tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

トランプ大統領、宇宙軍創設の怪

2018年08月16日 17時00分25秒 | 国際政治
トランプ大統領、宇宙軍創設の怪
 去る13日、アメリカでは国防権限法がトランプ大統領の署名で成立、総額約80兆円の国防予算の大枠が決まったとの事です。
 我が国の国家予算が年々増えてほぼ100兆円ですから、アメリカの国防費80兆円というのは凄いですね。

 IMFによれば、アメリカの政府予算は歳入が6兆ドルで歳出が6.8兆ドル、赤字な8000億ドルで、円換算なら88兆円ですから、国防費の分がほぼ全額赤字という事になります。
 アメリカは双子の赤字で、経常収支も赤字ですから、外国から借金して資金繰りをつけなければなりません。頭の痛いことです。

 その頭の痛いアメリカが、6月に宇宙軍創設の方針を打ち出しています。先日8月9日、ペンス米副大統領「宇宙軍」を2020年までに創設する計画を明らかにして、今後5年間で80億ドルの追加予算を議会に求めたとのことです。

 宇宙といえば、我々には「宇宙の平和利用」という考え方しかありません。人類としてまともに考えれば、宇宙こそ世界が協力して開発し、人類全体のために活用すべき「スペース」、まさにSPACEでなければならないという結論になるのではないでしょうか。

好例が「国際宇宙ステーション」でしょう。どんな政治情勢下にあっても、アメリカとロシアそして日本の研究者も、心を一つにいて種々の研究に励んでいるのでしょう。

 その宇宙で、アメリカが覇権を確立して、宇宙を支配しようというのがトランプ構想というのなら、それは人類の発展の歴史の中で、とんでもない間違いを犯すことになるのではないでしょうか。

 アメリカが本気でそう考えれば、当然「アメリカに覇権を握られたら」という疑心暗鬼が広まり、対抗して多くの国が、わが国の宇宙政策を宇宙軍をという事になり、宇宙が戦場と化す可能性を増幅させることになるでしょう。

 トランプさんは、宇宙軍を創設するのではなく、地球人類がみんなで協力して宇宙を平和利用するための国際的な組織の構築を提案すべきではなかったのでしょうか。
 しかし、トランプさんは国際組織や多国間の協定が嫌いのようです。何でも2国間でという狭い視野しか持ち合わせていないようです。

 それは覇権国としての器量ではありません。覇権国は「相手国に対して」何をするかではなく、「世界が協力して」何をするかという視点を持たねば成立たない立場です。

 「アメリカ・ファースト」政策で、現状、アメリカの孤立を深めています。しかしその先に、アメリカが宇宙を支配し、それによって世界を支配すればそれが「アメリカ・ファースト」の本来の姿だと本気で考えているのであれば、世界は怪獣を飼い始めたことになるのではないでしょうか。

 余計なことを付け加えれば、アメリカにはそれだけ財源はありません。領収証(ツケ)がいろいろな形で日本に回ってくる可能性は十分にありそうです。

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