にあり、オホーツク海では数が少ないはずだからである。結局、後に死亡したのはハシブトウミガラスやエトロフウミスズメなどであると訂正された。
エトロフウミスズメとコウミスズメ(右端)
流氷期に押し出されるように南下してくる両種は、一緒に見る機会が多い。
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Photo by Chishima,J.
1990年代のナホトカ号の原油流出事故や近年のサハリンにおけるエネルギー開発の促進を受けて、オホーツク海など北海道近海での油流出・汚染に対する専門家や一般の人たちの関心は高まりつつある。関連するシンポジウムや集会もさかんだし、油鳥救護の講習会には多数の参加者が押し寄せると聞く。しかし、その一方で不測の事態が生じた時にはもっとも基礎的な情報となる、海上の鳥類相に関する情報の蓄積はあまりにもなされていないように感じる。影響の予測や救護の対応、さらに事後の回復状況のモニタリングなどのいずれにおいても、「この季節の当該海域には何がどれくらいいる」といった情報が必要不可欠なはずである。それなのに、研究者は細分化された狭い分野の、これまた狭い対象種に狼執するのが精一杯で、岸からは見えづらいため一般の鳥類愛好家の関心もさして高くない。今回のオホーツク海の事件でも最初ウミスズメと報道された背景には、(たとえ死体が油で汚染されて同定が困難だったとしても)このような事情があるのではないだろうか。季節ごとに海上の鳥類相をしっかり把握し、それにもとづいた科学的で的確な対応ができなければ、いくら油にまみれた鳥を洗って放したところで、本当の意味での保護にはならないだろう(油汚染されたウミガラスの放鳥後の平均生存日数は7日強という、海外での報告がある)。
ウミガラス
冬羽(写真)ではハシブトウミガラスにくらべ、かなり白っぽく見える。
![10 10](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/f4/98d14494f21be7c025416319f352b5e0.jpg)
Photo by Chishima,J.
オオセグロカモメ(若鳥)
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Photo by Chishima,J.
(2006年3月11日 千嶋 淳)