tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マネー経済と実体経済は住み分け状態か?

2021年06月25日 20時30分43秒 | 経済
マネー経済と実体経済は住み分け状態か?
わたしたち一般の庶民は、現役なら賃金で生活し、高齢者なら年金を中心に現役時代からの貯蓄を取り崩しながら生活しているというのが現状でしょう。
 
貯蓄にはかつてのようにまともな利息は付きませんが、有難いことに、物価もあまり上がらないので、何とか平穏に暮らしていけるかな(コロナがなければ)というところでしょうか。
 
一方、通貨の供給量は年々増加しています。この所、年々5%から10%ぐらいの伸び率の様すし、政府がコロナ対策で、大幅な補正予算を赤字国債を発行して組んだり、日銀が市中の債権や証券を購入したりということで、おカネはジャブジャブな状態と言われます。
 
しかし、政府日銀の目標である2%インフレターゲットは実現しません。経済学の世界では、貨幣数量説(通貨の量を増やせば物価が上るという説)は崩壊したとか、MMT(新時代の通貨理論)が生まれ、いくら赤字国債を出してもインフレにはならにないなどと言われたりするようになりました。
 
この問題は、以前にもシリーズで検討しましたが、どうも、実体経済で使われるお金と、マネー経済で動くマネー(お金)は、重なっている部分も多少はあるにしても、大部分は実体経済の世界とマネー経済の世界を住み分けて動いているという事ではないかと思われます。
 
大体が、マネー経済の世界で大きな金を動かすような人達や組織は、大きな資本を持っているからこそ、そういう世界で生きようとするのでしょう。
生活や事業に必要なカネを投機に回すのは危険すぎますし、多分そういうケースは、資金不足で失敗に終わり、もうやらないという事になるのでしょう。
 
巨大な資金を持っているからこそ、リスクを承知で大きなマネーゲームに挑み、成功する、それには、数十億、数百億、更には兆の単位の世界で勝負するのでしょう。
 
そしてそういう人たちは、カネが必要だからやるのではなく恐らく、アスリートが記録更新を目指すように、「わが資産の時価総額最大」の記録更新を目的にしているのではないでしょうか。
 
ということになると、その巨大なマネーは、本来的にマネーマーケットの中で回転していて、実体経済の世界でモノやサービスを生産して付加価値をつくり、その中からリターンを得るなどという面倒なことには手を染めることはないのかもしれません。
 
時に証券・債券そのデリバティブだけでなく、原油やコーヒーやココアの様な商品市場に手を出すことがあっても、長期的には実体経済の需給が商品相場の基調を決めるでしょうから、多くは単なる一時的なバブル現象に終わる(石油などは典型的)ことになるのではないでしょうか。
 
こう見てきますと、恐らく、マネーマーケットのカネは、実体経済には殆ど入ってこないのではないか、世界主要金融市場の取引総額は世界貿易額の100倍以上と推計されている様ですが、この金が、貨幣数量説に従って、世界経済にインフレを起こすということは多分なさそうです。
 
ただ、問題は、マネーマーケットは往々にしてリ-マンショックの様な行き過ぎと崩壊を繰り返す可能性があります。そして、それは実体経済に深刻な影響をもたらします。
この問題は、これは、この2つのマーケットが日常活動では住み分けをしているようだと言っていても、実際は信用経済という底の部分でつながっているからでしょう。
この問題の解決は容易でないようです。

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