tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円高か、ドル安か

2008年03月19日 10時32分14秒 | 経済
円高か、ドル安か
 アメリカ経済は大変不安定なものになってきました。もともと大変な資源国で、そうした利点をベースに経済を組み立てて入ればよかったのでしょうが、安易に金を得ようと金融立国を指向し、世界の金を集めて所得以上の生活を謳歌していたところにサブプライム問題でした。

 このブログで1月に「アメリカ経済への致命傷か」と書きましたが、不良債権を優良証券に仕立てて世界にばら撒いた結果、アメリカの証券の信用は失墜し、誰もがアメリカの証券を買うのに二の足を踏むようになったのではないでしょうか。その結果はアメリカにスムーズに金が流れない状態でしょう。ドルは値下がり傾向です。

 FRBのバーナンキさんは、大恐慌の研究家で、あの時早期に金利を下げていれば、大恐慌は防げたというご意見の持ち主と聞いたことがありますが、今回も確かに利下げには積極的です。利下げはドル安につながるでしょうし、さらに今回の問題はもっと構造的なものに思えてなりません。

 アメリカ証券の信用失墜、金利の大幅低下でドル安傾向は不可避ではないでしょうか。ということは日本からいえば円高です。しかし今回の円高は、プラザ合意の時のように円の独歩高ではなく、「ドルの独歩安」の気配の強いものです。ユーロは結構強いですし、カナダドル、オーストラリアドルのような資源国の通貨は高くなっています。問題の中国の人民元も、インフレにもかかわらず高めです。

 優れた製品技術で世界に貢献する日本は、どうしても輸出依存になります。証券市場は「円高で大変」と騒ぎ立てます。こんなときは、単に「ドル対円」ではなく、貿易額でウェイトをかけた国際取引の実効レートの動向も、「見える化」ということで広く国民に解りやすく示したらどうでしょうか。基軸通貨の座からずり落ちかけているドルにばかり気をとられるようではいけないと思うのですが。

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